ミラノはローマ時代から続く歴史的なエリアが多いですが、再開発されモダンなエリアもあり、ノスタルジックとスタイリッシュな空間がクロスした街です。
ミラノのガイドブックではミラノ大聖堂や最後の晩餐、スカラ座、ナヴィリ運河へ観光することが定番になっていますが、今回はガイドブックには載っていないミラノの新しいトレンディスポット、変わったミステリースポット、地元の人が行くお買い物エリアをミラノ在住の筆者がご紹介します。
ミラノの再開発エリアで近代的な建築を眺める
ミラノの再開発エリアは、未来に向けたサステナブルに注目したプロジェクトです。ミラノ中心地は歴史を残しつつ、かつて電車が通っていた場所や工業地帯を再開発しつつあります。ここでは3つの建築を楽しめるスポットをご紹介します。
ミラノの新しいランドマーク「垂直の森」
垂直の森「ボスコ・ベルティカーレ(Bosco Verticale)」は、ポルタ・ヌォーバ(Porta Nuova)という再開発エリアにあります。イタリアの建築家ステファノ・ボエリが設計したレジデンスで、建物と周辺の植物は約20,000種類。水やりは雨水を再利用し、植物は空気の質を向上するのに役立っています。ソーラーパネルからの再生可能エネルギーもあり、最新のサステナビリティーレジデンスです。ここには、近代的なビルディング「ユニ・クレジットタワー(UniCredit Tower)」もあるのでミラノの近代的な建築が堪能できます。
日本人の建築家も携わったミラノに佇む3つのタワー
新しい地下鉄の駅「トレトッリTorre Torri(イタリア語で3つの塔)」には、3つの近代的な高層ビルがあり、その一つが建築家 磯崎新氏の設計です。
新名所3つの塔のほか、緑豊かなレジデンスと複合施設「シティライフ」や広大な公園があります。子どもが遊べる遊具や、公園にはベンチもあり、週末は芝生の上でピクニックをしている人もいて地元住民の憩いの場となっています。
プラダ財団でモダンアートを楽しむ
プラダ財団(Fondazione Prada)は、古い蒸留所を改装したスペースに現代アートやコレクションが展示されています。さまざまな入れ替え展示もあるので、行くたびに異なる作品に出会えるのも楽しみの一つ。外観がゴールドで染められた建物やガラス張りの建物などハイブランドが携わっているため、スタイリッシュな建物にも注目です。
ここでのおすすめは、アメリカの映画監督ウェスアンダーソンによってデザインされた「BAR LUCE」。エントランス棟にあるカフェは、映画の雰囲気を再現しています。
ミラノの風変わりな観光スポット
骨で囲まれた礼拝堂
ミラノのミステリー観光をご存知でしょうか。
サン・ベルナルディーノ・アッレ・オッサ教会(Santuario di San Bernardino alle Ossa)には、骨と頭蓋骨で完全に覆われた聖ベルナルディーノ礼拝堂があり、戦争や病院で亡くなった人を安置しているという説があります。
ほかにも、教会の内部にはクリストファー コロンブスの子孫の墓があり、教会内も無料で見学できます。
サンタンブロージョ教会にある不思議な木の穴
中世のロマネスク建築のサンタンブロージョ教会では、レンガ作りの美しいアーチの外観が堪能できます。また、ミラノの街を守り続けるサンタンブロージョ教会にはミステリースポットがあります。
サンタンブロージョ聖堂の左側外に「悪魔の柱」と呼ばれる木の柱があり、これはローマ時代の柱で、2つの穴があります。聖人を角で突き刺そうとしたが、角が柱に突き刺し穴ができたのだそう。そして聖アンブローズと悪魔の戦いでできた2つの穴だという伝説があります。
2つの穴からは硫黄の匂いがして、耳を当てると地獄の音が聞こえるといわれています。ぜひ、実際に行って試してみてくださいね。
「L.O.V.E.」という彫刻
ミラノ証券取引所前に「L.O.V.E.」と題した彫刻があります。
これは現代アートのイタリア人芸術家マウリツィオ・カテランの作品です。中指を上に向けている手がミラノ証券取引所の前に佇んでいます。これは、株式市場ではなく株式投資家や金融危機を引き起こしている人々に向けられているそうです。「LOVE」という文字は愛でなく、自由(Libertà)、 憎悪(Odio)、 復讐(Vendetta)、 永遠(Eternità )を表しています。ちょっとユニークな作品を見たい方はぜひ足を運んでみてください。ミラノ中心地から徒歩圏内で行けますよ。
ラグジュアリーブランドだけじゃない!カジュアルファッションエリア
ミラノ大聖堂から徒歩圏内にあるトリノ通り「Via Torino」
トリノ通りは誰もが楽しめるショッピング街です。ドゥオーモ広場の近くから始まるカジュアルなエリアで、ミラノのハイブランドエリアとは違ったミラノが楽しめます。
Zara系列のブランドPull&Bearや低価格で揃うPrimark、イタリアのファストファッションブランドOVS(オヴィエッセ)、ALCOTT(アルコット)などが軒を連ねるショッピング街です。
日本ブランド「MUJI(無印良品)」も同じ通りにあります。イタリアのプチプラコスメKIKOやSEPHORAもあり、トリノ通りへ行くと欲しいものがなんでも揃います。
ヴィンテージショップが並ぶコルソ・ディ・ポルタ・ティチネーゼ「Corso di Porta Ticinese」
トリノ通りから南に続く道に「コルソ・ディ・ポルタ・ティチネーゼ」というストリートがあります。ナヴィリ運河からも近く、ハイブランドとは異なり等身大の自分に合ったショップが見つかる場所です。
家具やヴンテージショップ、ジュエリー、レザーシューズ、STÜSSYやCarharttなどのストリートファッションから、古着屋などを見ているだけで楽しめます。
この通りには、古代ローマ時代の遺跡「サン ロレンツォの円柱(Colonne di San Lorenzo)」があり、買い物がてらロマンあるミラノの歴史が紐解けます。さらに、ミラノのナイトライフエリア「ナヴィリ運河」でハッピーアワーやディナーを楽しみショッピングの1日を終えることができますよ。
アーティストやデザイナーが移り住むおしゃれな人で賑わうポルタ・ヴェネツィア
ポルタ・ヴェネツィアは、毎年最大規模のイタリアンプライドが開催されるため、レインボー地区として知られています。地下鉄のポルタ・ヴェネツィア駅にはLGBTQ+コミュニティのシンボル、レインボーカラーが壁に広がっています。
アーティストやデザイナーが多く住んでおり、小さなお店や布生地や小物パーツを販売している手芸屋さん、雑貨店、さらにH&MやUnited Colors of Benettonなど気軽に入れるショップも数多く並んでいます。
ここでの見どころは、19世紀初頭アール・ヌーヴォー様式の建物 Casa Galimberti(カーザ・ガリンベルティ)。素晴らしいリバティの花、緑豊かな植物モチーフのペイント、セラミックに描かれたアートの装飾が特徴的です。
新しいエリアでミラノの魅力を深掘り
ミラノは古き良き景観を残しつつ、近代的な新しさも取り入れた新旧融合した街です。
クラシックな空間とモダンな空間、どちらも魅力や歴史が詰まっています。ユニークなスポット、カジュアルなショップなど、ミラノへ行ったら新しい歴史を作り出しているエリアでミラノの魅力を深掘りしてください。
https://www.veltra.com/jp/europe/italy/milano/?sid=1554
Shiho Yamaguchi
余暇プランナー
欧米のライフスタイル・サステナビリティを発信しているフリーライターです。 ニューヨーク在住中にイタリア人と出会い、現在は拠点をミラノに移し夫と娘の3人暮らしをしています。趣味は、格安フライトやフェリーで行く月1回のヨーロッパ旅行。2歳の娘は、現在12カ国の旅行を経験し旅育にも力を入れています。トリリンガル子育て中です。 旅で経験した情報をお伝えしたいと思っています。