シンガー・おがさわらあい(37)が5月25日、東京・渋谷のマウントレーニアホールで、ライブ『おがさわらあいレコ発ライブ 日曜日思い出堂-うた詠み-』を行った。
2017年5月17日に発売されたメジャー1stアルバム『東京忘れ-ミヤコワスレ-』を中心に、メジャーデビューへの足掛かりとなった『あんた・・・』『サクラ知れず』やメジャー1stシングルで、情報番組『噂の!東京マガジン』(TBS系、日曜・午後1時~)のエンディングテーマにもなった『心に咲く名もない花』など、「おがさわらあいの足跡」がわかる14曲を歌った。また、ギターでの弾き語りや朗読も満員のファンに披露した。
真っ赤なノースリーブのワンピースドレスで登場したおがさわら。パンチの効いたパワフルな歌声でアッパーな『貨物船』『夕焼け列車』と、ノリのいい曲からライブはスタート。
続いて、「おがさわらあいが初めての人もいると思うので入門編」としてFMラジオでもよくかかり、全国のフォークファンに楽曲がカバーされている『サクラ知れず』と、おがさわらあい名義として初の(インディーズ)アルバムに収録されている『風鈴』を。
“おがさわらワールド”は、せつない心の叫びを歌う「愛歌(失恋が多いが)、哀歌、逢歌」とどこか懐かしく、昭和な風景を「切り取った」「想い出させる」ノスタルジックな歌詞と曲。それをおがさわらあいが7色の声で詠むように歌うことで、表現されていく。
「歌は暗くともMCは明るくをモットーに」と、自虐的に言うように、「今日は雰囲気が硬いなぁと思っていたら、そうだ、お酒飲んでないからだ」と、普段、フォークソング酒場などでライブをしていることを引き合いに、笑いをとったり、Facebookに届いた曲の感想などをコミカルに紹介。
雰囲気を変えたところで、おがさわらの中では珍しく(?)太陽の下を元気よく歩いているような明るい曲の『心に咲く名もない花』を歌うと衣装替えへ。その間、ステージではミュージックビデオのようなショートムービーで『ピアノ』が流れる。
後半は、黒のノースリーブワンピースドレスに身を包み、『彷徨いの哀歌(エレジー)』『パズル』『残暑のブルース』をギター弾き語りで披露。ソロ活動から3年、「来年は歌えているのかなぁ」と、思いながら歌っていた時に、有線お問合せチャート連続1位を獲得するなど、メジャーデビューへの足掛かりとなった曲の『あんた・・・』を情感たっぷりに歌った。
「きょう、ここに立てるのはみなさんのおかげだと思っております。私をここに連れてきてくれて本当にありがとうございます。まだまだ歌い手としては始まったばかりですけど、私はひとつ歌手になるという夢は叶いました。でも、私が想像していた歌手はぜんぜん違うんです。もっともっと、いまのおがさわらあいではなく、もっといろんなところに歌いに行きたいなぁと思っております。夢が一つ叶うと、また違う景色が見えるんだなぁと思いました」と、満員のファンとスタッフの人たちに感謝の言葉を述べた。
アンコール2曲目となったラストソングは、「いつも、この歌をうたっていいのか、迷います…私にこの声と歌を与えてくれた両親のことをおもって歌う」という『おとん』。そして、ご両親を思い出して涙があふれるのだが、この日は、さらに、初のワンマンホールコンサートをやりきった。ここまでの道のりを思い出しての感無量が涙に加わっていた。
ライブが終わっての感想は、「あっという間でした。何を最後に話そうかなぁと思ったときに、やっぱりみんなに連れてきてもらったんだなぁと。一人じゃできないことがみんなに応援してもらうとできるんだなぁと、少しずつなんとなく感じています。きっと300人クラスのステージならできるかもしれないという自信になりました。歌って聞かせれば受け入れてくれるかもしれないと思いました」と、笑顔で第一声を。
続けて、ワンマンでのホール初ライブという事だが、「みんな心配そうに見守っている感が伝わってきて、すごくあったかいステージでした。涙を流してくれる方、笑顔も見れてよかったなと。近くてよかったです。すごく遠く感じて、私誰に対して歌っているんだろうということがなくてよかったです。ひとりひとりのお客さんの顔はちゃんと見れました」と、安堵した表情で。
今後については、「とにかく、フリーライブでも何でもいいので、歌う場所を増やしていきたいなと。いろいろなことはあると思いますが、私はどこでも歌いに行くぞ!という気持ちです。病院でもフリースペースでも、知らない人に『初めまして』と、いえる場所に行きたいです。もっともっと聞いていただける人を広げていきたいです。また、ギターは今までもちょこちょこやっていたんですけど、弾き語りを1曲、2曲はできるようになりたいなぁ」と、さらに。いろいろと挑戦していくことを誓った。
■セットリスト
01.貨物船[メジャー1stアルバム『東京忘れ-ミヤコワスレ-』より]
02.夕焼け列車[メジャー1stアルバム『東京忘れ-ミヤコワスレ-』より]
03.サクラ知れず[インディーズ2ndtアルバム『サクラ知れず』より]
04.風鈴[インディーズ1stアルバム『あんた…』より]
05.返せない鍵[メジャー1stアルバム『東京忘れ-ミヤコワスレ-』より]
06.心に咲く名もない花[メジャー1stシングルより]
07.ピアノ(ショートムービー)[メジャー1stシングルより]
08.零度[インディーズ2ndアルバム『サクラ知れず』より]
09.彷徨いの哀歌(エレジー)[メジャー1stアルバム『東京忘れ-ミヤコワスレ-』より]
10.パズル[インディーズ2ndアルバム『サクラ知れず』より]
11.あんた…[インディーズ1stアルバム『あんた…』より]
12.残暑のブルース[インディーズ1stアルバム『あんた…』より]
13.東京忘れ-ミヤコワスレ-[メジャー1stアルバム『東京忘れ-ミヤコワスレ-』より]
-アンコール-
14.1980[メジャー1stアルバム『東京忘れ-ミヤコワスレ-』より]
15.おとん[DVDLiveLAB.『新東京フォークデイズ2』より]
■おがさわらあいプロフィール
おがさわらは、父が三味線演奏家で母が民謡歌手という、音楽に囲まれた環境で育った。04年11月、ヴァイオリンとヴォーカルの女性ユニット『つきよみ』でデビュー。3枚のシングルをリリース。2007年つきよみ活動休止。ソロとして活動を開始。彼女の声が持つ独特の世界観と表現力を生かした「新東京フォーク」という新たなジャンルを確立すべく全国のフォーク酒場などでライブを展開する。2010年秋、ソロ初のミニアルバム『あんた・・・』を発売。2015年1月にフルアルバム『サクラ知れず』を発売。そして、2016年11月16日テイチクエンタテインメントより『心に咲く名もない花/ピアノ』でソロとしてメジャーデビュー。
その新東京フォークとは、「ヴォーカリストおがさわらあいとプロデューサー田村武也が作り出す主に東京を舞台にした純文学ラブソング。1曲1曲の歌詞に短編小説のような物語があり、それは日常のなかで人と人とがふれあうことの大切さや儚さ、あるいは寂しさ、辛さをテーマにどこかせつなく、どこか懐かしいメロディを基部とした読む音楽である」という世界観。