マルチに使える重曹やクエン酸はナチュラルクリーニングの代表的な存在。それぞれ特徴が異なるため、家の汚れにあった使い分けをすることが大切です。両者の特徴と、それぞれを使った実際のお掃除方法について家事代行サービス「CaSy」のキャスト育成講師・網元紀子さんに教えてもらいました!
そもそも、ナチュラルクリーニングって何?
最近、お店の洗剤コーナーでよく見かけるようになった重曹やクエン酸。「ナチュラルクリーニング」の代表例として取り上げられることも多く、興味を持っている人も多いのではないでしょうか?
「ナチュラルクリーニング」とは、自然由来の天然成分を使ってお掃除することです。天然成分なので赤ちゃんやペットがいる家庭でも安心して使え、お肌にも環境にも優しいお掃除ができます。
また重曹やクエン酸などを代表としたナチュラルクリーニングに使うクリーナー(洗剤)は、基本的に大容量かつお手頃な価格で購入できることが多く、家中の場所を問わず使えるので、経済的にお得なのも魅力です。
ナチュラルクリーニングで使われるクリーナー
ナチュラルクリーニングには5つのクリーナーがあります。
1. クエン酸
2. 重曹
3. セスキ炭酸ソーダ
4. 過炭酸ナトリウム
5. アルカリ電解水
このなかでクエン酸だけが酸性で、他の4つはアルカリ性の性質を持っています。掃除では性質が反対のもの同士を合わせると汚れが落ちやすいため、酸性のクエン酸はアルカリ性の汚れに強く、水垢などの水回りのお掃除が得意です。一方、他の4つはアルカリ性なので皮脂などの酸性の汚れに強いとされています。
得意な汚れの例
- アルカリ性のクリーナー:身の回り全般、特に油汚れや鍋の焦げ落とし、手垢などの皮脂汚れ 他
- 酸性のクリーナー:水垢、石けんカス、尿石・黄ばみ 他
今回は特に、家事で使用しやすい重曹とクエン酸の特性をみていきましょう。
重曹とは
重曹の成分は炭酸水素ナトリウム。水を含むと弱アルカリ性になり、酸を中和します。特徴としては、次の5つの作用があります。
- 研磨作用 (クレンザーの役目)
- 軟水作用 (硬水から軟水に変える)
- 中和作用 (酸性の汚れとくっついて中和し汚れを取れやすくする)
- 消臭、吸湿作用 (湿気を吸ってくれたり臭いを消してくれたりする)
- 発泡作用 (こびりつきを剥がす)
重曹は弱アルカリ性なので、油汚れや手垢などの酸性の汚れにはとっても効果的です。また人体に無害な物質なので、お風呂の入浴剤や、べーキングパウダーの主成分として料理や胃薬に使われるなど、古くから使用されています。
こびりついた頑固な焦げ付きや茶渋を落としたり、生ゴミや靴など酸性のニオイを中和して消臭してくれたりと、身の回りの掃除にマルチに活躍してくれる頼もしい存在です。
重曹の使い方とお掃除実例
重曹は粉のまま使う方法もあれば、お湯に溶かしてスプレーを作ったり、ペースト状にして使う方法など、それぞれの場所にあった使い方があります。
①「そのまま、ふりかける」でニオイとり
重曹は生ゴミに直接ふりかけると消臭作用が働き、何もしないときよりグッとニオイが抑えられます。
またカーペットにそのままふりかけて2〜3時間放置したのち掃除機で吸い取れば、重曹が汚れや嫌なニオイを吸収してくれます。これだけでカーペットの悪臭にサヨナラでき、簡単に脱臭できます。
②お掃除万能な「重曹スプレー」
電気のスイッチなど皮脂汚れの部分や、キッチンの油汚れなどには「重曹スプレー」を吹きかけて掃除をするのがおすすめ。吹きかけたら汚れを直接拭き取りましょう。
キッチンをはじめ、玄関の床や扉、テーブルの上の食べこぼしや手垢の拭き掃除、ベランダ、フローリング(無垢材や生木といった材質には使えません)の拭き掃除など色々な場所で活用できますよ。
<重曹スプレーの作り方>
40℃くらいのお湯200mlに重曹を小さじ2杯入れてまぜるだけ。水だと重曹が溶けづらいのでお湯を使うのがおすすめです。
<重曹スプレーの使用例>
③「重曹ペースト」で頑固な汚れにサヨナラ!
頑固な汚れのお掃除をするのに役立つのが「重曹ペースト」。重曹が持つ研磨と分解のパワーを使い、汚れをこすってお掃除します。キッチンのコンロ周りなど、ベトベトの油汚れに効果的です。
<重曹ペーストの作り方>
湯(ぬるま湯程度でOK)1:重曹2の割合で混ぜ、トロリとしたら出来上がり。
<重曹ペーストの使用例>
油汚れがギトギトについているオーブントースターの例で紹介します。
1. 汚れを覆うように重曹ペーストをしっかりと塗ってラップで湿布し、1時間ほど放置する。
2. ペースト部分を水拭きで拭き取る。汚れが強い部分はメラミンスポンジでこすっても。
※重曹をしっかり拭き取らないと白っぽく跡が残るので注意。またメラミンスポンジが使用NGの材質もあるので、確認してください。
重曹を使う際の注意点
重曹はとても便利な素材ですが、相性の悪い材質もあります。必ず使用できるものかどうか確認してから使いましょう。
重曹を使ってはいけない材質
- アルミや銅素材のもの(黒ずみなどの変色の可能性がある)
- 畳や木などの天然素材(変色の可能性がある)
- 大理石、漆、ワックスなどの塗装がされているもの(傷つける可能性がある)
クエン酸とは
続いてクエン酸について説明します。
クエン酸はレモンなどの柑橘類をはじめ、梅干しや酢などの酸っぱい食品によく含まれており、お掃除にも大活躍する優秀アイテム。酸性のクエン酸は、アルカリ性の汚れを中和して落とすのが得意です。また、殺菌効果もあるので汚れを落としながら消臭や除菌もできます。
アルカリ性の汚れとして代表的なものが水垢です。他にもお風呂場などの水回りに付いた石鹸カスや、トイレのアンモニア臭、尿石・黄ばみにも役立ちます。
魚のニオイがついたグリルやまな板にも、抗菌と消臭に効果が。さらに、洗濯では柔軟剤の代わりとしても使え、まさに水回り掃除にはもってこいのクリーナーだと覚えておきましょう。
クエン酸の使い方とお掃除実例
クエン酸をお掃除につかうときはそのまま使ったり、スプレーを作って使ったりします。水回りのお掃除に重宝するクエン酸スプレーは、作り方を覚えておけば何かと使えてとっても便利ですよ。
では、具体的にどんなふうにお掃除に使えるのが説明します。
①食洗機にこびりついた水垢をクエン酸で撃退!
食洗機にこびりついた水垢も、クエン酸で簡単にお掃除ができます。中の部分が水垢で白っぽくなっている食洗器でもすっきりキレイになりますよ。
1. 食洗機の洗剤投入口にクエン酸を大さじ1〜3を入れて運転スタート(食器は入れない)。
2.「洗い」が終わったら一時停止し、ブラシや布巾で水垢を取り「すすぎ」をスタート。
②クエン酸スプレーで蛇口をサッとお掃除
洗面所の蛇口などについた水垢はクエン酸スプレーがあれば便利。近くに収納しておけば、思い立ったときにサッとおそうじできます。
<クエン酸スプレーの作り方>
スプレーボトルに水200mlと小さじ1杯のクエン酸を入れ、よく混ぜて出来上がり。
<クエン酸スプレーの使い方>
1. 蛇口まわり全体にクエン酸スプレーを拭きかける。
2. 汚れが強いときはペーパータオルなどで蛇口をくるみ、その上からもう一度スプレーをする。
3.5分たったらペーパーを剥がして水拭きする(マイクロファイバークロスがおすすめ。
4. 乾いたマイクロファイバークロスで水気が残らないように拭く。
③トイレ掃除では消臭効果と抗菌効果を発揮
トイレの気になるニオイを抑えるために、壁や床にクエン酸スプレーを吹きかけて拭きましょう。これらはニオイが隠れている場所なのです。
クエン酸には除菌・抗菌効果があるので、もちろん便器や便座の掃除にも使えます。ただし、トイレタイルが使われているところは気をつけて。酸で変色してしまう恐れがあります。
クエン酸を使う際の注意点
クエン酸を使用する際は、塩素系漂白剤と併用しないように注意が必要です。「カビキラー」などの塩素系漂白剤は、クエン酸と混ざると化学反応がおき、有毒な塩素ガスが発生します。命に関わるので、十分に気をつけてください。
またその他、相性の悪い材質があるため使用時には確認するようにしましょう。
クエン酸を使ってはいけない材質
- 大理石などの石才(溶けてツヤがなくなる)
- コンクリート(劣化が早まる)
- 鉄などの金属(錆びやすい)
重曹とクエン酸を混ぜてもOK?
ナチュラルクリーニング同士の重曹とクエン酸。両者は合わせて使用してもOKです。
重曹とクエン酸スプレー用として作ったクエン酸水を合わせると、二酸化炭素の「泡」が発生します。この泡は排水口のぬめりや汚れを浮き上がらせる効果があるので、合わせて使うことで掃除に効力を発揮します。
また重曹でお掃除をしたときに、重曹の後が白く残ることがありますが、クエン酸スプレーで拭くと重曹のアルカリが中和され、残った白さもきれいに取れます。
重曹とクエン酸は得意な掃除場所が違います。それぞれの苦手な掃除場所を補い合えるクリーナーであると覚え、汚れがどんな性質なのかを把握したうえで日々のシンプルなお掃除に役立ててくださいね。