韓流の原点にして頂点といえる幻の傑作映画『シュリ』が、このたび、『シュリ デジタルリマスター』として4Kデジタルで鮮やかに蘇り、 9/13(金)に公開となります。
南北対立を描いた圧巻のスパイアクション超大作にして、号泣必至のラブストーリーである本作は、2000年日本で公開されるや列島沸騰の社会現象を 巻き起こし、当時の韓国映画としては空前の興行収入18億円を突破する大ヒットを記録。 ところが、その後本作の上映権が宙に浮く事態となり、劇場上映・配信などが 出来なくなってしまい、観ることのできない<幻の傑作>となっていました。
公開当時の盛り上がりについて、改めて感じる本作の魅力について、当時『シュリ』を共同配給したシネカノンで宣伝プロデューサーを務めていた圷滋夫(あくつしげお)さんにお話を伺いました!
◆まずは『シュリ』のデジタルリマスター版が公開すると聞いた時のお気持ちを伺えますでしょうか?
DVDは持っていますが、権利の問題などで初公開時以来、劇場で観ていなかったので、「久しぶりに劇場で観れる!」と楽しみに思いました。
◆改めてご覧になっていかがでしたか?当時、初めて『シュリ』をご覧になった印象も教えてください。
初めて観たのはプリント・チェックの内覧試写で日本語字幕がついていなかったため、まずはアクション・シーンでの俳優陣の身体のキレの良さと、爆破や銃器の発砲の派手さに驚きました。それと字幕がなくてもある程度は理解出来たドラマの分かりやすさも好印象でした。そして何よりも、最初に「韓国で大人気」と聞いた後にハン・ソッキュの写真を見ただけでは、その評判を本当に?」と信じられなかったんですが、彼の動く姿を見てその格好良さを納得出来たので安心しました。
改めて観て、ちょうど四半世紀前に作られた映画なのに、今でも十分に楽しめたので「シュリ」には普遍的な面白さがあると、改めて思いました。それにやはり映像が格段に良くなっていたので、初めて観る人はもちろん当時観た人も、ぜひデジタルリマスター版で楽しんで欲しいですね。
◆公開後の盛り上がりや、東京国際映画祭での上映やパーティなどで印象的だったことを教えてください。
映画祭の上映に予想以上の人が集まり過ぎて、急遽追加上映が決まったのには驚きましたね。宣伝の手応えを感じてちょっと安心したことも覚えています。また来日した皆さんがとてもいい人で、特にハン・ソッキュさんは大スターなのに全然偉ぶらない態度と気遣いに感動して、さらに魅了されてしまいました。公開が始まってからもいろいろな媒体で紹介されましたが、それよりも観た人の口コミでどんどん広がったという印象ですね。そして社会現象とまで言われるヒットを記録して、動員100万人突破記念のパーティーで、映画の中で流れる印象的な美しいバラードを歌ったキャロル・キッドさんが来日して、素敵な歌声を生で披露してくれたのも嬉しかったですね。
◆『シュリ』公開前と『シュリ』公開後で、日本国内での韓国作品の評価はどの様に変化していったと感じられていますか?
個人的には1999年当時、シネカノンでイ・チャンドンやホン・サンス、キム・ジウンなど、その後すぐに世界的に有名になる監督のデビュー作や2作目を集めた映画祭をやったので、韓国映画の新しい潮流が勃興していることは認識していました。でも「韓国映画」と言われても当時の一般の人にはイメージすらなかったんじゃないですかね。知っていた人でもいかにも韓国的情緒の熱い語り口による文芸モノや歴史モノか、ちょっとエッチなコリアンエロスって感じじゃないですかね。いずれにしてもどれも小規模な作品で、アクション映画、特に『シュリ』のような大規模なエンタメ作品のイメージなんて誰も持っていなかったですよ。なので『シュリ』公開後は、韓国映画を知っていた人も知らなかった人も、自分も含め「韓国映画すごい!」ってなりました。だから『シュリ』のヒットを受けて色んな配給会社が韓国映画を買ったので、その後は韓国映画を公開することも観ることも普通のことになって行ったと思います。
◆『シュリ』が多くの方に響いた理由はどの様なことだと考えますか?
先ほどと重複しますが、内容的には万人受けする分かりやすい普遍性ですかね。あとは韓国映画として意外性のある激しいアクションや、大作感のあるエンタメ性かなぁ。公開後は社会現象になって行ったので、流行りモノとして広がったってこともあるんじゃないかなと思います。
◆今『シュリ』の宣伝をするとしたらどの様なアプローチをしますか?
うーん、難しいですねぇ。今はもう技術面でのクォリティが上がっているので、その観点では全く同じ内容で新作として勝負するのは流石に厳しいですよね。そう考えるとやはり映画史的な価値として、「韓国映画の金字塔」「韓流ブームの源流」みたいな売りになるんじゃないかな。あと役者を来日させられたらいいですよね。皆さん今も一線級で活躍していますからね。
◆『シュリ』以外でお好きな韓国作品があれば教えてください!
沢山あり過ぎてすぐに答えるのが難しいんですが、思い出した範囲で挙げると『オアシス』(イ・チャンドン)、『殺人の追憶』(ポン・ジュノ)、『復讐者に憐れみを』(パク・チャヌク)、『息もできない』(ヤン・イクチュン)、『3人のアンヌ』(ホン・サンス)、『国際市場で逢いましょう』(ユン・ジェギュン)、『ベテラン』(リュ・スンワン)、『哭声/コクソン』(ナ・ホンジン)、最近だと『82年生まれ、キム・ジヨン』(キム・ドヨン)、『ユンヒへ』(イム・デヒョン)、『あしたの少女』(チョン・ジュリ)『はちどり』(キム・ボラ)、あと公開中だと『ソウルの春』(キム・ソンス)が重厚感があって面白かったですね。多分漏れている作品が沢山あると思いますが、こんなところで。
作品情報
『シュリ デジタルリマスター』9月13日より公開
永く観ることが叶わなかった韓流の<原点にして頂点>
25年の時を経て、4Kデジタルリマスターされ、感動も新たに鮮烈にスクリーンに甦る!
1999年2月13日韓国で公開され、『タイタニック』の記録を破る621万人を動員。翌年、日本でも公開されるや「韓国映画はハリウッドを越えているのか――」という驚きと共に、列島沸騰の社会現象を巻き起こし当時の韓国映画としては空前の興行収入18億円を突破する大ヒットを記録。この伝説の作品はしかし、その後上映権が宙に浮く事態となり劇場上映・配信などがなされず、「映画の世界地図を書き換えた奇跡の1作」「韓流の始祖」など語りつがれてきながら<幻の傑作>となっていた。あれから25年、再上映の熱い声に応えようと、粘り強い交渉を重ねてきたカン・ジェギュ監督の努力が実を結び、映画公開から25周年のアニバーサリーイヤーに、『シュリ デジタルリマスター』として4Kデジタルで鮮やかに蘇る。
南北間に横たわる悲しみと平穏な日常にある愛のコントラスト、
そして、圧巻のアクションと壮大なクライマックスを没入し体感する至極の映画体験!
監督も関わる中で4Kデジタル修復作業が行われ、4Kデジタルでクリアにリマスターされたことで、南北に横たわる悲しみと、平穏な日常に輝く愛のコントラストが一層際立ち、ラストの圧倒的衝撃はより深く胸を震わす。本作を皮切りに、その後『JSA』「愛の不時着」など南北問題を描く傑作が数多く生まれたことも、この作品の存在意義の大きさを示す。また、ハン・ソッキュをはじめ、当時まだ駆け出しだった、ソン・ガンホ、チェ・ミンシク、キム・ユンジンなど、その後 韓国エンタメの柱となる錚々たるキャストの競演は、今観てより熱い。
あの時観た人も、幸運にもまだ出会っていない人も、最高のクオリティで映画館の大スクリーンで体感できるこの貴重な機会をお見逃しなく!
監督・脚本:カン・ジェギュ
出演:ハン・ソッキュ『八月のクリスマス』、キム・ユンジン『告白、あるいは完璧な弁護』、チェ・ミンシク、『オールド・ボーイ』、ソン・ガンホ『パラサイト 半地下の家族』
主題歌:When I Dream(キャロル・キッド)
1999年/韓国/カラー/125分/ドルビー・デジタル/PG12/字幕翻訳:根本 理恵
配給:ギャガ
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