「朝目が覚めたら、気持ち悪いし頭も痛い……。そういえば昨日飲みすぎたせいかも?」そんなときは、できるだけ早く二日酔いから解放されたいものですよね。いったいどのように対処したらよいのでしょうか?二日酔い緩和に役立つ食べ物・飲み物や、二日酔いの予防方法を管理栄養士が解説します。
二日酔いはなぜ起きるの?
お酒を飲みすぎた次の日、頭痛・胃もたれ・吐き気・だるさなどを感じたり、不眠気味だったりした経験はありませんか?
これらはいわゆる「二日酔い」と呼ばれる症状です。
二日酔いの原因は、ずばり「お酒の飲みすぎ」。しかし、お酒の飲みすぎたときに、身体の中でどのようなことが起こって体調不良が起こるのか、はっきりとしたメカニズムはわかっていません。
これまで行われてきた研究によると、以下のような現象が絡み合った結果、二日酔いの症状があらわれるのでは?といわれています。
・アルコールの影響で脱水状態となり、体内の水分が減ってしまった
・お酒を大量に飲みすぎて、アルコールを代謝するときにできる有害な物質「アセトアルデヒド」を処理しきれず、体内に残ってしまった
ただし、あくまでもこれらは一例にすぎず、現在も多くの可能性が考えられています。
※参考:厚生労働省 e-ヘルスネット「二日酔いのメカニズム」/厚生労働省 e-ヘルスネット「アセトアルデヒド 」
二日酔いになったら摂っておきたい食べ物・飲み物は?
では二日酔いの緩和に役立つ食べ物や飲み物には、いったいどのようなものがあるのでしょうか?
第一に水分補給!「水」がおすすめ
アルコールには利尿作用があり、また、アルコールを代謝するためには水分が欠かせません。
そのため、二日酔いのときは身体の水分が足りず、頭痛や気持ちの悪さの引き金になっているおそれがあります。
たくさんお酒を飲んだ次の日は、意識して水分を補うようにしましょう。
水分補給としては水や麦茶など、ノンカフェインでカロリーの含まれない飲み物がおすすめ。コーヒーなどに含まれるカフェインには、アルコールと同じく利尿作用があるので、かえって脱水症状がすすんでしまうことがあるので要注意です。また、胃の調子が悪い場合はカフェインが刺激になるおそれも。水分補給だからといって、大量に飲むのは控えましょう。
また、水だけでなくスポーツドリンクを活用するのもよいでしょう。糖分・塩分がバランスよく配合されており、素早く水分が身体に吸収されます。ただし、甘さがある分カロリーも高めなので、飲みすぎには要注意。カロリーオフタイプのものを選ぶなど工夫ができるとよいですね。
消費された「ビタミンB1」を補う!豚肉・玄米・そば・大豆など
アルコールを分解するときに身体の中では「ビタミンB1」が消費されます。
二日酔いになるくらいお酒を飲みすぎると、より大量のビタミンB1が消費されている可能性も……。それを補うためにも、二日酔いのときはビタミンB1が多く含まれる豚肉・玄米・そば・大豆・レバーなどが使われた料理を積極的に取り入れてみてください。
可能であれば、お酒を飲むときのおつまみとしてビタミンB1が多い食材を選ぶと二日酔い予防に役立ちます。
たとえば、枝豆・冷奴・湯豆腐・レバニラ・豚キムチなどがおすすめです。
「ビタミンC」が豊富な果物
アルコールは分解する途中で、「アセトアルデヒド」という物質が作られます。このアセトアルデヒドは身体にとって毒となる物質なので、害がない物質に作りかえなければいけません。
アセトアルデヒドが害のない物質に代謝されるとき、身体の中にあるビタミンCが使われます。ビタミンCを体内に取り入れ、どんどん有害な物質を処理するためにも、オレンジやキウイフルーツなどビタミンCが豊富な果物を食べるとよいでしょう。
ビタミンCが多い果物の中でも、柿は二日酔いをやわらげる効果が期待できると、特に注目されています。
美肌や二日酔い解消にも!秋の味覚・柿の栄養成分を管理栄養士が解説
秋の味覚の1つである柿。カットしてそのまま食べるのはもちろん、サラダやシャーベット、干し柿にしてもおいしく、案外アレンジの幅が広いフルーツです。そんな柿はビタミンやミネラルがたっぷり!美肌づくりや二日酔いの解消にも効果が期待できるといわれています。そこで今回は、魅力たっぷりな柿の栄養成分を、管理栄養士が紹介します。
また、二日酔いになるとダルさ・気持ち悪さを感じる低血糖症状があらわれることも。
果物には果糖が含まれており糖分の補給ができるため、低血糖の症状をやわらげることにも役立ちますよ。
ウコンドリンクは二日酔いに効果的?
ウコンにはクルクミンという成分が含まれ、肝臓の働きを改善する効果が示唆されています。このことから「二日酔いの予防・緩和によい」と解釈され、ウコンドリンクを飲み会の前後に飲む方も多いよう。
しかし、ウコンドリンクに二日酔いを予防したり、二日酔い症状をやわらげたりする効果があるかどうかは、現段階では明らかにされていません。また、ウコンを長期間過剰に摂取することで肝機能障害を起こしたという報告もあります。
「ウコンドリンクを飲めば、たくさん飲んでも安心!」と過信せず、お酒の量が多くなりすぎないように気を付けましょう。
※参照:国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所「「健康食品」の安全性・有効性情報」
コンビニやスーパーで食べ物を揃えるときは?
先に説明したように、まずはしっかりと水分を摂ることが重要です。
家に十分な水分がない場合は、ミネラルウォーターやスポーツドリンクを購入するようにしましょう。
また、食事をしっかり摂ることも大切です。
「二日酔いで気持ち悪いし、食べなくてもいいや……」と食事を抜くのは避けましょう。大量にお酒を飲むと、身体はアルコールを分解することに集中するため、気づかないうちにエネルギー不足となることがあります。
個人差はありますが、おかゆなどの消化のよいもの・麺類などのツルツルとした食感のもの・果物・ゼリー・スムージーなどが、食欲がないときでも比較的食べやすいでしょう。
料理をする元気がないときは、コンビニやスーパーなどで食べられそうなものを買って、少しでもお腹に入れてあげるようにしましょう。
食材を購入するときのポイントは次のとおり。
ビタミンB1・ビタミンCが摂れる食材を選ぶ
ご紹介したとおり、二日酔いのときに不足しがちなビタミンBやビタミンCを補える食事を選ぶように心がけましょう。
ビタミンB1補給には、雑穀米を使ったおにぎり・たらこおにぎり・全粒粉のパン・枝豆など、ビタミンC補給には、サラダ、カットフルーツなどがおすすめです。
「消化にいいもの」を選ぶ
二日酔いのときは吐き気をもよおしていたり、胃がむかむかしたりと、胃腸の調子が悪くなっていることも。
胃の調子が悪いな…という場合は、主食(炭水化物)には、うどんやそうめんなど消化のよいものを選ぶのがおすすめです。
その際、天ぷらがトッピングされたものなど、脂質の多いものは消化に悪いため、避けるようにしましょう。そのほか、スープや卵豆腐・冷奴なども胃腸に負担がかかりにくく、二日酔いの緩和に役立ちますよ。
刺激の強い香辛料は避ける
コンビニやスーパーなどはお惣菜のレパートリーが豊富で、辛い料理やスパイスが使われた本格的な商品も多く市販されています。これらは胃腸の負担となり、胃が荒れる原因にもなりえるので、二日酔いのときは避けた方がよいでしょう。
そもそも二日酔いにならないためには?
ここまで二日酔いになったときの対処法をお伝えしてきましたが、そもそも二日酔いにならないように予防することも大切です。二日酔いにならないためのお酒の飲み方について解説します。
お酒の適量を知る
二日酔いの原因はお酒の飲みすぎであるため、二日酔いになるまで飲まないことが大切です。
自分の適量を把握しておきましょう。1日の飲酒量の目安は、以下の通りです。
- ビール(ロング缶:500ml)…1本
- 日本酒…1合
- ワイン…グラス2杯
女性の場合は、肝臓が小さくてアルコール分解能力も低い傾向にあるため、上記の半量~2/3程度の量までに抑えましょう。
なお、週に2日は休肝日を確保することが理想的です。
食事と一緒にたしなむ
お腹が空いたままお酒を飲んだり、一気飲みをしたりすると、アルコールの血中濃度がググッと急激にあがり、悪酔いの原因に。
アルコールの代謝が追いつかなくなる恐れもあるので、食事と一緒にゆっくりと味わいましょう。
チェイサーも一緒に
お酒を飲むときは、水をチェイサーとして一緒に飲むように心がけましょう。アルコールの分解に必要な水を補給できるだけでなく、水を飲む分無理なくお酒のペースを落とすことができ、お酒自体の量を減らしやすくなりますよ。
これで二日酔いも怖くない!
二日酔いになったときにおすすめの飲み物・食べ物、また、二日酔い予防に習慣についておご紹介しました。
「これさえ食べれば二日酔いにならない・二日酔いの症状がなくなる」という特定の食べ物はありませんが、お酒を飲むことで不足してしまう水分・ビタミンB1・ビタミンCを補いながら、つらい二日酔いを乗り切りましょう!