三菱自動車は2023年7月26日(水)にタイで新型トライトンを発表した。9年ぶりのフルモデルチェンジで六代目となった新型トライトンだが、日本市場導入がアナウンスされたことも大きなトピックだ。
三菱は1978年にフォルテを発売して以来、ピックアップトラックを45年間で五世代ラインナップし続けてきた。その累計台数は560万台に及び世界150カ国で愛され続けている。
その三菱のピックアップを伝統を今に伝えるのがトライトンであり、前モデルから実に9年ぶりに第六世代へとフルモデルチェンジを果たした。
新型トライトンはタイで生産され、メイン市場である東南アジア諸国はもちろんオセアニアで販売され、最終的に100カ国で20万台が販売される見通しとなっており、まさに三菱の屋台骨を支える重要なモデルとして期待されている。
そして、ついに日本市場への導入も発表された。
9年ぶりのフルモデルチェンジでフレームを一新!
新型アウトランダーは9年ぶりのフルモデルチェンジということもあり、これまでキャリーオーバーしてきたフレームを刷新。ラダーフレームは先代から断面積を65%増やし、曲げ剛性で40%、ねじり剛性60%強化している。一方で高張力鋼(ハイテン鋼)の使用比率を高めることで重量増は最小限にとどめた。
ボディにも1180MPaのハイテン鋼を採用し、先代より剛性と軽量化を実現している。
クリーンディーゼルターボに6速トランスミッションを組み合わせる
新型トライトンに搭載されるエンジンは新開発となる4N16型 2.4ℓ直列4気筒DOHC 16バルブ インタークーラーターボ ディーゼル1種類だが、3種類の出力設定が用意されている。
高出力仕様には新型のターボチャージャーと新燃焼システムを採用。高出力とフラットなトルク特性を実現。パワーだけでなくドライバビリティも優れたものになっている。
| 最大出力 | 最大トルク |
| 150kW（204ps）／3500rpm | 470Nm（47.92kgm）／1500-2750rpm |
| 135kW（183.5ps）／3500rpm | 430Nm（43.84kgm）／ 2250-2500rpm |
| 110kW（149.5ps）／3500rpm | 330Nm（33.65kgm）／ 1500-3000rpm |
トランスミッションはスポーツモード付きの6速ATと6速MTを用意。6速MTはシフトレバーをワイヤー式とし、エンジンから伝わる振動を低減し、快適性を向上させている。
三菱自慢のスーパーセレクト4WD-IIとAYCを搭載
FR状態から多彩な4WD状態に設定できるスーパーセレクト4WD-IIは三菱のオフロードモデルでは定番のシステム。後輪駆動の“2H”、フルタイム4WDの“4H”、センターデフ直結の“4HLc”とさらにローギヤの“4LLc”であらゆる路面に対応する。さらに7つのドライブモードを用意しており、路面を選ばない走りができるのは実に三菱らしい。
| 4WDモード | ドライブモード |
| ALL（全モード） | NORMAL |
| 2H | ECO |
| 4H | GRAVEL（未舗装路） |
| 4H | SNOW（氷雪路） |
| 4HLc | MUD（泥濘） |
| 4HLc | SAND（砂地） |
| 4LLc | ROCK（岩場） |
各4WDモードで選択できるドライブモードの組み合わせ
スーパーセレクト4WD-II搭載車にはランサーエボリューションシリーズで培ったAYC(アクティブヨーコントロール)を採用し、旋回性を高めている。アクティブLSDやアクティブスタビリティ&トラクションコントロールなど、三菱の優れた車両制御技術で安全かつスポーティな走りが可能だ。
新開発のフロントサスペンションと軽量化したリヤサスペンション
フロントはダブルウィッシュボーン形式を踏襲しつつ、アッパーアームの取り付け部を上方に移動したハイマウントタイプとし、ストローク量を20mmアップ。接地性と乗り心地を高めている。
リヤサスペンションは強度を維持しながら軽量化したリーフスプリングを採用。ショックアブソーバーを大径化し、こちらも乗り心地の良さに貢献している。
エクステリア……デザインコンセプトは「BEAST MODE」
タフで力強いイメージと三菱らしい堅牢性、そしてスポーティな俊敏さを表現したデザインは、フロントグリルの“ダイナミックシールド”が抜群の存在感を示している。テールランプには点灯時の“ト”の字型シグネイチャーを仕込むなど現代的なテイストも盛り込んでいる。
インテリア……視認性に優れたホリゾンタルデザイン
インテリアは現代の乗用SUVとして申し分ないモダンな仕上がりになっており、ピックアップトラックのヘビーデューティさやビジネスライクな印象は薄い。
一方でインパネ周りは水平基調にデザインすることで車体の姿勢変化の状態を把握しやすくしているのはオフロード車の経験豊富な三菱らしい作りと言えるだろう。乗員保護のための各所にソフトパッドを配している点も同様だ。
シートは腰回りをしっかりサポートする一方で肩周りは動きやすく開放的な形状とし、快適性を高め疲労を軽減する。さらにヒップポイントを20mm高め、アップライトな乗車姿勢で視認性も向上させている。
加えて、Aピラーの角度を立ててドア開口部を広げるとともに、サイドステップ幅も広くして乗降性にも配慮した。
前席だけでなく、ダブルキャブの後席も十分な広さを確保。膝前(ニースペース)や頭周り(ヘッドスペース)にも余裕があり、ピックアップトラックだからといって後席の居住性は犠牲になっていない。
カーゴベッドを拡大し積載性も向上
カーゴベッドを先代より拡大。ベッドライナー装着状態でのユーロパレット積載に対応したほか、荷台高を先代より45mm下げて820mmとして積載性を向上。さらにバンパーコーナーを足場に使いやすいように改良することで荷台がより使いやすいものになった。
現代的なユーティリティと先進安全装備
もちろん現代的なインフォテインメントシステムも備えている。センターコンソール上部中央に位置するディスプレイは横置き9インチと十分なサイズで、もちろんスマートフォンとの連携が前提だ。ハードスイッチとの組み合わせで操作性を高めているのもポイント。
今や必須となったUSBソケットはタイプAとタイプCをセンターコンソール(エアコン操作パネル下)に用意している。加えてその下にはスマートフォン用のワイヤレスチャージャーも備えている。
モニターやメーター、コントラストをつけたスイッチ類は視認性にこだわるだけでなく、手袋をしていても操作しやすい節度感をもたせている。ドライブインターフェースも握り心地を追求した“MITSUBISHI TOUCH”思想を基にデザインされている。
スマートフォンやタブレットを置きやすい小物入れも充実し、ボトルホルダーは600mlのペットボトルが収まるサイズになっており、プロユース……“現場”にもしっかり対応する。
先進安全装備やコネクトビリティも現代的にアップグレード。自動追尾式のクルーズコントロール(ACC)や衝突被害軽減ブレーキ、車両検知警報システムなどはひと通り揃う。
“三菱コネクト”も用意され、SOSエマージェンシーサービスやスマートフォンと連動した自車位置確認、各種車両情報、ドライブ履歴などを把握できるだけでなく、リモートでエアコンやライト、ホーンなども操作できる。
ボディカラーは全6色
シルバーやホワイトブラックといった定番のカラーに加え、三菱SUVではお馴染みのオレンジを差し色ではなくボディカラーに用意した全6色を用意した。
仕様……そして気になる価格は?
2列シートのダブルキャブ。フロントシート後方に荷室スペースを設けたクラブキャブ。1列シートのシングルキャブの3モデルを設定。おそらく日本に導入されるのはダブルキャブのみではないだろうか。
日本への導入時期は明言されていないものの、発表会では「2024年になるのでは?」という声もあった。また、その際の価格についてもまだわからない。
| エンジン | 4N16型 2.4ℓ 直列4気筒DOHC16バルブ インタークーラーターボ ディーゼル |
| 排気量 | 2442cc |
| ボア×ストローク | 86.0mm×105.1mm |
| 圧縮比 | 15.2:1 |
| 最高出力 | 150kW（204ps）／3500rpm 135kW（183.5ps）／3500rpm 110kW（149.5ps）／3500rpm |
| 最大トルク | 470Nm（47.92kgm）／1500-2750rpm 430Nm（43.84kgm）／ 2250-2500rpm 330Nm（33.65kgm）／ 1500-3000rpm |
| 燃料噴射装置 | コモンレール式燃料噴射装置 |
| 燃料タンク容量 | 75ℓ |
| トランスミッション | 6速AT 6速MT |
| 駆動方式 | 4WD 2WD |
日本でもSUV人気を背景にピックアップトラックの人気が再び盛り上がりつつある。現状ではトヨタ・ハイラックスが国内正規販売される唯一のモデルだが、トライトンはまさにハイラックスの独占市場に真っ向勝負を挑むことになる。
9年ぶりにフルモデルチェンジを果たした六代目トライトンには今後も注目していきたい。
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