【インタビュー】吉本実憂、「清潔感を操ることが出来る俳優になりたい」 目標はリリー・フランキー、安藤サクラ

俳優の吉本実憂が、大塚祐吉監督の最新作『ダウンタウン・ユートピア』に主演した。息苦しい日々に病む一人の女性が粋狂な人達に影響を受け、いつしか自分らしく過ごせる居場所でほんの一歩、前進する物語。主演の吉本も、自傷癖のあるナオミ役を自由で豊かな表現力で演じ切っている。本人に話を聞いた。

―異世界感漂う内容だと思いましたが、最初の感想はいかがでしたか？

本当にたくさんの登場人物が出てくるのですが、これほど個性が強いキャラクターばかりだとは最初は思っていなかったんです（笑）。台本を読んだ印象と全然違うキャラクターが現場に沢山居て、話し方のクセというか、生き様みたいなものがそれぞれに強かった。なので撮影に入っても、台本通りにいかないと言いますか、そのこと自体が新鮮で楽しかったです。

―その場で最適解を選択していくようなライブ感もあったわけですね。

もはや何がセリフなのかも分からないくらい、ふざけていたと思うほど楽しかったです（笑）。木村圭作さんを筆頭にふざけていたりするのですが、でもそれは大塚監督特有だなぁと思います。現場で生み出る新鮮なものを、逃さずピックアップしていく方なんですよね。わたしはどちらかと言うと攻めの芝居というより、皆さんの解放した表現を受けるという側だったので、何度やっても慣れることなく演じていました。

―演じられた自傷癖のある岸ナオミは、次第に自分の居場所を見つけていくわけですが、個人的に感じ取ったテーマは何でしょうか？

わたしが思うに、偏見を持たずに生きていきましょうということ。もちろん変わった人たちではあるけれど、人と人として対峙していく姿勢を持つ。自分の願いなのですが、変なフィルターをかけずに他人と関わっていく人が増えればいいなと思います。でも、そんな真面目な作品ではないとは思うのですが（笑）。

―確かに、おっしゃるようにそういう受け止めが出来る作品ですね。

そうなんです。わたしが演じる主人公のナオミも、そこに居心地の良さを感じているんですよね。わたしもたまにすぐに偏見を持ってしまう方に出逢ったりするのですが、これが伝わってくれたらいいなと思いました。一歩そちらに入れば、もしかしたら面白い部分があるはず、笑っちゃうこともあるかもって、わたしとしてはそういうことを思いました。

―また、今回『ダウンタウン・ユートピア』と出会って良かったなと思うことは何でしょうか？　ポスタービジュアルを観る限りでも、かなり振り切った自由な表現を楽しまれているような印象も受けます。

顔芸が出来たこと（笑）？　今まで感情豊かな顔はしていても、顔にここまで出すことってあんまりなかったので、こんなにストレ―トな女性がいるんだっていうことは、すごく思いました。怒りだったら怒りの顔をするじゃないでか。ほぼ怒ってはいるのですが（笑）、楽しかったら笑うし、真っ直ぐ生きているところがすごく魅力的だなと思いました。

―ナオミは一見不幸そうにも見えますが、自由に生きているという点では、なかなか現実では成し得ないものがありますよね。

わたしも演じていて今回の現場の時には、誰にも気を使わなかったんです。ナオミが誰にも気を使わずに我が道を行っているように、自分も気を使わなかったので、それってすごく自由だなと。で、自由って生きやすいなと思ったので、吉本実憂自身としては、人に気を使いながらもどこか自由に生きることで自分を守ることも出来ますし、守ることによって表現の幅も広がると思うので、そこはすごく得られた部分ではありますね。

―この経験を踏まえて、どういう目標を今お持ちですか？

日本で一番、幅の広い役者になりたいです。自分の今の課題が清潔感を操れるようになりたいというところで、目標としている方が日本で言うと、リリー・フランキーさんと安藤サクラさんなんです。

―清潔感を操るとは、どういうことでしょう？

見た目が醸し出しているオーラみたいなもので、たとえば無人島で暮らす役も出来れば、お金をたくさん持っている役も出来る、そういう清潔感を操れる方は最強だなと、本物だなと思っていて、そういう役者になりたい。なので、どんな役でもやりたいなという思いでいます。

―最後になりますが、みなさんにメッセージをお願いいたします。

受けた愛情が歪んでいたせいか世間で言う変わり者が世の中に飛び込んだ時に、どういう風に吸収して変わっていくのか、そこを楽しんで観てもらえたらいいなと思います。そこをシリアスなだけでなく、コメディー、ふざけて描いているところが、この作品の特徴です。ぜひご覧ください。

 

映画『ダウンタウン・ユートピア』

11月3日（金・祝）より池袋HUMAXシネマズほか全国順次ロードショー
（C）ZOO PRODUCTION
ヘアメイク：Emi Ojima
スタイリスト：YUUKA YOSHIKAWA
衣装：ピアス[and cloud]/リング[and cloud/Jouete]/シューズ[CHARLES &KEITH]

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