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パリオリンピックの予選を兼ねた「ワールド・スケートボード・ツアー(WST)ローマ・ストリート2023」の決勝が6月25日(現地時間)イタリア・ローマで開催され、赤間凛音(14歳)が優勝、織田夢海(16歳)が3位で表彰台に乗った。
他にも日本勢は伊藤美優(16歳)が5位、上村葵(14歳)が6位、西矢椛(15歳)が8位にそれぞれ入賞。
男子は白井空良(21歳)が日本勢では唯一決勝に進出し、白井ならではのトリックを見せて準優勝。男子優勝はアメリカのナイジャ・ヒューストン(28歳)で、ランとベストトリックで90点台を3つ出し、圧倒的な強さを見せた。
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東京オリンピック金メダリストの堀米雄斗(24歳)は準々決勝で17位敗退(16位以上が準決勝に進出)。準々決勝は2本のランのみで順位を決めるが70.17点で残念ながら準決勝に進出することができなかった。
東京オリンピック銅メダリストの中山楓奈(18歳)も同じく準々決勝で敗退。
自身のインスタグラムで先月末、スケート中に鎖骨を骨折していたことを公表し、怪我の中での出場だったことを明かしている。
【パリ五輪に出場するためには】
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パリオリンピックスケートボードは1種目につき22名までの出場が予定されているが、1ヵ国最大3人までの出場となるため、オリンピックランキングで上位に入っていたとしても国内選手との上位争いも重要になってくる。
今年2月に行われた世界選手権ではフランスのオーレリアン・ジローが優勝、日本勢は小野寺吟雲が3位、白井空良が8位に入賞しており、東京五輪金メダリストの堀米雄斗は予選で姿を消している。
女子はブラジルのライッサ・レアウが優勝し、日本勢では西矢椛が3位、赤間凛音が4位、中山楓奈が5位にそれぞれ入賞した。
それを受けて、今大会開催前のオリンピックランキングでは女子ストリートは日本勢8名が20位以内にランクイン。男子ストリートでは日本勢5人が20位以内にランクインしており、パリオリンピック出場をかけた国内選手との上位争いも熾烈になっている。
【ストリート種目のルールと今後の予定】
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・45秒間自由にコース内を滑るランを2本と、一つのセクションで1発技を行う、ベストトリックを5本行う事自体は変わらないが、東京五輪と違う点はラン2本中、どちらか1本は必ず得点にカウントされるという事。
つまり、東京五輪の時のようにランで大きくつまずいても、ベストトリックで大逆転、という事はかなり難しくなった。
・ランのベストスコア1本と、ベストトリックの上位2本の合計得点で順位が決まり、採点は前回の東京五輪までは1トライにつき10点満点だったが、パリ五輪予選では100点満点で採点され、小数点以下2点まで(最高得点は300.00点)となる。
・今後は9月9日から16日にスイスのローザンヌで予選大会、12月10日から17日に日本で世界選手権、来年2024年1月14日から21日にUAE(アラブ首長国連邦)シャルジャで予選大会の開催が予定されている。
※6月25日時点、日付は現地時間
【高いメイク率で大逆転・赤間凛音】
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今大会シードで出場の赤間凛音は、準々決勝2位、準決勝を1位で決勝へ駒を進めた。
決勝のラン1本目ではバーレーグラインド、フロントサイド270リップスライド、フロントサイドビッグスピンなど自身の持つ高難度の得意技を次々とメイクし、88.61点を獲得。首位でベストトリックに臨んだ。
以下、赤間選手のベストトリック()内はセクション名
1本目(ギャップからハバレッジ)バーレーグラインドを決め85.22点を獲得。
2本目(ギャップからハバレッジ)フロントサイド180ノーズグラインドを決め、80.96点を獲得。
3本目(バンクからハンドレール)バーレーグラインド180アウトを決め、79.36点を獲得。
4本目(バンクからハンドレール)フロントサイドフィーブルグラインド180アウトをミス。
5本目(バンクからハンドレール)フロントサイドフィーブルグラインド180アウトを決め、90.07点を獲得。
普段はポーカーフェイスの赤間選手だが、ラストトリックを決めた時にはガッツポーズを見せ、優勝が決まった瞬間には満面の笑みで喜びを表現していた姿が印象的だった。
今大会開催前、オリンピックランキング5位(日本勢では3番手)だった赤間選手にとって今回の優勝は、パリオリンピック出場に向けて大きな一歩となった。
【キックフリップインで魅せた・織田夢海】
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ラン2本目で70.86点を獲得した織田夢海は5位でベストトリックに臨む。
以下、織田選手のベストトリック()内はセクション名
1本目(ギャップからハバレッジ)キックフリップバックサイド50-50を決め86.59点を獲得。
2本目(バンクからハンドレール)キックフリップフロントサイドボードスライドを決め、88.93点を獲得。
3本目(バンクからハンドレール)キックフリップフロントサイドフィーブルグラインドをミス。
4本目(バンクからハンドレール)同じくキックフリップフロントサイドフィーブルグラインドをミス。
5本目(バンクからハンドレール)同じくキックフリップフロントサイドフィーブルグラインドを決めきることが出来ず。
決めれば90点台は確実に狙えるキックフリップフロントサイドフィーブルグラインドは残念ながら決めきることが出来なかったが、ベストトリックでは全てでキックフリップ(空中でデッキを縦に一回転させる技)からセクションにトライするフリップインの構成で最後まで攻めた。
【異次元の動きで準優勝・白井空良】
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準決勝を首位で決勝に進んだ白井空良は、1本目のランでノーリービッグスピンバックサイドテールスライド、アーリーウープからのフロントサイド270ボードスライド、アーリーウープからのフロントサイド180フェイキー5-0グラインドなどの超高難度トリックを決めるも、途中1カ所だけミスをしてしまい78.29点でランを終え、3位でベストトリックに臨む。
以下、ベストトリック()内はセクション名
1本目(ギャップからハバレッジ)アーリーウープからのバックサイド180 スイッチK(クルックド)グラインドをミス。
2本目(ギャップからハバレッジ)アーリーウープからのバックサイド180 スイッチK(クルックド)グラインドを決め、91.91点を獲得。
3本目(ギャップからハバレッジ)キャバレリアルバックサイドテールスライド ビッグスピンアウトをミス。
4本目(ギャップからハバレッジ)キャバレリアルバックサイドテールスライド ビッグスピンアウトを決め、93.16点を獲得。
5本目(ギャップからハバレッジ)アーリーウープからのフロントサイド180フェイキー5-0グラインドから、おそらく180アウトを狙うもミス。
ベストトリックでは白井選手にしか出来ない、異次元の動きを見せたトリックで、90点台を2本獲得し、準優勝に輝いた。
(YouTube:https://www.youtube.com/live/PASWhLS2haE?feature=share)
【WSTローマ・ストリート2023・女子リザルト】
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1位 赤間 凛音(日本) -263.90
2位 クロエ・コベル(オーストラリア) -261.43
3位 織田 夢海(日本) -246.38
4位 ライッサ・レアウ(ブラジル) -240.57
5位 伊藤 美優(日本) -234.48
6位 上村 葵(日本)-230.42
7位 ガブリエラ・マゼット(ブラジル) -200.90
8位 西矢 椛(日本) -160.69
【WSTローマ・ストリート2023・男子リザルト】
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1位 ナイジャ・ヒューストン(アメリカ) -276.51
2位 白井 空良(日本) -263.36
3位 ケルビン・ホフラー(ブラジル) -259.28
4位 グスタボ・リベイロ(ポルトガル)-256.43
5位 フェリペ・グスタボ(ブラジル) -254.45
6位 ジャガー・イートン(アメリカ) -250.94
7位 コルダノ・ラッセル(カナダ) -241.76
8位 オーレリアン・ジロー(フランス)-65.47
文・小嶋勝美
スケートボードに関する情報を幅広く執筆する、スケートボードライター兼放送作家兼スケーター。10年間のお笑い芸人生活を経たのち、放送作家をしています。