脳神経外科医の立場から、健康法やメンタルケアに関するさまざまなノウハウをわかりやすく解説し、多くの著作をも世に送り出しているドクター菅原道仁と、これまで5000人以上の若者を取材し、今なお「永遠の思春期」を自称するカリスマライター山田ゴメスとの“夢のコラボ”企画!ドクター菅原による脳科学に裏付けられた冷徹な分析と、ゴメスが25年のライター業で蓄積してきた膨大なデータをMIXした、死角ナシ&最強の「恋愛相談」をアナタにお届けします!!
【LOVE BRAIN アラフォー女性編】
#Case08 アナタには本当に「出会いがない」のか?
【本日のお悩み】
毎日、同じ時間に会社へと出勤し、同じ時間に帰宅する、判で押したような毎日を過ごしています。とくに目立つわけでも取り柄があるわけでもなく、年齢の近い同僚や友人は男女とも、すでに既婚者ばかりで、飲み会や合コンなどに誘われる機会もなく、結婚はしたいけど、「出会い」がまったくありません。こんな私でもいずれは“幸せ”が訪れるのでしょうか?(Y美さん:37歳・独身女性/メーカー経理)
ドクター菅原(以下、菅原):うん、とてもいい相談だ!
山田ゴメス(以下、ゴメス):いい相談……なんですか?
菅原:「解決しがいがある」という意味で……ね。今回の相談者は婉曲的に自身のことを「地味」みたいな風におっしゃっていますけど、僕はそういう女性、好きですよ。ゴメスさんも好きでしょ?
ゴメス:そりゃあねぇ……好きですよ。僕ぁ、派手でも地味でもどっちも平気ですよ。なんでもアリですよ! あんましそこは判断基準にならないので。
菅原:ですよね(笑)? だから、自分を「目立たない」「取り柄がない」なんて卑屈に捉えず、アナタの魅力、強みとして「地味」をアピールしてかまわないんじゃないですか? 「堅実」とか「しっかり者」とか「浮つかない」とか……こう解釈を変えてみただけで、随分気持ちも前向きになってくるはず。
ゴメス:この手の相談を受けた場合、「気分を変えて、華やかなファッションにチャレンジしてみましょう」的な模範回答をよく聞くのですが……コレってどう思われます?
菅原:人間は、とくに男性は視覚から得る情報が多いため、煌びやかな洋服やメイクでビジュアルを際立たせるのは一つの正しい方法です。
ゴメス:え! 正しいの? できれば意表を突いて全否定してほしかったんですけど……。
菅原:「ピシッとしたスーツのビジネスマンと、くたっとしたスーツのおっさんとでは、どちらが契約を多く取れるか?」って理屈と一緒!
ゴメス:そっかぁ……。世に垂れ流されている有象無象の恋愛相談に頭ごなしでダメ出ししちゃいかんってことですね(笑)。でもさぁ……シックな洋服ばかり着ている女性が、いきなり谷間を強調したりミニスカはいたりヘソ出したりするのも、やっぱ厳しいじゃないですか〜!
菅原:「露出=モテる服装」じゃないから。それは単なるゴメスさんの個人的趣味(笑)! そういう蛾みたいなけばけばしいファッションより、清潔感があれば僕はかならず惹かれます。
ゴメス:またまた、モテようとして〜!
■「理想のヒト」に出会える確率は「宇宙人」に出会う確率と大して変わらない?
ゴメス:ただ、いくら先生のように高邁なポリシーと鋭い選球眼をお持ちの男性が数%だか数十%だかの確率で実在するとしても、出会わなきゃなにも始まらない。オマケにY美さんは事務職ゆえ、社外の男性と知り合う機会も稀でしょうし……。
菅原:だいたいね、男女関わらず「出会いがない」とか言っている人は、実際のところ本当に出会いがないわけじゃないんです。「自分のお眼鏡にかなう相手との出会いがない」だけ。まずは「恋愛対象となる相手は、身近にもゴロゴロ転がっている」と自覚すること。
あと、魚を釣りたいのに、自宅で釣り番組ばかり観ていてどうするの? それじゃあ、いつまでたっても釣れるわけない! とりあえず、釣り堀でもいいから行かないと。現状が上手く回っていないなら、どこかで自分の意識と行動を変えなきゃいけないんです。
もし「出会いがない」と本気で嘆くのであれば、生活習慣を変えるべき。「いつも利用している電車の時間をズラしてみる」とか「いつも昼食がお弁当なんだったら、たまには外に出て食べてみる」とか……些細なことからでOK。前回、僕がキャリアウーマンさんにアドバイスした正反対バージョンにチャレンジしてみてください。
ゴメス:ふむふむ……(歌舞伎揚げを囓りながら)。
菅原:改めて問いたい! アナタには本当に出会いがないのですか? 心のどこかで「運命の出会い=白馬の王子様」を待ち望んではいませんか?
ゴメス:ああ……街中で落としたハンカチをイケメンが拾ってくれたり、夜道で暴漢に襲われてイケメンが助けてくれたりするパターンですな。
菅原:そのとおり! いわば、シンデレラ的他力本願な発想です。しかし、よ〜く考えてみてください。シンデレラだって、結局は舞踏会に行った、行動に出たからハッピーエンドになったわけじゃないですか。
ゴメス:言えてる言えてる……(ハッピーターンを囓りながら)。
菅原:これは恋愛の基本ですけど、仮にちょっとでも気になる男性が現れたら、「待ち」の姿勢をやめて「提供」すること。出会ったら「告白されるのを待つ」のではなく「告白する」。シンデレラパターンなんてほとんどない。理想の異性と出会える確率は0.0000034%しかないんですから。
ゴメス:その数字は……適当?
菅原:違います! ロンドンの大学院生がドレイクの方程式(※地球人と出会う可能性がある地球外文明の数を推測する方程式のこと)を応用して、導き出したものです。
ゴメス:「0」が多すぎて、あまりピンと来ないのですが……。
菅原:銀河系で知的生命体を発見する確率のたった100倍程度でしかないそう。
ゴメス:ほえ〜! まさに「王子様降臨」とは、おとぎ話レベルの妄想ってことですな。
■自分の「右側」に気を配るのがいい!?
ゴメス:ところで僕……見た目が地味めな女性が赤だとかの派手な下着を着ていたりすると、無茶苦茶萌えるんですわ。
菅原:今ゴメスさん、すご〜く重要なことを言いましたね! やっぱり、人間って“ギャップ”にコロッときちゃうんですよ。意中の男性が現れたら、そういうギャップを上手に使うのも有効な手段だと思う。メガネをかけた目立たないタイプの女性が、メガネをとったらいきなり!?……みたいな。
ゴメス:少女漫画の世界ですな。メガネ取っただけでソバカスまで消えちゃって……(笑)。「逆もまた然り」で、僕はメガネをかけたAV女優が大好きだったりします……。
菅原:そういうこと! これまで自分が「似合っていない」と避けてきたファッションアイテムをあえて選んでみる。普段、自分が買わない色の洋服を買ってみたり……。何度も言いますけど、アナタが抱いている「地味」というイメージは決して悪くない。「派手にしろ」じゃなく「イメージを変えよう、これまで頑なに守ってきた自分を解きほぐしていこうよ」ってことなのです。
ゴメス:「どうせ私なんか…」といった諦観からくる頑なさは禁物ってことですね。
菅原:我々人間は「すべてが目に見えている」と思い込みがちですが、じつは「見えている部分と見えていない部分」がある。つまり、情報の全部が脳に入ってきているわけでないので、「自分なんて…」「意中の男性がいない」と嘆いている人は、そういうブロックを外さないと、本当に意中の男性を見逃してしまう。これを「選択的注意」と呼びます。一つの事象に集中し過ぎていると他の事象が見えなくなることです。
ゴメス:「ブロックを外す」ための、なにか有効なトレーニング法みたいなものはありますか?
菅原:たとえば、違う部署の男性にわざわざ話しかけてみる。それだけでも視野は充分広がります。結果、自分がタイプじゃない男性だったとしても「このヒトはどういうヒトなんだろう?」と興味を持つことが大事。「自分に興味を持ってもらう」という待ちの姿勢ではなく、「自分から興味を持ってみること」を習慣づけましょう。
ゴメス:「セックスアピール」に関しては、どうお考えでしょう? やはり、大なり小なり意識したほうがいい?
菅原:これは真剣な話、先ほどゴメスさんが語っていた“下着論”のように、どこか隠れた部分にセクシーさを盛り込むのはアリかもしれない。谷間も太ももも露出する必要はないから、ハードルも低い。「じつは私、Tバックなのよ」と“自分だけの秘密”が一つあるだけでも、モチベーションは変わってくるはず。
勘違いしてほしくないのは、僕は「大胆な下着がいい」と言っているわけじゃない。あくまで「隠れた部分、比較的変えやすい部分から気軽に自分を変えてみましょうよ」ってこと。別に下着じゃなくても、メイクでもアクセサリーでも、なんだっていいんです。
ゴメス:僕の戯言もたまには役に立つってことですね?
菅原:はい。かなり役に立っています(笑)。次に「匂い」を変えてみるのもオススメ。嗅覚は、もっとも原始的なかたちで、脳へとダイレクトに響きますので。
ゴメス:香水とか? それにシャンプーを変えたり……?
菅原:さすが! さらには、いつものシャンプーより少々奮発して、1.5倍〜2倍くらい高価なモノに変えれば、よりマインドも上がってくる。ちなみに、右利きの人は視野の左側を重視するというのをご存じでしょうか? 「擬似的空間無視」と呼ばれている現象なんですが……。
ゴメス:また脳科学者っぽい発言! たしかに言われてみたら、僕は左利きなので右側をよく見ているような気がする……。
菅原:料理のブツ撮りで、素材が魚だったとすれば、頭の部分を左側に持っていくのもそのためです。したがって(右利き相手だと)相手にとっての左側、すなわちメイクにしても髪の分け方にしても、常に「自分の右側をより意識する」よう心がけてみてはいかがでしょう。
ゴメス:男性器がズボンの中で利き腕と逆側に流れるのとも、なにか関係ありますかね?
citrus編集部:文字数がとんでもないことになってます! そろそろ結論をお願いできませんか……?
■「絶対に譲れない部分」を脳内でシェイプしていく作業を!
ゴメス:では、先生に代わって僕がハッキリとこう申しましょう。そもそも人生においてハードルを設定するほどアンタは偉いのか? 自分の身の程を知りましょうよ……と。アウト・オブ・眼中(死語)扱いされたほうの男の身にもなってみろ!
菅原:言っちゃいましたね(笑)。誤解されぬよう正確な表現をするならば、「ハードル」という概念自体を一度払拭してみる。
アナタにとって絶対に譲れない部分を死守すべきなのは当たり前。「親を大事にしない」「女性を平気で殴る」……とかね。けれど、年収だとか顔の良し悪しだとか身長がどうのこうの……は、正直どうだっていいじゃないですか。
ゴメス:同感です。「絶対に譲れない部分」を増やしすぎるのは良くない。最低でも3つ、できれば2つにとどめておく。「両親を大事にする・暴力を振るわない・ギャンブルをしない、以上!」って具合に……。一度改めて「5つある譲れない部分を3つに、3つを2つに削ってみる」といった作業をやってみてはいかがでしょう?
菅原:悪くない! それをすることによって「自分の理想」も、おのずとシェイプアップされていきますから。
ゴメス:おお! 我々、さっきからむっちゃイイ話してません?
菅原:よかったよかった……ちゃんと上手くまとまった(笑)。
【今日の結論】
シンデレラも結局は「舞踏会に行った=行動した」から幸せを勝ち取った!
【プロフィール】
菅原 道仁(すがわら みちひと)
1970年埼玉県生まれのA型。現役脳神経外科医。クモ膜下出血や脳梗塞といった緊急の脳疾患を専門として救急から在宅まで一貫した治療システムの提供を目指し、北原国際病院に15年間勤務。現在は菅原脳神経外科クリニック院長。その診療体験をもとに「人生目標から考える医療」のスタイルを確立し、心や生き方までをサポートする治療を行う。「恋愛とは病気の一つ」をモットーとするが、本人は「すぐ恋に落ちてしまう反面、フラれたらすぐ忘れてもしまう」という至って健康体?
山田 ゴメス(やまだ ごめす)
1962年大阪府生まれのB型。関西大学経済学部卒業後、大手画材屋勤務を経てフリーランスに。エロからファッション、学年誌、音楽&美術評論、さらには漫画原作に省庁仕事まで…記名・無記名、紙・ネットを問わず、偏った幅広さを持ち味とするライター&イラストレーター。かつては『Hot-Dog PRESS』の恋愛・SEXマニュアルも担当していた「恋のマエストロ」。「百の恋愛には百の戦略がある」をモットーとし、「いまだ現役」の実体験から得た千差万別のデータに基づいたリアルなLOVEテクニックは他の追随を許さないが、自分の色恋沙汰になると案外ポンコツな一面も時折かいま見せる。
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