慢性的に不足している介護職員。介護業界では、今後さらに人材不足が深刻化することが予想されています。
そこで今回は、日本最大級の老人ホーム・介護施設の検索サイト「LIFULL介護」で検索出来る老人ホーム・介護施設より、深刻化する介護業界の人材不足にテクノロジーの力で対策を行っている施設を、開発担当者や介護職に携わっている現場担当者の声と共に紹介します。
LIFULL介護で人材不足をテクノロジーで補う老人ホーム・介護施設事例を紹介!
深刻化する少子高齢化改善にはICT導入がカギ
75歳以上の高齢者が定義される「後期高齢者」。
少子高齢化社会によって若い労働者が少なくなり、さらにこれまで社会を支えてきた約800万人の団塊の世代が2025年には全て後期高齢者に。これによって後期高齢者の人口は約2,180万人、国民のおよそ5人に1人が後期高齢者となることになります。
後期高齢者は増加する中、厚生労働省の試算によると同年には「約32万人」もの介護職員が不足するとも言われています。
有料老人ホームや高齢者向け賃貸などの情報を掲載したポータルサイトと電話相談窓口で、高齢者の住まい探しを手伝う「LIFULL介護」は、「老後の不安をゼロにする」をビジョンに掲げ、ヒトとテクノロジーの力で超高齢社会の課題を解決する様々な事業を展開するLIFULL seniorの老人ホーム・介護施設の検索サイト。
LIFULL介護の編集長を務める小菅秀樹さんは、この急速に進む高齢化社会や現在の介護業界の人手不足について、
「人材不足のため利用を制限する在宅介護事業所、必要なケアが提供出来ていない、またスタッフが足りず新規の入居者募集を停止している老人ホームもあります。」
と説明。
介護業界から離れてしまう「介護離職」も年々増加しており、その経済損失は年間6,500億円にものぼるそう。
深刻な人材不足に陥っている介護業界。そこで重要となってくるのが「現場へのICT導入」を行い、業務負担を軽減することだと小菅さんは説明。
「業務負担の軽減は労働環境の改善に直結し、介護職員の定着率アップにも繋がります。業務フローのスリム化は、介護職員しか出来ない本質的なサービスに注力する時間を増やし、ケアの品質向上やサービス内容の拡充も図れます。その結果、入居者の満足度向上にも繋がるでしょう。」
と、ICT導入が現在の人材不足の解消やサービス品質の向上のカギになるとコメントされています。
介護業界の人材不足を解消!テクノロジーの力で解決出来ること
介護の現場で導入されたテクノロジーは「介護職員の労働時間短縮」や「精神的・肉体的負担の軽減」に直結。
例えば介護現場では入居者の見守りやナースコール対応をはじめ、入浴介助・夜間の巡回といった多数の業務が存在しています。
高齢者は怪我や病気になりやすく、体調管理は必須。深夜帯に急変した場合にも即時に対応出来るよう見守りも必須と、昼夜を問わず業務をこなさなければなりません。
入居者・同僚とのコミュニケーションを取りながらの激務に耐えかねて、離職してしまう方も多い介護業界。
今回はICT技術を導入し、人材不足解消・サービス向上に日々取り組んでいる施設の事例をご紹介致します。
●株式会社アズパートナーズ「EGAO link」
株式会社アズパートナーズは、スマホ1台で記録入力・コール・見守りの全てを可能にする「EGAO link(エガオリンク)」というシステムを導入中。
入居者のベッドに設置されたセンサーによって睡眠・覚醒・離床・呼吸状態をモニタリングし、ナースコールによる呼び出しもスマホと連動しているというもの。
シニア運営部の中元さんによると、EGAO linkの導入で「平常時の見回りの安否確認」「ナースコール対応」「介護の記録」の負担が格段に便利になったそう。
「導入以前は夜間に4時間おきに巡視をし、呼吸をされているか、体調が悪そうではないか等を、入居者さまの睡眠を妨げないよう注意しながら居室を回っていました。その間にもナースコールが鳴り、その結果を都度記録しながら別の定時ケアもして…というのが当たり前でした。」
と語られる通り、介護業界の仕事は忙しいもの。
しかしEGAO linkによる業務効率化で「若い人が働きやすい職場」だという印象が伝わり、この2年は連続で170名を超える新卒を採用したのだとか。
中本さんは、
「残念ながら、介護業界にいわゆるマイナスイメージを持たれている方は多いと思います。我々はそんな業界を笑顔で繋げたい。」
とコメント。介護のDX化によって作業ではなくケアに注力でき、それがより入居者にとっての満足度向上や価値ある時間を増やすことに繋がると話されていました。
SOMPOケア株式会社「egaku」
SOMPOケア株式会社では、現場で生み出される豊富なリアルデータを把握・解析する介護リアルデータプラットフォーム「egaku」をはじめ、スマホによる介護記録システム・プライバシーに配慮した介護用シャワー入浴装置・睡眠センサー・自動式ラップ機構搭載のオムツ回収ボックスなど、様々な機器・データを活用。
介護品質の向上と業務負担軽減を両立する「未来の介護」の実現を目指しています。
執行役員CCO兼未来介護推進部長を務める小泉さんは、入居者とのコミュニケーションの増加やスタッフの心的負担軽減など、テクノロジーの導入でQOL向上が出来たと実感しているそう。
「テクノロジーの活用は、職員の業務時間に余裕をもたらし、これまで以上に入居者さまと関わる時間が出来るようになりました。対話の中から入居者さまのご希望を聞く場面が増え、アクティビティへの参加や散歩、外食への同行の機会も増えています。」
とコメント。人にしか出来ないことへより多く時間を使うことで、介護品質の向上が実現出来ていると説明しています。
HITOWAケアサービス株式会社「ライフレンズ」
Panasonicと介護テクノロジーを活用した先進的な介護施設の実現を目指した協業を行っており、共同開発した介護施設の運営負担軽減と入居者のQOL向上を目指した見守りシステム「ライフレンズ」は、ベッドに設置して体動を検知するシート型センサーと、居室の状態を把握するカメラを組み合わせた見守りシステム。
入居者の在床状態や離床動作をダッシュボードで把握でき、カメラによる映像と合わせ一元管理をすることが可能となっています。
「イリーゼ西大宮」のケアワーカーを務める藤本さんによると、導入前までは夜間にスタッフ2名で60人前後の入居者を見守るため、2時間に1回の巡回を行う必要がある等、スタッフに大きな負担が掛かっていたそう。
「導入前は入居者さまの居室での様子がわからないため“確認のため”の定時訪室が必要だったが、導入後は入居者さまの睡眠の状態や心拍レベル、呼吸レベルなどがひと目で分かるようになり、一元管理が実現。“まず訪室”から“見て訪室”へと転換しました。」
と、業務負担が大幅に軽減されたそう。
異常が起きても「すぐ駆けつけることが出来る」という安心感や、優先順位をつけての業務が可能となり働き方もこれまでと大きく変化。
「時間の制約や精神的負担が軽減されたことで、入居者さまとコミュニケーションを取れる時間がとても増え、個別のケアというこの仕事のやりがいが増えた実感があります。また、入居者さまからも施設での生活が楽しくなったというお声を頂いています。」
と、入居者の満足度にも大きく貢献しているとコメントされています。
人材不足を解消するだけでなく、入居者満足度やサービス品質の向上、スタッフの業務負担も改善してくれる先端テクノロジー。
DX介護サービスを導入して働きやすい環境を整えることで、人材不足の解消にも繋がる可能性があります。
このような職場環境に配慮した老人ホームや介護施設を探している方は、日本全国5万2,000件以上の老人ホーム・介護施設を掲載している「LIFULL介護」で検索してみてはいかがでしょうか。
LIFULL介護:https://kaigo.homes.co.jp/