飲み物やお菓子のカロリーや糖質を抑えたいときに役立つ「人工甘味料」。
「体に悪い」「がんになる」など、危険性のあるイメージがあるかもしれませんが、実際どのような影響があるのでしょうか?
人工甘味料の特徴を知り、メリットを活かした上手な活用法を身につけましょう。
今回の記事では「人工甘味料」について、管理栄養士が解説します。
人工甘味料とは
人工甘味料とは、科学的に合成された甘味料のことです。
カロリーを含まない、または甘さが強く使用量が少なく済むことから「カロリーゼロ」「糖類ゼロ」などの商品に使われています。
甘味料の分類は下記のとおりで、人工甘味料は「非糖質系甘味料」に分類されます。
人工甘味料の種類と特徴
代表的な人工甘味料の種類はアスパルテーム、アセスルファムK、スクラロースがあり、特徴が下記のとおり異なります。
これらの人工甘味料は、ジュース、スポーツドリンク、コーヒー、ゼリー、菓子、デザートなどさまざまな食品に使われています。
「カロリーゼロ」「糖類ゼロ」の目的のほかにも、使用量が少なく済むことから、コストダウンを目的として取り入れられることもあります。
また、人工甘味料はカロリーが低いだけではありません。血糖値に影響を与えないことも知られています。これは人工甘味料には、血糖値を上昇させるブドウ糖が含まれないことが理由です。
血糖値が気になる方でも、甘いものを楽しみたい場合に活用されています。
人工甘味料は危険?
人工甘味料は危険というイメージを持つかもしれませんが、実際はどうなのでしょうか。ひとつずつ解説します。
発がん性は心配しすぎる必要はない
人工甘味料の発がん性について心配する声もありますが、現時点では心配しすぎる必要はありません。
これは、人工甘味料などの食品添加物は、発がん性を含め、安全性が確認されたものが使用されるようになっているからです。
「アセスルファムK」「スクラロース」は、健康への悪影響がないと推定されるADI(一日摂取許容量)に基づいて使用基準が定められています。
「アスパルテーム」の使用基準はありませんが、2011年度に行われた調査により、1人あたりの平均摂取量がADIの0.001%と少ないことがわかっています。
人工甘味料に限らず、どのような食品もとりすぎると健康に影響を与えることがあるため、必要以上に怖がりすぎず、上手に活用したいものです。
長期摂取は健康へのリスクも
安全であるといわれる一方で、人工甘味料を長期的に摂取することで、下記のリスクとなる可能性があることもわかってきています。
・血糖値には影響しないが、糖代謝に影響して血糖コントロールへ影響する
・より甘いものを欲するようになるなど、肥満に影響する
人工甘味料は、まだ使用された歴史が浅いため、健康に関する影響は研究が進められている段階です。
上記のリスクを考えると、毎日のように人工甘味料を取り入れるのではなく、必要なときに上手に活用することが賢い使い方であるといえるでしょう。
※参照:厚生労働省「食品添加物 よくある質問(消費者向け)」,独立行政法人農畜産業振興機構「近年における人工甘味料の動向」,独立行政法人農畜産業振興機構「人工甘味料と糖代謝」
人工甘味料を使うとダイエットに役立つ?
人工甘味料はダイエットに役立つという報告もありますが、逆効果であるという報告もあります。
先ほども伝えたとおり、人工甘味料を使うことで、より強い甘味を欲するようになり、食欲を高めてしまう可能性が考えられています。
人工甘味料に頼りすぎるのは控えて、ダイエット中に少しだけ甘いものを楽しみたいときに活用するとよいでしょう。ぜひ次から紹介する取り入れ方の例を参考にしてみてください。
人工甘味料の上手な取り入れ方
人工甘味料を取り入れるときは、下記を参考に上手に活用しましょう。
甘いものを楽しみたいときに使う
ダイエット中の息抜きや楽しみのひとつとして甘いものを食べたくなったとき、人工甘味料を使ったものを楽しむのもよいでしょう。
人工甘味料を使ったカロリー・糖質オフの嗜好品は、甘い飲み物だけでなく、ゼリー、アイスクリーム、ケーキなど、さまざまなものがあります。
食べても罪悪感が少ないため、気持ちを切り替えて無理なくダイエットを進められるでしょう。
砂糖を多く使う料理に使う
甘めの煮物や甘辛い料理を作るときなど、料理に砂糖をたくさん使いたいときに、人工甘味料を活用するのもよいでしょう。
例えば砂糖大さじ3杯では、カロリーは106kcal、糖質は26.8gであり、料理のカロリーを一気に高くしてしまいます。
人工甘味料を使うとカロリーと糖質の量をゼロにできるため、ダイエットに役立ってくれるでしょう。
2023年5月WHOが「人工甘味料を推奨しない」と発表
2023年5月、人工甘味料についてWHO(世界保健機関)からガイドラインが発表されました。(※)
ガイドラインでは「体重管理や糖尿病などのリスク軽減のために人工甘味料の使用は推奨しない」とされています。
これは、短期的な摂取では効果がみられるという報告があるものの、長期的な摂取では、2型糖尿病、心血管疾患、死亡率の増加などのリスクがみられたという報告があるためです。砂糖のとりすぎを防ぐために人工甘味料に置き換えるのではなく、甘い食べ物や飲み物全般を減らすことが大切だということも書かれています。
繰り返しお伝えしているとおり、人工甘味料に頼りすぎないことが大切であるといえます。活用する場合は、先ほど紹介した取り入れ方をぜひ参考にしてみてください。
なお、WHOのガイドラインでは、糖尿病の方は対象外とされています。
※:WHO guideline「Use of non-sugar sweeteners」
人工甘味料を正しく使いこなそう!
今回の記事では「人工甘味料」について、管理栄養士が解説しました。
人工甘味料はカロリーや糖質のカットには役立つものの、頼りすぎない方が健康面では安心であることがわかりました。ダイエットを目的として人工甘味料を使いたい方は、そもそも甘いものが過剰になりすぎていないか?と振り返ってみることも大切といえます。
ぜひ賢く使いこなしましょう!