【こんな人】ピーコさん実は気にしていた「ファッションチェック」言いっ放しキャラの「後味」

ピーコさん（2016年撮影）

＜こんな人＞

ファッション評論家でタレントのピーコさん（本名・杉浦克昭＝すぎうら・かつあき）が9月3日、敗血症による多臓器不全で死去したことが20日、分かった。79歳だった。葬儀は近親者で済ませた。双子で映画評論家のおすぎとともに、おねえタレントの草分け的存在として活躍した。

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80年代の中ごろ、「辛口ピーコのファッションチェック」は情報番組の目玉コーナーだった。視聴率で競い合うフジテレビとTBSが、いわば取り合う形で両局の番組を行き来した。

街行く一般女性の装いへの辛口論評は的を射て説得力があった上にオネエ言葉がオブラートとなって、視聴者の共感を得たのだと思う。弟の映画評論家おすぎさんととも試写室を訪れたときにこんな話を聞いたことがある。

「ワタシのコメントを、論評された女性の立場からフォローしてくれるから、司会者としては三雲（孝江）さんや安住（紳一郎）クンがやりやすかった」

実は気遣いの人で、自身の言いっ放しキャラの「後味」を気にしていた。

89年、悪性異色種による左眼摘出は文字通り生死ぎりぎりのレベルだったと聞いた。取材の場では、自身の生還の思いを抑え、同病の人に予断を与えないよう、細心の注意をはらって話す様子が印象的だった。

自嘲的な姿勢はLGBTへの偏見を助長すると、美輪明宏さんから批判されたこともあった。いつも地下鉄で仕事場に通っていたピーコさんは、自己主張よりも街に溶け込むことを優先していたのかもしれない。【相原斎】