料理に使おうとしたしいたけに白いカビ!?でも、捨てるのはちょっと待って。その白いフワフワは、カビではなく気中菌糸と呼ばれるしいたけの一部かもしれません。この記事では、しいたけの気中菌糸とは何なのか、カビとの見分け方などについて解説します。しいたけをムダなく安全に食べるためにも、ぜひ役立ててくださいね。
しいたけにワタのような白いフワフワが……その正体は?
しいたけを冷蔵庫から取り出すと、いつの間にかワタのような白いものが生えていることがあります。一見するとカビのように思えますが、この白いフワフワの正体は何なのでしょうか。
多くの場合、カビではなく気中菌糸(きちゅうきんし)
しいたけの傘や軸に付いた、白くてフワッとした付着物。一見カビのようですが、そのほとんどが「気中菌糸(きちゅうきんし)」というしいたけの一部です。
そもそもしいたけなどのきのこ類は、菌糸と呼ばれる糸状の菌が集まってできている菌類の仲間。そんなしいたけの表面に発生する気中菌糸は、しいたけの一部が菌糸に戻った姿なのです。カビではないため、食べても身体に害はありません。
ただし後述するように、色味や形状によってはカビである可能性もあります。よく見た目をチェックをしてから食べるようにしましょう。
気中菌糸が気になる場合は、拭き取ってから使えばOK
気中菌糸はカビではないとはいえ、その見た目ゆえに食べるのを躊躇してしまう方もいらっしゃいますよね。そのまま調理に使うことに抵抗がある場合は、濡らしたキッチンペーパーや布巾でサッと拭き取りましょう。ただし、しいたけは水分に弱いため、水で洗うのはできるだけ避けてくださいね。
気中菌糸の発生を抑えるコツは、空気に触れさせないこと
気中菌糸は、しいたけが空気に触れることで表面に増えやすくなります(※)。しいたけを保存するときは、密閉のできる保存袋に入れ、空気をできるだけ抜いた状態で保存しましょう。
気中菌糸が増えると見た目が悪くなり、思わず「カビが生えた!?」とおどろいてしまいます。また、気中菌糸はしいたけ自体が栄養源となって成長しているので、鮮度が落ちている可能性も。新鮮でおいしいしいたけを楽しむためにも、できるだけ気中菌糸を増やさないように気を付けましょう。
※参照:JA全農長野「長野県の農畜産物 ぶなしめじ|きのこ一覧|きのこ|」
気中菌糸とカビとの見分け方
気中菌糸は食べても身体に影響がないことを解説しましたが、カビの場合はどうでしょうか?気中菌糸とカビの見分け方についても、わかりやすく説明します!
青色や緑色の付着物は青カビ!食べるのはNG!
しいたけに生えやすいカビは青カビと呼ばれる青色・緑色がかったカビ。白色の気中菌糸とは異なる見た目をしています。
青カビは食中毒の原因になりえるため、しいたけに青色・緑色の付着物がある場合には食べないようにしましょう。
気中菌糸はフワフワとしたワタ状、カビはサラッとした粉状
気中菌糸はこれまで説明してきたように、ワタのようなフワフワとした見た目をしています。一方、カビはサラサラとした粉のような見た目。形状も異なるので、色味と合わせて確認してみてくださいね。
カビの発生を防ぐには、湿気対策をして冷蔵保存か冷凍保存!
カビは高温多湿を好むため、暑くなりすぎない環境で、湿気がこもらないように保存する工夫が必要です。おすすめは冷蔵保存か冷凍保存。冷蔵保存をするときは、しいたけを2~3個ずつキッチンペーパーで包んでから、保存袋に入れて保存しましょう。
冷凍保存の場合は、傘と軸を切り分け、生のまま冷凍用保存袋に入れて保存しましょう。しいたけの冷凍保存については、こちらの記事で詳しく解説しています。
しいたけは冷凍保存がおすすめ!長持ちして旨みも増す保存方法
煮物や炒め物などにも大活躍するしいたけは、栄養価が高く旨みも多いので、献立に積極的に取り入れたい食材のひとつです。その一方で傷みやすい性質もあるため、長期間保存するなら冷凍保存がおすすめです。この記事では具体的な保存方法や保存可能な期間について、管理栄養士が解説します。
「自宅栽培キット」の菌床に生えるカビはどうするのが正解?
最近はおうち時間が増えたこともあり、栽培キットを使ってお子さんと一緒にしいたけを育てている、というご家庭もあるのではないでしょうか?ここでは、しいたけの菌床にカビが生える原因や対処方法を紹介します。
菌床に青カビが発生!その原因は?
しいたけの栽培方法には原木栽培と菌床栽培の2種類があります(※1)。
- 原木栽培…樹木を適当な長さに切り出した「原木」に種菌(しいたけの菌糸体を含む菌)を植え付けて栽培する方法
- 菌床栽培…粉砕した木(おがくず)と米ぬか、ふすま、栄養剤などを合わせて固めた「菌床ブロック」に種菌を植え付けて栽培する方法
ご家庭でしいたけを育てる場合には、あまりスペースを必要とせず、短い日数で収穫ができる「菌床栽培用」の栽培キットが人気です。しかし、育てている途中で菌床ブロックに青カビが生えてしまうというトラブルも多いそう。菌床にカビが生えてしまう原因は、主に次の2つが挙げられます。
- 水分が少なすぎて菌床ブロックが乾燥している
- 水を与えすぎて湿度が高くなりすぎる
しいたけ栽培では適切な湿度管理ができていないことが、青カビを発生させる原因となります(※2)。キットに付属の栽培方法に従って栽培環境を整えたり、水やりのタイミングを調整したりして対処しましょう。
※参照:(※1)椎茸祭「椎茸に"原木椎茸"と"菌床椎茸"があるのをご存知でしょうか」、(※2)カネコ種苗株式会社「菌床キノコ栽培セット でるまっしゅ」
青カビができたときの対処法
菌床ブロックに青カビが発生すると、ブロックが傷みやすくなり、しいたけの出来も悪くなってしまいます。青カビが発生したら、できるだけ早く取り除いてくださいね。
しいたけを育てている途中で青カビが発生した場合は、スプーンなどでカビを取り除き、風通しのよい場所に移して栽培を続けましょう。しいたけを収穫してから2週間~4週間程度の期間(休養期間中)であれば、菌床を指で触ったりこすったりせず、水で洗い流してください(※)。
※参照:きのこ栽培塾「キノコの疑問Q&A」
カビとの見分け方を知り、安全にしいたけを楽しもう
しいたけに生える白いフワフワとしたものは気中菌糸と呼ばれるしいたけの一部であり、食べても身体に害はありません。その一方でカビは食中毒の原因になるので、生えているのを見つけたら、残念ですが廃棄する必要があります。
しいたけを安全に食べられるよう、気中菌糸とカビの見分け方をしっかりと押さえておきましょう。