みなさんは「アップサイクルビール」をご存知ですか?
「アップサイクル」とは、廃棄されるはずの素材や商品を新たな付加価値を持たせることで、別の新しい商品にリサイクルすることを指します。地球や自然環境に対する意識の高まりにともない、近年はさらに注目を集め、食品業界やファッション業界、建築業界などでアップサイクルの機運が高まっています。
そんななかビール業界においても、本来捨てるはずだったパンや果物など、さまざまな原料を使用したアップサイクルビールが続々登場しているんです。普段飲んでいるビールが世の中の役に立ってるなんて、なんだか自分もちょっと良いことをした気分になって嬉しい。
そこで今回は、現在オンラインショップで購入できるアップサイクルビールを、素材別に全8種類をご紹介します!
もくじ
【パン】
1. Bread NZ Pale Ale
2. 蔵前WHITE
3. BREAD
【フルーツ】
4. さんむRED
5. SOSEINO ワイニーエール
【飲料】
6. 蔵前BLACK
7. 狭山GREEN
8. SOSEINO 酒粕ベルジャン
【パン】
1. 創業100年のパン屋さんによる“もったいない”がはじまり
『Bread NZ Pale Ale』(Boulanferme x NUMBER NINE BRWERY)
神奈川県海老名市にある、大正12年に創業したパン屋さん「Boulanferme(ブーランフェルメ)」の、廃棄されるパンに対しての“もったいない”という気持ちからはじまった、アップサイクルビールプロジェクトによるビール「Bread NZ Pale Ale」。その想いに共感した「NUMBER NINE BREWERY」が醸造を手がけました。
丁寧に乾燥させたパンミミスティックを原料に使うことで、味わいに深みが出て、全体的にバランスがよくなっているのが特徴。
さらに、醸造責任者がかつてビール文化を学んだ地、ニュージーランドのモルト・ホップを使用。なんとモルトは日本国内で、NUMBER NINE BREWERY専用で輸入している貴重なものなんだとか。ホップの香りを楽しめるよう、ホップを入れるタイミングや温度を通常とは変えたり、発酵中にホップを追加したりと、さまざまな工夫が凝らされています。
『Bread NZ Pale Ale』
- 〇アルコール度数:4%
- 〇内容量:350ml
- 〇URL:https://upcycle-beer.com/?pid=169835148
- 〇醸造所:NUMBER NINE BREWERY
2. 蔵前の老舗サンドイッチ店のパンの耳をアップサイクル
『蔵前WHITE』(TOKYO隅田川ブルーイング)アサヒグループホールディングス株式会社と、サステナブルファッションブランド「ECOALF」がコラボレーションし、次世代に向けたサステナブルなライフスタイルを提案する「UPCYCLE B」プロジェクト。シリーズとしていくつかリリースをしている中、第二弾商品として登場したのがこの「蔵前WHITE」です。
東京・蔵前の老舗サンドイッチ店「マルセリーノ・モリ」で今まで泣く泣く廃棄されていた、パンの耳を使用しています。このパンの耳由来のほのかなトーストの香りと小麦由来のフルーティーな香り、そしてまろやかな味わいが特徴のヴァイツェンスタイル。
暖かい季節には、「マルセリーノ・モリ」のサンドイッチと蔵前WHITEを携えてピクニックに出かけたい!
『蔵前WHITE』
- 〇ビアスタイル:ヴァイツェン
- 〇アルコール度数:5%
- 〇内容量:350ml
- 〇原材料:麦芽(カナダ製造、ドイツ製造)、ホップ、パン(一部に小麦、乳成分、大豆含む)/乳化剤、酢酸Na、イーストフード、V.C
- 〇URL: https://asahiyouus.shopselect.net/items/63820795
〇醸造所:TOKYO隅田川ブルーイング
3. シンプルなラベルからも環境への配慮を感じる
『BREAD』(AJB Co.)ミシュラン3つ星レストラン「L’effervecence(レフェルヴェソンス)」のシェフである生江さんのベーカリー「bricolage bread &co.」とのコラボしてつくられた「BREAD」。
看板商品の「ブリコラージュブレッド」でオープンサンドをつくる際にどうしても出てしまうパンの耳を使用して、何か新しいものをつくりたいという思いから、このビールが誕生しました。パンの原料には日本中から厳選して集められたこだわりの小麦粉が使用されています。
ローストしたパンの香ばしさが香り、さっぱりとした味わいで食事との相性はバッチリ。サラダやお肉類などの食事と合わせると、オープンサンドを食べているような気分になれるかも。
また、売り上げの1%はフードロスをテーマに活動する530weekの活動費用にあてられています。
『BREAD』
- 〇ビアスタイル:スペシャルビール
- 〇アルコール度数:4.5%
- 〇内容量:350ml
- 〇原材料:モルト(Pale Ale, Crystal Maple, Raw Wheat, Spelt, Acid Malt, Rye Malt, Oats)、ホップ(Magnum, Coppe, Chinook)、パン
- 〇URL: https://anglojapanesebeer.com/products/bread
〇醸造所:Anglo Japanese Brewing Company合同会社
【フルーツ】
4. いちご好き必見!いちごをふんだんに使ったビール
『さんむRED』(TOKYO隅田川ブルーイング)新型コロナウイルスの影響で、行き場を失った千葉県山武(さんむ)市のいちごをふんだんに使ったビール「さんむRED」。先にご紹介した「蔵前WHITE」と同じUPCYCLE Bプロジェクトの第四弾商品です。
いちご観光農園として多くの人に愛されてきた山武市のいちごですが、コロナの影響でいちご狩りに来園するお客さんが減ったことで、たくさん余ってしまいました。そんないちごを活用したビールを醸造することに。
完熟の冷凍イチゴをふんだんに使用し、いちご由来の甘酸っぱい味わいと爽やかなホップの香りのフルーツエールです。
さっぱりとした後味なので、食後のデザートと合わせて楽しめそう!
『さんむRED』
- 〇ビアスタイル:フルーツエール
- 〇アルコール度数:4.5%
- 〇内容量:350ml
- 〇原材料:麦芽(カナダ製造、ドイツ製造)、ホップ、乳糖、いちご、紫芋
- 〇URL: https://asahiyouus.shopselect.net/items/64537523
- 〇醸造所:TOKYO隅田川ブルーイング
5. ワインを思わせる香りと味わいのビール
『SOSEINO ワイニーエール』(Golden Rabbit Beer)廃棄するはずだった原材料を再利用し、さらに味わい深く、風味の強いクラフトビールの開発(蘇生)を目指し、飲んだ人を笑顔にするという目的の、奈良県・Golden Rabbit Beerの新ブランド「SOSEINO」。その中でも、廃棄予定だった武道を使用したのが「SOSEINO ワイニーエール」です。
同じく奈良県にある「木谷ワイン」とコラボし、白ワインの品種「モンドブリエ」の搾りかすをビールに使用しました。ワインを思わせるような香りとやわらかな味わいが特徴的。しっかりとしたボディがあるので、飲みごたえもばっちり。
普段飲んでいるビールからちょっと気分を変えたい時にぴったりの1本。
『SOSEINO ワイニーエール』
- 〇ビアスタイル:フルーツエール
- 〇アルコール度数:4.5%
- 〇内容量:330ml
- 〇IBU:8
- 〇URL: https://goldenrabbit.buyshop.jp/items/68886990
- 〇醸造所:Golden Rabbit Beer
【飲料】
6. ビールとコーヒーの夢のコラボレーション
『蔵前BLACK』(TOKYO隅田川ブルーイング)蔵前の焙煎所でテスト焙煎され、活用しきれないコーヒー豆を使用した「蔵前BLACK」。先にご紹介した「蔵前WHITE」などと同じ、UPCYCLE Bプロジェクトの第一弾商品です。
コーヒーのような深みある味わいのビアスタイル「スタウトビール」と、それに近い味わいであるコーヒーは一見相性が良さそうですが、醸造のプロセスは大変だったそう。コーヒーらしさが全く感じられなかったり、逆にコーヒーの苦みや酸味が強く出過ぎたり。
バリスタの方と最適な組み合わせを探求し続け、コーヒー豆本来のフルーティーな香りとほのかな酸味、ビターチョコレートのような苦みが楽しめる「蔵前BLACK」が誕生しました。
醸造家とバリスタの味へのこだわりが凝縮された1本。コーヒー好きの方もぜひ飲んでみて。
『蔵前BLACK』
- 〇ビアスタイル:コーヒースタウト
- 〇アルコール度数:4.5%
- 〇内容量:350ml
- 〇原材料:麦芽(カナダ製造)、ホップ、コーヒー
- 〇URL:https://asahiyouus.shopselect.net/items/63820773
- 〇醸造所:TOKYO隅田川ブルーイング
7. 和の心が詰まった日本ならではのビール
『狭山GREEN』(TOKYO隅田川ブルーイング)日本三大銘茶の1つ、埼玉県の名産「狭山茶」の出物(製造工程で算出された細かい粉や葉皮等の部分)を丁寧に火入れしてつくられた「狭山GREEN」。こちらもUPCYCLE Bプロジェクトの第三弾商品です。
醸造に用いたのは、製茶の際に除かれてしまうお茶の茎の皮。それらは「ケバ茶」としてティーバックなどの値段の安い価格品として売られていましたが、イマイチ有効活用できていなかったこともあり、ビールとしてアップサイクルすることに。狭山茶の農家と連携して醸造スタートしました。
芳ばしい狭山茶の香りと、5種のホップによるバランスの良いさわやかなホップ香が華やかに香り、茶葉のうまみとホップの苦みが楽しめます。普段の食事とも、和菓子とも相性が良さそうな1本です。
『狭山GREEN』
- 〇ビアスタイル:セッションIPA
- 〇アルコール度数:4.5%
- 〇内容量:350ml
- 〇原材料:麦芽(カナダ製造)、ホップ、茶
- 〇URL: https://asahiyouus.shopselect.net/items/63820881
- 〇醸造所:TOKYO隅田川ブルーイング
8. ありそうだけど、なかなかない。酒粕を使ったビール
『SOSEINO 酒粕ベルジャン』(Golden Rabbit Beer)「ワイニーエール」と同じブランド「SOSEINO」シリーズ。奈良豊澤酒造「豊祝」の酒粕を使用したベルジャンスタイルのエール「SOSEINO 酒粕ベルジャン」です。
鼻を近づけると、酒粕の白濁りにベルジャンイーストの香り、ほのかに吟醸香も感じられます。すっきりとした味わいなのでゴクゴク飲めちゃいます。3本セットでの販売なので、家族や友達と一緒に楽しんでみて。
ちなみに、ワイニーエールの瓶にもついていた首かけラベルは、醸造のプロセスで出た麦芽粕をリサイクルした再生紙なんだとか。切り離すと、コースターとしても使用できるという素敵な仕掛けも。
『SOSEINO 酒粕ベルジャン』
- 〇ビアスタイル:ベルジャンホワイト
- 〇アルコール度数:6.0%
- 〇内容量:330ml
- 〇IBU:19
- 〇URL:https://goldenrabbit.buyshop.jp/items/68886849
- 〇醸造所:Golden Rabbit Beer
気になるアップサイクルビールで乾杯しよう!
フードロスの課題解決に一役買っているアップサイクルビール。その取り組み自体に惚れてビールを買ってみたいと思うと同時に、普段とは違う新しいビールの味わいを楽しめることもとても魅力的です。醸造されている方だけではなく、アップサイクルに使用する素材の提供者の熱い思いも詰まっているビールたち。そんな生産者さんに思いを馳せながら、普段よりもじっくり味わって楽しみたいものです。