れんこんを調理するときはアク抜きをする方が多いと思いますが、実はれんこんの下処理にアク抜きは必須ではありません。れんこんはどんな料理に使用するかによって、下処理の仕方を変えるのがおすすめです。適切な考え方と下処理の手順について、管理栄養士が解説します。
れんこんのアク抜きは必須じゃない!目的によって下処理を変えよう
れんこんはアク抜きが必要な野菜と思われている方も多いかもしれませんが、れんこんのアク抜きは必須ではありません。れんこんのアクにはえぐみや苦みの成分が含まれるので、薄味で素材の味を活かす料理ではアク抜きしたほうがいいですが、濃いめに味付けする料理であれば味への影響は少ないでしょう。
アク抜きしないことによるメリットもあるので、どんな料理を作るのかによってアク抜きをする・しないを選ぶのがおすすめです。まずはその判断基準と、アク抜きの仕方を解説します。
変色を防ぎたいなら「水」にさらす
れんこんにはアクの成分として、ポリフェノールの一種であるタンニンが含まれており、切った断面が空気に触れると酸化して茶色く変色してしまいます(※)。変色を防ぎたいときは、切った後れんこんを水にさらしましょう。れんこんが空気に触れるのを防ぐことで酸化の進行を止めることができます。
特にれんこんの白さを活かしたサラダやなます、てんぷら料理などの場合は、水でアク抜きするのがおすすめです。
一方、切った後すぐに加熱調理するのであれば、水にさらさなくても変色はしません。ただし、鉄鍋など鉄をふくむ調理器具で煮たり炒めたりすると、れんこんに含まれるタンニンが鉄と結合し、黒く変色する原因になるので注意しましょう。
※参考:生活協同組合コープこうべ 商品検査センター「Q.れんこんを煮たら黒っぽく変色した」,古田 道夫、浅野 聡「野菜の鮮度保持と出荷調整(2)」
れんこんの苦みを抑えたい場合も「水」にさらす
れんこんに含まれるタンニンには苦みやえぐみがあり、料理の味にも影響を与えます。タンニンは水に溶けやすい性質があるため、苦みやえぐみを抑えたいときは水にさらしてから調理するようにしましょう。
サラダやてんぷらなど、レンコンの甘みを活かした料理を作る際は、水でアク抜きすると仕上がりが良くなります。
レンコンのシャキシャキ食感を味わうなら「酢水」を使う
れんこんのシャキシャキ食感を楽しみたいときは、酢水にさらすようにしましょう。れんこんのシャキシャキとした食感はペクチンと呼ばれる成分によるもので、酢につけることで分解されにくくなります(※)。れんこんに含まれるペクチンは加熱しても分解されにくい性質を持つので、調理した後もシャキシャキ食感を保つことができるのです。
きんぴられんこんなど、れんこんのシャキシャキ食感を活かした料理は酢水にさらしてから調理しましょう。
※参考:渕上 倫子「野菜・果実のペクチン質に関する調理科学的研究」
栄養をムダなく摂りたいならアク抜きはしなくてOK
れんこんは水や酢水にさらすことで苦みやえぐみを抑えたり、変色を防いだりできるメリットがある一方、れんこんに含まれる栄養素が流れ出てしまうデメリットもあります。
れんこんにはビタミンCやカリウムなどの栄養素が豊富に含まれており、これらの栄養素は水に溶けやすい性質をもっています。そのため水にさらす時間が長いほど、栄養素も流れ出てしまいやすくなるのです。
栄養をムダなく摂取したい場合は、アク抜きせずに料理するのもひとつの手です。その場合は味付けがしっかりとした煮物、細かく切って他の食材と合わせる料理など、れんこんの味が全体の味わいに影響しにくい料理を選びましょう。
れんこんのアク抜きの手順
続いて、アク抜きを行う場合の手順を紹介します。「水にさらす」「酢水にさらす」の2パターンをご紹介します。
水でアク抜きする場合
れんこんの皮をむき、好みの大きさに切る。ボールにれんこんが浸るくらいの水を入れて、5~10分ほど水にさらす。
酢水でアク抜きする場合
れんこんの皮をむき、好みの大きさに切る。ボウルに水を張り、水1リットルに対して酢大さじ1を加え、5分ほどさらしておく。
れんこんを使ったおすすめレシピ16選
最後に、れんこんを活用したおすすめレシピをご紹介します。水または酢水でアク抜きをした方がおいしく食べられるもの、アク抜きなしでもOKなものに分けて紹介しますので、ぜひご家庭で作ってみてくださいね。
「アク抜きなし」でもおいしく仕上がるレシピ
れんこん入りチキンナゲット
子どもにも大人気のチキンナゲットにれんこんを加えるだけ!不足しがちな食物繊維を手軽に摂ることができます。
れんこん入りチキンナゲット
鶏むね肉(皮なし)、れんこん、○卵、○薄力粉、○洋風スープの素(顆粒)、○ガーリックパウダー、○塩・こしょう、揚げ油、ケチャップ(好みで)
調理時間:20分
れんこんカリカリピザ
おつまみにもぴったりのレシピです。上にのせる具材をアレンジしてもおいしいですよ。
れんこんカリカリピザ
れんこん、ベーコン(スライス)、片栗粉、オリーブオイル、ピザ用チーズ、黒こしょう
調理時間:15分
豚とたたきれんこんの磯辺揚げ
れんこんを粗めにたたくことで甘みを感じやすくなります。青のりの風味が食欲を刺激し、箸が止まらなくなるおいしさです。
豚とたたきれんこんの磯辺揚げ
豚こま切れ肉、れんこん、○しょうゆ、○酒、○しょうがチューブ、○片栗粉、○青のり、サラダ油
調理時間:15分
「水」でアク抜きするのがおすすめのレシピ
鶏とれんこんのマヨポン炒め
お家にある調味料で簡単に作れます。マヨネーズ×ポン酢で子どもにもよろこばれる味です。
鶏とれんこんのマヨポン炒め
鶏むね肉、れんこん、○塩、○酒、○しょうがチューブ、○片栗粉、●マヨネーズ、●ポン酢、●しょうゆ、サラダ油
調理時間:20分
かぼちゃとれんこんのさっぱり焼きびたし
暑い夏でもさっぱりと食べられ、かぼちゃのオレンジ色とれんこんの白のコントラストがとてもきれいな一品です。
かぼちゃとれんこんのさっぱり焼きびたし
かぼちゃ、れんこん、○めんつゆ(3倍濃縮)、○酢、○砂糖、片栗粉、サラダ油
調理時間:20分
れんこんと鶏の揚げ浸し
ご飯のおかずとしてだけではなく、ビールや日本酒などのおつまみとしてもおすすめです。
れんこんと鶏の揚げ浸し
鶏もも肉、れんこん、みつば(あれば)、片栗粉、めんつゆ(3倍濃縮)、揚げ油
調理時間:20分
豚こま団子の黒酢酢豚
味に癖のないれんこんは、甘酢との相性も抜群です。食卓の主役をはれる一皿。
豚こま団子の黒酢酢豚
豚こま切れ肉、れんこん、小ねぎ(あれば)、○酒、○薄力粉、●黒酢、●しょうゆ、●砂糖、●鶏ガラスープの素(顆粒)、●片栗粉、サラダ油
調理時間:15分
れんこんと鶏肉の炊き込みご飯
炊飯器でゆっくり火を入れたれんこんは甘く、ほくほくに仕上がります。
れんこんと鶏肉の炊き込みご飯
鶏もも肉、れんこん、米、○しょうゆ、○酒、○みりん、○和風だしの素(顆粒)
調理時間:40分
「酢水」でアク抜きするのがおすすめのレシピ
れんこんとひき肉のカレーきんぴら
お弁当や作り置きのおかずにもぴったり。シャキシャキとした食感が心地いい一品です。
れんこんとひき肉のカレーきんぴら
れんこん(小)、鶏ひき肉、○めんつゆ(3倍濃縮)、○みりん、○カレー粉、サラダ油
調理時間:15分
鶏むね肉とれんこんのピカタ
少し厚めに切ることで、れんこんの食感を存分に楽しむことができます。
鶏むね肉とれんこんのピカタ
鶏むね肉、れんこん(小)、○塩・こしょう、○酒、●卵、●パルメザンチーズ、薄力粉、塩・こしょう、ケチャップ(好みで)、オリーブオイル
調理時間:20分
れんこんのはさみ焼き
れんこん料理の定番・はさみ焼きを照り焼き風に仕上げました。ジュワッと広がる肉汁とれんこんの食感がクセになります。
れんこんのはさみ焼き
鶏ひき肉、れんこん、○しょうがチューブ、○酒、○片栗粉、○塩、●しょうゆ、●酒、●みりん、薄力粉、サラダ油
調理時間:20分
れんこんのエビはさみ焼き
こちらのはさみ焼きにはぷりっとしたエビを活用!肉より魚介派の方はぜひこちらを作ってみてください。
れんこんのエビはさみ焼き
むきエビ、れんこん、○しょうがチューブ、○酒、○片栗粉、○塩、サラダ油、酢しょうゆ(好みで)
調理時間:25分
れんこんと豚バラのピリ辛炒め煮
唐辛子のピリッとした辛味がアクセント。ご飯のおかずとしてだけでなく、お酒のあてにもなります。
れんこんと豚バラのピリ辛炒め煮
れんこん、豚バラ肉(薄切り)、赤唐辛子、○しょうゆ、○みりん、○酒、○和風だしの素(顆粒)、ごま油、白いりごま
調理時間:20分
鶏とれんこんのカレー唐揚げ
カレー味にすることで、野菜が苦手な子どもも食べやすい味わいに。サクサク食感を楽しんで。
鶏とれんこんのカレー唐揚げ
鶏もも肉、れんこん、○しょうゆ、○みりん、○酒、○しょうがチューブ、●片栗粉、●カレー粉、揚げ油
調理時間:30分
牛肉れんこんの甘辛炒め煮
冷めてもおいしく食べれるので、作り置きおかずにしても。甘辛い味付けでご飯が進みます。
牛肉れんこんの甘辛炒め煮
牛こま切れ肉、れんこん、○しょうゆ、○酒、○みりん、○砂糖、ごま油、七味唐辛子(好みで)
調理時間:15分
鶏とれんこんの甘酢炒め
濃いめに味付けした大皿料理も、鶏むね肉と合わせればヘルシーに。れんこんの食感が料理全体にメリハリをつけてくれます。
鶏とれんこんの甘酢炒め
鶏むね肉、れんこん、小ねぎ(あれば)、塩・こしょう、片栗粉、○しょうゆ、○酢、○砂糖、○酒、○鶏ガラスープの素、○片栗粉、サラダ油、ごま油
調理時間:15分
れんこんは作りたい料理に合わせてアク抜きしよう
れんこんはアク抜きをする・しないで、得られるメリットが異なります。見た目や味、食感を重視したいときはアク抜きをし、栄養をムダなくとりたいときはアク抜きせずに調理しましょう。料理に合わせて適切に下処理をして、おいしいれんこん料理を作ってくださいね。