
元宝塚歌劇団花組トップ柚香光(ゆずか・れい=33)が21日、大阪市内で、主演する2025年劇団☆新感線45周年興行・初夏公演「いのうえ歌舞伎【譚】Retrospective『紅鬼物語(あかおにものがたり)』」(5月13日~6月1日・大阪Skyシアター、6月24日~7月17日・東京シアターH)の取材会に出席した。柚香にとって、昨年5月の退団以来初の舞台出演となる。
舞台は平安時代。柚香は、鬼でありながら人の妻で、子を持つ母。鬼であることに苦しみ、鈴木拡樹演じる源蒼(みなもとの・あお)との愛を貫くことに葛藤する紅子を演じる。
約15年間、宝塚で男役として演じてきたとあって、「例えば、脇の下に卵1個分の空間を置いてシルエットを作るというのをずっとしていたので、今はその卵をつぶして、脇を締めて、足も少し存在感を大きくしようと開いていたものを、そそと閉じるというのをいかに紅子として所作を浸透させていくかという課題があります」。
私生活では“男”の部分は「出ていないと思う」と話したが、立ち回りの稽古では「私は守られる立場なんですけど、『立ち方がりりしい。戦い出しそうだ』と言われてしまいまして。守られるという立場が初めて。今までは自分が守る立場でしたので、つい足を踏み出しそうになり、そのあたりも変えていきたいなと思います」と苦笑した。
これに共演の鈴木も「僕も記憶に残っていて。打ち合わせの時に『守られたことがなくて、守る方で』って聞いて、納得しちゃうところもありました」と笑った。
劇団☆新感線主宰で演出を手がける、いのうえひでのり氏は「宝塚で男よりカッコイイ男をずっとやり続けてきた。今回は鬼だけど、鬼であることを隠している必要以上に弱い女。母性をもち、絶望もある。生きる糧を持たせてくれたのが拡樹が演じる源蒼。出会いで生きる目的を求めるというのが物語の芯になっている。光ちゃんには宝塚でやったことのない必要以上に弱い女、拡樹には、愛情深いキャラクター、その辺がうまく絡み合えば、ちょっといい話になるんじゃないか」と期待を寄せた。