9月20日から22日の3日間にわたって、幕張メッセで開催されたX Games Chiba2024スケートボード・バート種目(大会2日目)で猪又湊哉(14歳)が銀メダルを獲得。優勝はブラジルのギー・クーリ(15歳)、3位はパリオリンピック、パーク種目の銀メダリスト、アメリカのトム・シャーとなった。
翌日(大会3日目)に行われたバートベストトリックでは、芝田モト(29歳)が銀メダルを獲得し、猪又は銅メダルを獲得。
この種目の優勝もギー・クーリで、2種目金メダルの快挙となり、猪又も2種目でのメダル獲得を果たした。
ギー・クーリは今年の9月8日に行われたワールドスケートゲームズ2024イタリア大会バート種目でも優勝しており、現世界王者。
猪又もこの大会で8位に入賞している。
【世界王者のギー・クーリが遺憾なく実力を発揮/バート】
ギー・クーリ/キックフリップインディフェイキー
X Gamesバート種目は10人のスケーターによる、30分間のジャムセッション方式で行われ、そのうちのベストランで争われる。
日本からは今大会、全種目の中で最年少出場となる河上恵蒔(10歳)、西川有生(あお11歳)、猪又湊哉、そしてこの日29歳の誕生日を迎えた芝田モトが参戦。
西川有生/キックフリップバックサイドリップスライドリバート
まずは西川のラン1本目。
キックフリップインディtoハンドフリップ、キックフリップボディバリアル540、ヒールフリップインディ。
スイッチバックサイドエア、フェイキー720などを決めると、ラストトリックにはキックフリップバックサイドリップスライドリバートを完璧にメイクし、80.66の高得点を獲得。
猪又湊哉/ステイルフィッシュ540
続く猪又のラン1本目。
メロン540、ステイルフィッシュエア、アーリーウープフロントサイドエア。
キックフリップインディ、アーリーウープヒールフリップインディ、360バリアル。
ステイルフィッシュ540、フロントサイドノーズグラインド、バリアルキックフリップインディ。
ボディバリアル540、ステイルフィッシュ360(ブザー後か?)。
これらのトリックをフルメイクし、82.33点を獲得して暫定トップに。
その後JD・サンチェスにトップを奪われ、ギー・クーリのランを待つ。
ギー・クーリ/キックフリップボディバリアル540
ギー・クーリのラン1本目。
アーリーウープからのウェドル540やキックフリップインディ、900(ナインハンドレッド)。
バリアルキックフリップインディ、キックフリップボディバリアル540、フロントサイドノーズグラインド。
キックフリップインディ540、フェイキーからのインディ720などをフルメイクし、88.66点でトップに立つ。
その後、フランスのエドアルド・ダメストイが83.33点で3位に浮上。
猪又湊哉
迎えた猪又のラン3本目。
1本目のランからさらに難易度を上げ、ダブルキックフリップインディ、バリアルキックフリップインディ540を組み込んだランで、見事90.00点を獲得し暫定トップに躍り出る。最終的にはギー・クーリに逆転されてしまうが、観客席のキッズ達からの声援はダントツNo1。
実力もさることながら、仲間達に本当に愛されているんだなと感じるスケーターだった。
暫定2位で迎えたギー・クーリのラン3本目。こちらももちろん、さらに難易度を上げ、ヒールフリップインディ、ステイルフィッシュ540を組み込み、92.66点でさらに得点を伸ばしトップに返り咲くと、その後4本目のランではさらに得点を伸ばし93.33点を獲得。
トム・シャー/テールグラブ540
ここまで一度もフルメイクの滑りを見せることなく、7位で迎えたトム・シャーの最終4本目のラン。
アーリーウープメロン540、テールグラブ540、アーリーウープヒールフリップインディ。
フロントサイドノーズグラインド、キックフリップインディフェイキー、フェイキーからのテールグラブ720。
アーリーウープからのキックフリップボディバリアル540、ビッグスピンバックサイドリップスライド、テールグラブ360。
フェイキー5-0グラインド、ノーズグラブ540をフルメイク。
89.00点を獲得し、JDサンチェスを抜いて3位でフィニッシュした。
日本の河上恵蒔は1本目のランから大技、900を決めるが、続くトリックを決めることができずに終わり、芝田モトも残念ながら1度もフルメイクの滑りを見せることができなかった。
【ニュートリック乱立のベストトリック】
最終日に行われたバートベストトリック。
この種目は8人のスケーターによる、20分間のジャムセッション方式で行われ、そのうちのベストトリックで争われる。
日本からは前日のバート種目で銀メダルを獲得した猪又湊哉と、芝田モトが参戦した。
猪又湊哉/アーリーウープ バリアルキックフリップインディ540
前日に銀メダルを獲得している猪又は、ベストトリック2本目で進行方向と逆サイドに飛び上がるアーリーウープから、デッキを空中で縦横に回転させながら、自身が540度回転させるトリック、アーリーウープ バリアルキックフリップインディ540を決める。
この技は今年7月に行われたX Gamesベンチュラ2024大会でも見せた高難度トリックで、この時はギー・クーリに続いて銀メダルを獲得している。
最終的にはこのトリックで3位表彰台入りを果たし、自身今大会2個目のメダル獲得となった。
芝田モト/フロントフットインポッシブル リーン540
前日のバート種目ではフルメイクの滑りを見せられず、悔しい結果となった芝田。ベストトリックでは4本目に自身の真骨頂となるトリックを見事にメイクする。
フロントフットインポッシブル リーン540。
このトリックは前足でデッキを絡めるように回転させながら、自身がフロントサイド(背中側に)に540度回転するという世界でも芝田しかできないトリック。
今年7月に行われたX Gamesベンチュラ2024大会でも、果敢にこの技をトライするも決めきることができずに終わったが(競技終了後メイクし、この技の世界初の成功者となった)、今大会では見事に4本目で決め、準優勝に輝いた。
トリックメイク後に、腕時計を指差す仕草を見せたのは「今回は時間内に決めたよ」っていう意味だろう。
4本目に芝田が驚異のトリックで会場を沸かせた直後、ギー・クーリの4本目。こちらも世界初のトリックとなる、キックフリップボディバリアル900を成功させ、芝田を抜いて一気にトップに躍り出ると、このトリックを誰も上回ることができずに優勝を果たした。
X Games カリフォルニア2023大会から続く、バートベストトリック種目での3連覇を果たし、15歳にしてX Games通算5個目の金メダルを獲得した。
ジミー・ウィルキンス
バート界のスーパースター、ジミー・ウィルキンスが最終滑走終了後に、自身のデッキとヘルメットを観客のキッズスケーターにプレゼント!
ジミー・ウィルキンスのヘルメットと、その後ろでじゃんけんをするキッズたち。キッズ達に「じゃんけんするからちょっと持ってて」と言われ、ジミーのヘルメットを持たされる筆者。
そしてキッズ達のヘルメット争奪戦が収集つかなくなり、ヘルメットじゃんけん大会に発展。
何はともあれ、世界屈指のスター選手と距離が近いところもX Gamesの醍醐味だと感じる一幕であった。
【X Games Chiba2024バート結果】
1位 ギー・クーリ(ブラジル)–93.33
2位 猪又 湊哉–90.00
3位 トム・シャー(アメリカ)–89.00
4位 JDサンチェス(アメリカ)–88.33
5位 エドアルド・ダメストイ(フランス)–83.33
6位 西川 有生–80.66
7位 エリオット・スローン(アメリカ)–79.33
8位 芝田 モト–59.33
9位 ジミー・ウィルキンス(アメリカ)-55.00
10位 河上 恵蒔–34.66
【X Games Chiba2024バートベストトリック結果】
1位 ギー・クーリ/キックフリップボディバリアル900
2位 芝田 モト/フロントフットインポッシブル リーン540
3位 猪又 湊哉/アーリーウープ バリアルキックフリップインディ540
写真・文 小嶋勝美
スケートボードに関する情報を幅広く執筆する、スケートボードライター兼放送作家。
10年間のお笑い芸人生活を経たのち、放送作家をしています。