白く大きな花と独特な香りがする百合は、見ているだけで華やかな気分になりますね。
一見育てるのが難しそうな百合ですが、一度球根を植えてしまえばガーデニング初心者でも手間いらずで綺麗な花を咲かせてくれます。この記事では、百合の育て方から注意点まで幅広くご紹介します。
百合の基本情報
百合(ユリ)は ユリ科の多年草 で、全世界に分布している植物です。 百合の原種は100種類以上あり、15種類は日本原産 です。 開花時期は6月~8月 で鉢植えと地植えのどちらでも楽しむことができますよ。花色は種類によって異なりますが 白、濃いピンク、赤、オレンジ、黄色、複色などカラーバリエーション豊富 です。
百合の種類の中には、 ゆり根として食用で食べられていたり、漢方薬としても使われたりしています。
初心者でも育てやすい百合の種類
園芸店でたくさんの種類を見かける百合ですが、ガーデニング初心者でも育てやすくて見栄えがよい種類を4つご紹介します。初めて育てる際の参考にしてください。
カサブランカ
白く大きな花と強い芳香を放つカサブランカは「百合の女王」 と呼ばれるほど誉れ高い園芸品種です。 オリエンタル系 の中でポピュラーで百合といえば、カサブランカが思い浮かぶ人が多いと思います。 オランダで生まれた品種 ですが日本のヤマユリなどの品種も混じっているので、 オリエンタルハイブリットリリー とも呼ばれています。
暑さや寒さ、病害虫にも強いので実はガーデニング初心者向けの品種です。大輪の花は見栄えがとてもよいので、ブライダルブーケやお祝い事のアレンジメントにもよく使われていますよ。
スターゲイザー
スターゲイザーは20世紀頃にアメリカで誕生した、 鮮やかなピンクの花を咲かせるオリエンタル系の元になった園芸品種 です。カサブランカと違って 天を仰ぐように上向きで開花 することから、空を見つめる人、天文学者という意味のある名前が付けられています。
日当たりが良い場所で管理すれば、ガーデニング初心者でも育てやすい品種ですよ。
テッポウユリ
筒状の花を咲かせるテッポウユリは、 沖縄などの暖かい地方に自生している野生種 です。観賞用としてヨーロッパで紹介されると、一大ブームが起きるほど人気が高いです。名前の由来は鉄砲に似ていることから名前が付けられたそうです。 非常に強健な性質で、よっぽどのことがなければ枯れる心配はありません。
スカシユリ
日本原産のスカシユリは 中部地方より北の海岸に自生 しているので、ハマユリやイハユリとも呼ばれています。花の色が豊富で 黄色、オレンジ、ピンク、黒 などがあるのと、 百合特有の香りが強くない ので百合が苦手な方でも楽しめます。
日本の気候にとても合っている品種なので、手間がかからず育てやすい品種です。
百合の花言葉
百合の花言葉は 純真、無垢、威厳、栄華、祝福 です。 キリスト教の聖母マリアの象徴 とされています。フランス王朝時代の王家の紋章にも百合が使われているため、威厳の象徴として百合は大切に扱われています。
また、花の色によっても花言葉が変わってきます。 ピンクは「虚栄心」黄色は「陽気、偽り」黒は「呪い、復讐、恋」 です。中には少し怖い意味もあるので、プレゼントするときは気を付けましょう。
百合の育て方
初夏に豪華な花を咲かせる百合ですが、育てるときのポイントは 日当たりと育てたい種類を把握すること です。鉢植えや地植えでも、手軽に育てられて庭が華やかになりますよ。ガーデニング初心者でもわかりやすいように、置き場所やお手入れ方法など詳しく説明します。
置き場所
基本的に百合は、日当たりが良い場所を好みますが、種類によって日当たりの好みが変わってきます。
テッポウユリやスカシユリ などの葉っぱが細い種類は、 日当たりを好みます。カサブランカなどのオリエンタルハイブリット系 など葉が広くて大きい種類は 直射日光が少し苦手 なので、 半日陰で管理 するとよいですよ。
鉢植えの場合は風通しが良い場所で、雨が直接あたらない軒下に置きましょう。地植えの場合は、地中の球根が高温になる場所だとうまく育たないので、梅雨明け以降は直射日光があたらない場所に植えてください。
水やり
鉢植えの場合は、 土の表面が乾いたら鉢底から水が出るぐらいたっぷりと与えます。 葉っぱが枯れてくるまでは水やりし続けて大丈夫です。 地植えの場合は、基本的に降雨のみで大丈夫 ですが、日照りが続くようなら水やりしましょう。百合は球根が乾燥するのが苦手なので、土が乾燥しないように管理してください。
使う土
百合に使う土の基本は 通気性と水はけがよい土 であれば問題なく元気に育ってくれます。鉢植えの場合は、 赤玉土小粒6、腐葉土4 に様子を見て 川砂を混ぜたもの を使います。市販の球根植物用の培養土などでも大丈夫です。ただし、球根が腐りやすい テッポウユリやササユリ系を植えるときは鹿沼土細粒や日向土を混ぜる と水はけがよくなるので安心です。
花がら摘み
花が咲き終わったら花がら摘みをしましょう。百合の花がら摘みは簡単で、花が終わったら花首のところを折って種ができないようにします。花がらを摘むと 害虫が付きづらく球根が大きく育つので、百合の花付きがよくなります 。
百合につきやすい害虫と対策
アブラムシ、ヨトウムシ、ハダニ などの害虫が付きやすいですが、百合の栽培で最も気を付けるべきなのが ユリクビナガハムシ です。
ユリクビナガハムシは5月~6月の百合の成長期にあわせて発生しやすいです。幼虫は鳥のふんに擬態していて、成虫なるとオレンジ色のコガネムシに似た姿に成長します。ユリクビナガハムシは、百合しか食べない偏食家なうえに大食漢です。 一度発生してしまうと百合を丸坊主にし、最悪の場合は株をダメにしてしまいます。
葉がかじられたような痕や幼虫を見つけたら早めに駆除しましょう。大量に発生してしまった場合は スミチオン乳剤やオルトランを散布 して対応するとよいですよ。
百合の注意点
庭を彩ってくれて切り花でも人気のユリですが、 犬や猫を飼っている方は百合の取り扱いに注意が必要 です。特に テッポウユリ、オニユリ、カノコユリ系はほかのユリに比べて毒性が高い ようです。
ユリ全体が犬や猫に悪影響を及ぼすので、室内に持ち込むときは絶対に誤飲しないように置き場所には注意してください。花瓶の 水を舐めただけでも、重篤な症状を引き起こしてしまう可能性があります。
犬や猫が百合を誤飲してしまった場合、 食欲不振、嘔吐、下痢、腎不全 を起こして最悪の場合命を落とすこともあります。
ゴージャスで香り高い百合を育ててみませんか
初夏に豪華絢爛な葉花を咲かせてくれる百合は、一度は育ててみたい花ですね。
日本の気候に合っている百合は、手間いらずでガーデニング初心者でも育てやすくておすすめです。日当たりと育てたい種類の特性を知っておくと百合の栽培がしやすくなりますよ。ぜひお気に入りの百合を育ててみてください。
椎名淳美
余暇プランナー
園芸店で1つのサボテンに出会ってから、多肉植物の魅力にどっぷりハマってしまった茨城在住の主婦です。 多肉植物を育て始めて4年目を迎え、気が付いたら150種類以上の多肉植物と暮らしています。 季節ごとに違う姿を見せてくれる多肉植物に癒されますよ。 今まで育てた経験を生かし、多肉植物の魅力をお伝え出来たらいいなと思い、植物系ライターを始めました。多肉植物の育て方や寄せ植えの仕方、トラブルの対処方法について執筆していきたいと思います。