実は鳥取が日本随一の「純米酒の聖地」だという話、みなさん知っていますか?
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純米酒の生産比率約8割を誇り、県内には18の酒蔵があります。また「酒は純米 燗ならなお良し」の言葉を残し、『夏子の酒』に登場する酒造技術者のモデルにもなった酒造指導者、上原浩氏のふるさとでもあるんです。
2024年11月には純米酒の魅力をいちばん感じられる「燗酒」をピックアップし、料理と合わせて楽しみながらマリアージュを競う「燗椀グランプリ」も初開催されました。
今回はそんな鳥取県の日本酒について、そして燗酒の魅力についてお伝えいたします。
鳥取県の日本酒の特徴とは?
スッキリとした飲み口でありながらも深みがあり、料理と一緒に飲むことでさらにうまみが出てくるようなお酒が多いのが特徴。
県内では、玉栄(たまさかえ)、五百万石(ごひゃくまんごく)、強力(ごうりき)、山田錦(やまだにしき)などの酒米が生産され、最近は「強力」に再度注目が集まっているのだそう。
この「強力」という酒米は鳥取にしかなく、大正時代に在来種から選抜されたもの。ただ背丈が高く粒も大きめでなかなか育てにくいということから、一度姿を消した酒米なんです。幻となった「強力」を復活させ、再び醸造が始まったのが平成元年。鳥取県のお酒への愛、そして地元のもので日本酒を造ろうという熱量がつまった酒米なんです。
また、鳥取には水にも特徴が!冬場は雪も多い山陰地方、中国山地の雪解け水が地中でろ過され、この地下水を酒造りで使用している酒蔵が多いのだそう。かなりの軟水で、きめの細かい口当たりがまろやかな日本酒を作ることができる。良い自然環境が育んだ水が、鳥取県の日本酒の酒質に繋がっているんです。
今回は現地で、鳥取県酒造組合の副会長も務める「太田酒造場」5代目社長・太田章太郎さんに鳥取県の日本酒について、さらに詳しいお話を聞いてきました!
燗酒が美味い!「太田酒造場」太田章太郎さんが語る鳥取 純米酒の魅力
鳥取の日本酒に共通している点を分かりやすくいうと「あたためて美味しいお酒」だと思います。もちろん冷やして美味しいものもありますが、あたためるとより美味しさが際立つものが多いような印象です。鳥取県出身の酒造指導者、上原浩氏の言葉にもある通り、「酒は純米 燗ならなお良し」のスタイルでやられている蔵も多いのではないでしょうか。
また、お米にもかなりこだわっていると思います。うちでは県内生産のお米のみを使用しています。溶けやすく柔らかく、たんぱく質が少なめなお米を選んで使用しているのですが、中には自社で酒米を栽培している酒蔵さんもいらっしゃいます。お米にもしっかり向き合っているので、お米の味を感じやすい「純米酒」の聖地になっているのではないかと。
鳥取といっても横にも長いので、もちろん地域によっての違いもあります。ざっくり分けると、東部のほうでは燗酒に合うようなお酒が多く、西部のほうではスッキリとしていて冷酒でも楽しめるようなお酒が多いように感じます。
2024年11月には初の「燗椀グランプリ」が開催されました。温めて美味しい日本酒の特徴としては、「お米が溶けていて」「ある程度の酸味がある」ものだと考えています。お米の味がしっかりと出ていて、料理との相性を考えるとある程度の酸味があった方が良い。長い間発酵させると酸味が出てくるのですが、これが食事と合わせることを考えると、かなり大切なポイントだと思うんです。
そして意外にも、燗酒はどんな食事にも合うんです。太田酒造場で造っている「辨天娘」はスパイスが効いた料理にもよく合い、他には豚肉を使った料理なんかが得意です。私は熱々にして飲むのが好きですが、好みの温度帯はそれぞれが違っても良いと思っています。ぜひ自分の好きな「辨天娘」を探しながら楽しんでいただきたいですね。
太田酒造場
HP:https://www.bentenmusume.com/
Instagram:@bentenmusume.sake
燗酒が楽しめる中華料理屋!?米子市にある人気店「山陰中華 八仙閣」へ潜入
燗酒が楽しめる中華料理屋があると聞き訪れたのは、鳥取県米子市西福原にある「山陰中華 八仙閣」。米子空港からは車で約20分、米子駅からはバスで30分ほどの場所に位置する、創業50年の地元でも人気の中華料理屋です。1番の人気料理は「山陰ちゃんぽん」で、50年前からの看板メニューでもあるんだとか。
山陰に根付いた食材や文化を受け継ぐスタイルで「山陰でしか食べられない山陰中華」を提供している八仙閣。化学調味料不使用で、素材の味が存分に引き出された料理を楽しむことができます。
今回はそんな「山陰中華 八仙閣」にて、燗酒好きな店主オススメのペアリングを3つ教えていただきました!
穴子の麻辣炒め×辨天娘 青ラベル
はじめにいただいたのはこちらのセット。「辨天娘 青ラベル(R 4BY 14番娘)」をお燗にして出していただきました。スパイスが香る穴子の麻辣炒めは、辨天娘のしっかりとした味わいと相性抜群。
揚げ物を食べた後の少しもったりとしている口を、辨天娘がさらっと流してくれます。太田社長へのインタビューでも「スパイスが効いた料理と合う」とのお話もありましたが、この合わせ方は自宅ではできない、中華料理専門店ならではのペアリングでした。
青椒肉絲×カルシス ゴールド
次にいただいたのは特製の青椒肉絲と、久米桜酒造「民族の酒 カルシス ゴールド」のお燗。鳥取県の黒毛和牛として知られる万葉牛が贅沢に使われており、上には塩らっきょうのスライスが。
青椒肉絲にない酸味を「カルシス ゴールド」が補い、お酒と合わせて初めて料理が完成するようなペアリングとなっていました。お酒は1割加水されており、少し酸味は薄まっているようですが、まるでワインを飲んでいるかのような気分になる日本酒でした。アルコール度数も10%ほどの日本酒なので、甘酸っぱくともスッと体に入っていきます。
牛骨麻婆×笊(ざる)
最後は2024年11月に開催された燗椀グランプリ、酒肴の部にて銀賞を受賞したペアリング。牛骨麻婆と「R5BY 梅津の生酛 笊(ざる) 玉栄80%精米」のお燗を合わせたセットです。熱々の状態で運ばれてきた牛骨麻婆は、スパイスが効いていて、牛すね肉もたっぷり入っていました。寒い季節にも嬉しく、体がかなり温まります。
お酒は4割加水をし、米の甘みを表現して味わいがよく分かるようにしているとのこと。燗椀グランプリは「酒肴」の部での出場だっため、麻婆豆腐に合う白ご飯をにごりの燗酒に置き換えて合わせたそうです。白ご飯を食べるようなイメージで流すように飲む、こちらも料理とお酒が合わさって完成するペアリングでした。
山陰中華 八仙閣
〒683-0805 鳥取県米子市西福原7-12-27定休日:月曜日
※今回ご紹介したメニューについて
「牛骨麻婆」は夜のアラカルトメニューにて注文可能。
「穴子の麻辣炒め」「青椒肉絲」についてはコースのみでの提供となっており、またコース料理については、その日にある素材で内容が変わる可能性があるとのことですのでご注意ください。
日本酒好きならぜひ試したい!鳥取の純米酒で燗酒を楽しんでみては?
「燗酒」と聞くと、どんな食事と合わせるべきなのか、何℃くらいがベストなのか、など色々と考え、ついつい構えてしまいがち。しかしお話を聞いていると、実は料理を選ばず、和食以外の食事とも相性が良かったんです!
ぜひこの冬は居酒屋や自宅で、ゆっくりと燗酒を楽しんでみてはいかがでしょうか?