富士通株式会社は「PÂTISSERIE ASAKO IWAYANAGI」とコラボレーションを行い、空気の質を可視化したケーキで環境・経済・社会問題について考える「わたしたちの空気を考える CARBON CAKES(カーボンケーキ)」プロジェクトを都内で開催しました。
富士通が環境・経済活動・社会問題を考えるイベント「CARBON CAKES(カーボンケーキ)」プロジェクトを開催
富士通が開催した「CARBON CAKES(カーボンケーキ)」プロジェクトは、シェフパティシエールの岩柳麻子さんが、自身の名前を冠して2015年より都内にオープンした「PÂTISSERIE ASAKO IWAYANAGI」とコラボレーション。
空気の質を可視化したケーキである「CARBON CAKES」を通じ、富士通の新事業ブランドである「Fujitsu Uvance」が課題を可視化することの重要性を訴え、テクノロジーによって見える化することで環境・社会問題を解決するべく始動したプロジェクトです。
CARBON CAKESは「Fujitsu Uvance」が手掛けたソーシャルデジタルツイン技術※を使用しており、PM2.5やCO2、その他の有害物質によって“空気が汚染された都市”をシミュレートし、それを表現した「食べられないケーキ」。
※ソーシャルデジタルツイン技術は、人々の行動を高精度にデジタルツイン上に再現することで、人々の行動の変化を予測し施策の効果や影響を事前に検証可能にする新技術。
経済活動による大気汚染の影響を、6種類のケーキで表現したものとなっています。
左のケーキから時計回りに徐々に色が変化していき、最終的には右の真っ黒なケーキになっていきます。
「この色の違いというのは、大気の質を表しています。色だけではなくて、形も色々違うというのがよく見て頂くと分かると思います。大気汚染の状態として、黒い物質がpm2.5やCO2のようなもので出来たケーキ、それが全くないケーキではこれだけ違いがあるんです。」
と担当者の方は説明してくれました。
しかし、空気の状態が良い“真っ白なケーキ”が、私たちにとって最善の状態かというと、必ずしもそういうわけではないのだとか。
このケーキの展示についているグラフを見ると、空気が良い状態、つまり白いケーキの展示では消費行動や移動時間が極端に少なくなっています。つまり、経済活動がほぼ止まってしまっている状態を表しているそう。
「環境だけを目指してこの(白の)ケーキを目指すのか、それとも“経済活動とのバランスを取って、間のどこを目指しますか?”ということをみんなで考えていかなければいけないんです。実際に今の先進国の状態は、真ん中くらいと想定してデザインしております。」
と説明。
極端な話となりますが、このまま制限や環境対策なども一切設けず空気を汚染し続けた先には、この真っ黒のケーキのような環境となった未来が待っていることは想像に難くありません。
しかし、大気の状態は目に見えないもの。こうして体調不良や大気汚染といった様々な問題が表出している先進国の現在でさえ、真ん中くらいのレベルなのだとか。
実際に展示の周辺には、真剣に説明を聞いている方が集まり、それぞれケーキへと目を向けていました。
「見えないものを見える化することが大事」
展示イベントの後にはパネルディスカッションも開催され、
3T(スリーティー) CEOの清水イアンさん、東京大学准教授の斎藤幸平さん、タレント・ラジオパーソナリティの新内眞衣さん、起業家のハヤカワ五味さん、そして富士通 ソーシャルテクノロジー社会実装推進室 室長の山田亜紀子さんが登壇。
今回富士通が実施した取り組みや、大気汚染などの社会課題についてトークを行いました。
左から、清水イアンさん、山田亜紀子さん、新内眞衣さん、ハヤカワ五味さん、斎藤幸平さん
パネルディスカッションでは、登壇者たちは今回の取り組みで環境汚染などの問題を考えることが出来たと話し、
「空気の問題で実感出来るのって気温くらいですよね。“凄く暑いからやばい気がする”というくらいで、排気ガスとかでは目視も出来ないし想像しにくいな、というのが正直なところだった。」
というコメントも。
それがケーキで可視化されたことにより、現在の状態がどのようなものなのかをとても分かりやすく認識出来たと話しています。
山田さんは「何故このようなケーキを作ることになったのか?」と経緯を尋ねられると、
「私たちがソーシャルデジタルツインで(大気汚染についての)“見える化”をするという話を採択して頂いたんですが、それがどう影響を与えるのかを可視化するだけじゃなくて、どういう行動をしたらどういう結果が起きるのかを可視化することになったんです。それをデータチャートではなくケーキで表現することで、“これは食べちゃいけないね!”といった感想が出たり、それぞれの気づきに及んだことから、今回のプロジェクトを進めてまいりました。」
と説明しました。
またイベント中にはこういった「見える化」が重要だと話題にのぼり、
「それこそレジ袋を無くすといった話1つをとっても、これって結局“どう変わったんだ?”と。正直分からないというか、エコバッグを数回で捨ててしまった方が実はエコじゃないんじゃないかなど色々あると思いますが、そういうのは結果を見える化して欲しいですよね。」
とコメントされていました。
パネルディスカッション後には、綺麗な空気を表現した真っ白のケーキの試食会も実施。
食べる直前にはボタニカルなハーブの香り付けなども行われ、カカオハスクとぶどう山椒のフレーバーティーのペアリングを頂きました。
環境や経済などの問題について訴えかけるべく、富士通が最新技術を駆使して実施した「わたしたちの空気を考える CARBON CAKES」。
誰もが見ただけで分かる「ケーキで大気汚染の状態を表現する」という斬新な方法で訴えかけた今回のイベント。環境について漠然と「良いことをしよう」とするのではなく、このように分かりやすく、現在とこれからの状態を見える化してくれることは、私たちの行動の動機にも繋がるとても大切なことだと感じます。
今回、斬新な切り口で環境問題などについて訴えかけた富士通。今後の活動についてもぜひ注目してみてください。
富士通:https://global.fujitsu/ja-jp
CARBON CAKES特設サイト:https://www.fujitsu.com/carboncakes/