世界中の観光関係者が集結する「ツーリズムEXPOジャパン」が4年ぶりに大阪で開催。10月26日から29日までの4日間、日本最大級の国際展示場・インテックス大阪にて行われた。
同イベントは、「旅の未来を創造する」総合観光イベント。国内・海外・訪日の観光需要喚起、持続可能な地域の発展、参画する事業者各々が社会的価値を高めていくため、知見共有や議論をする機会、ビジネスの場としての展示商談会、消費者向けのプロモーションやダイレクトマーケティングの機会を提供する場となっている。
会場には国内外のブースが集結し、世界中の幅広いエリアの国や地域の情報を知ることができる。国内であれば、関西や九州、四国などの地域ごとにエリアが分かれていて、国外もヨーロッパやアジア、中南米・カリブを体験できる。
国内外ともに、その土地の伝統衣装を着用したスタッフがいて楽器演奏をしていたり、産地のコーヒーを試飲できたりと、大阪にいながらにして、さまざまな文化や土地の空気感をリアルに感じ取れた。
同イベントには、カリブ海のビーチリゾート、カンクンがあることでも有名なメキシコのキンタナ・ロー州を紹介するためのブースも出展。今回は、そのブースを訪問し、キンタナ・ロー州観光振興局のエグゼクティブ・ディレクターを務めるハビエル・アランダ・ペドレロ氏に、キンタナ・ロー州の概要や魅力などのお話をうかがった。
今回のブースの出展内容について、ハビエル氏は「日本からメキシコへの直行便が運航しているアエロメヒコ航空やリゾートホテル、ローカルツアーなどを紹介する旅行代理店の他、キンタナ・ロー州の次に重要なカリブ海のリゾート、ロスカボスの担当者と一緒に来ています」と紹介してくれた。
キンタナ・ロー州は、メキシコ共和国の32州のひとつで、メキシコの南東部ユカタン半島に位置している。ハビエル氏は「キンタナ・ロー州は、メキシコの中で唯一カリブ海に面しているため、メキシカン・カリビアンと呼ばれています」と、メキシコの中でのキンタナ・ロー州の位置関係を説明した。
続けて、「キンタナ・ロー州の中には12のツーリズムスポットがあります。その中でも重要度が高いのが、ビーチリゾートとして有名なカンクンと、セノーテ遺跡やテーマパークなどがあるリビエラ・マヤ、また世界からのクルーズ船が停泊する、コスメルとマアウアルです」と、観光エリアを紹介。
コロナ禍以降の、日本人観光客の人数の変動を聞いたところ「もちろん減少しました。2019年度には日本からの観光客は約3万人でしたが、今年1月から8月までの間では1万1千人弱とまだ回復途中です。ただ、回復の兆しを実感していることもあり、より多くの日本のお客様にキンタナ・ロー州の魅力を改めてお伝えする必要性を感じて今回の出展に至りました」とのこと。
日本以外のアジア圏の観光客について質問すると、「現在中国や韓国の他、インドからの観光客も多く、特に、ハネムーンや、本人たちだけでなく家族で挙げる結婚式を目的に訪れる方が目立ちます」とウェディングデスティネーションとしても人気の場所だと話してくれた。
どのようなウェディングが人気なのか聞いてみると「北半球のグレートバリアリーフと言われるような世界でも有数のダイビングスポットがあることからも、ダイビングウェディングや、また、リビエラ・マヤの遺跡で挙げる結婚式など、通常のリゾートウェディングに加え多様なオプションを提供できるのも州の魅力」と教えてくれた。
また、キンタナ・ロー州は、世界中からグルメな観光客が集まることもあり、ガストロノミーも魅力の一つとのこと。最近では、マヤに伝わる伝統的な調理方を取り入れた料理も人気とのことで、伝統的なメキシコ料理はもちろん、ひとあじ違ったメキシコ料理を楽しむことができるという。
現在も開発が続いているというキンタナ・ロー州。今後のキンタナ・ロー州について質問すると「今も変化を続けていて成長していて、州内のホテルの部屋数は、昨年末までに12.8万室増えましたが、既にこれも13万室にまで増えており、この先、3年半ほどかけて更に5千室が増えていく見込みです。またこの中にはコンラッドやフォーシーズンズ、セント・レジスなどの世界有数のラグジュアリーホテルトも多く含まれます」とのことで、今後ますます注目のリゾート地であることを強調した。
新しくできたホテルについてはほとんどがカンクンの北にあるコスタ・ムへレスからプエルト・モレロスの間の地域にできるとのことだったが、それ以外のエリア開発も進んでいるとのこと。「キンタナ・ロー州には『マヤ文化』という素晴らしいアセットがあります。マヤ・カアンの地域には19の遺跡もあり、マヤ文化を継承するコミュニティも数多くあるため、これらに焦点を当て、文化体験のできるようなディスティネーションとしての開発も進めていく予定です。また、既に3つの国際空港がありますが、12月1日には新しい国際空港がトゥルムにできるので、よりよいコネクティビティを今後更に提供していくことができます」と補足した。
観光におけるサステナビリティに関する取り組みも行っているそうで、「観光業を大切にしているキンタナ・ロー州にとって、海洋保護を含む環境保護はとても重要なため、州当局がサステナビリティに注力し、持続可能な開発については長年取り組んでいます。例えば新しく建設中のホテル、サステナビリティに関するいろいろな条件をクリアせねばならず、また特別な許可を得ないと建設ができません。ちなみに、バカラルとプラヤ・デル・カルメンといった地域は、2年続けて持続可能な観光の国際指標である『グリーン・デスティネーション』という認定を受けています。今年、これら2つの地域に加えて、コスタ・ムへレスとコスメルも同様にグリーン・デスティネーションの認定を受けました」と環境保護の面もアピール。
さらに、ビーチについても話が及び、「コスタ・ムへレスからトゥルムの間にある19のビーチが『ブルーフラッグビーチ』というサステナビリティに適っているビーチ認定を受けています」と、これらのビーチが綺麗なだけでなく水質や環境保護、安全性といった点で保証されていることを伝えてくれた。
ハビエル氏は、今回の出展をきっかけに、コロナ禍以前のように日本人にキンタナ・ロー州に訪れてほしいそう。キンタナ・ロー州の魅力は国際的なリゾートである以外にも、マヤ文化が体験できる土地や、世界有数のダイビングスポット、多種多様な旅行者が訪れることで磨かれたガストロノミーなど多数ある。皆さまもこの機会に訪れてみてはいかがだろうか。