ビターな少年時代を過ごした孤独な⻘年が、極上のスイーツで奇跡を巻き起こす︕フランスを舞台にした<ほっぺたが落ちるほど美味しい、感動の実話>を映画化した、ビター&スイートなサクセスストーリー『パリ・ブレスト 〜夢をかなえたスイーツ〜』が3月29日より公開となります。
過酷な環境で過ごしている少年ヤジッドにとって唯⼀の楽しみは、⾥親の家で⾷べるスイーツ。いつしか最⾼のパティシエになることを夢みるようになっていた。やがて、パリの⾼級レストランに⾒習いとして雇ってもらうチャンスを掴み取るヤジッド。しかし、突然仕事を失う事件が起きる。失意のどん底で諦めかけたパティスリー世界選⼿権への切符を、持ち前の情熱で⼿に⼊れるが…。
パリの店舗やルイ・ヴィトンなどの⾼級ブランドとのコラボレーションが話題の⼈気パティシエ、ヤジッド・イシュムラエンの⾃伝書を元に映画化された感動のサクセス・ストーリー。登場する全てのスイーツの監修もヤジッドさん本⼈が務めています。
そんなヤジッドさんに、十束おとはさんがインタビューを敢行!作品の魅力についてお話を伺いました!
十束おとは(以下、おとは):映画を拝見しまして、自分も頑張ろうと思えるとても素敵な作品でした。まずご自身の人生、自伝が映画化されると聞いた時のお気持ち教えてください。
ヤジッド・イシュムラエン(以下、ヤジット):最初は、実はすごくストレスがあったんです。僕のの自伝に興味を持って色々なプロダクションの方がコンタクトを取ってくださったんですね。ただ、良いプロデューサーを選ばないと、自分が書いた本の中身が改変されるんじゃないかというそういう不安があったのです。そして良いプロデューサーに出会えて、実際に完成した映画を観たら涙が出ましたね。
おとは:素晴らしいですね、どのあたりに特に感動しましたか?
ヤジッド:パティスリー世界選手権様子を見て、込み上げるものがありましたし、 それから里親のおばちゃんが語ってくれるシーンですね。3、4回ほど涙が出てきたシーンがありました。僕は本作の共同プロデューサーも務めているので、出来上がった映画を一気に観るというよりは「これでいいかな?」と少しずぐチェックする機会があったので、先ほど言った様な改変の不安も無くて良かったです。
おとは:スイーツの監修もされていらっしゃるということで、とっても美味しそうで、ビューティフルでした。スイーツを映画に映すことで意識したことはありますか?
ヤジッド:映画でガストロミーが描かれている時って、僕らプロから見たらちょっと物足りないっていうと、信憑性が無いなと思う時があるんですね。調理シーンなどは特に役者さんですから難しいですよね。でも今回は僕が共同プロデューサーということもあって、「お金がかかってもいいから、3ヶ月の研修を俳優さんに受けて欲しい」と伝えて、実際にお菓子作りの研修を受けてもらいました。映画に出てくるお菓子は僕がスタントマンみたいな形で、いつもの僕のチームと一緒に作って。撮影の時は研修した役者さんが作っているという感じです。
おとは:チョコレートって温度によって見た目も変わりますし、繊細ですよね。
ヤジッド:「フォレノワール」(スイーツの名前)とかチョコレートがいっぱいかかっていますから、50個ほど用意しておいて、テイクの度に「次、次」という感じて取り替えて撮影をしていました。監督の後ろで僕も控えていて。
おとは:すごく食べたくなりましたし、フランスに行きたい気持ちも高まりました!
おとは:「大変なことがあっても諦めずにいる力が大事」ということを、お菓子の魅力と同じぐらい作品から感じたのですが、諦めずにいる秘訣であったり、日々意識していることを教えてください。
ヤジッド:僕の日常は厳格で規則正しいものなんです。例えば、昨日8時に日本に着きました。
時差があってはいけないっていう風に思っています。で、1年に大体15から20カ国ぐらい、僕は世界をこう旅行しているんですね。だから、いつもやっていることは、 今日なんかもう5時50分ぐらいに起きてですね、10キロ走るんです。そして、もうバランスの取れた
朝食をとって、そして今日、望んでいます。もうそういう風に、自分が健康的に元気でいられるような努力っていうのは日々しています。
おとは:毎日10kmも…!どうして自分をそんなにこう奮い立たせられるのですか?
ヤジッド:子供の頃から「自分に厳しく」ということを決めていたんですね。今日よりは明日、明日より明後日も僕自身が成長しているということを大切にしていました。肉体的には健康的でいなければいけないし、 頭が疲れてたらいい決断ができないので。そういう意味でも自分を律しています。それは誰かに課せられたことではなくて、自分がやりたいから、自分らしくいたいからやっているんです。
おとは:私もちゃんとしなくちゃ!と思いました。毎日限界まで頑張ってる中で、リラックスできる瞬間とか方法っていうのは何かあるんですか?
ヤジッド:またびっくりしますよ(笑)。ラボラトリーに2、3日間こもって、大好きなショパンのピアノ曲を聞きながらクリエーションをしている時が一番楽しいんです。次のお菓子はこういう食感にしよう、こういう味にしようって、シンフォニーを奏でるような形で、1人で一生懸命考える。芸術的にはこうで、実現はどうだって考えている瞬間がとっても癒される時間なんですね。いわゆるリラックスするための時間……ビーチで4時間太陽を待っているのは僕にとっては楽しい時間ではなくて、何かをクリエイトしている時間が楽しいんです。
おとは:そうやって自然に創作のことを考えられることが素晴らしいですね。少し話が変わりますが日本のお菓子で好きなものはありますか?
ヤジッド:1週間に3、4回食べるのが日本のパンケーキです。この純粋さが好きなんです。
おとは:フランスにも美味しいパンケーキがありそうですけどね!
ヤジッド:フランスのパンケーキは美味しくない、バターが入りすぎてる…(笑)。私はあらゆる料理の中で日本料理が1番大好きなのですが、特にお寿司が好きなんですね。どの国行ってもお寿司を食べることにしている理由は、お寿司が素材の良さを最大限に引き出す料理だからです。僕はお菓子もそうですけれども、料理も素材を活かしたシンプルなものが好きなんです。
おとは:夢ややりたいことがあっても途中でくじけてしまう人は多いと思います。そんな方へアドバイスをするなら?
ヤジッド:「恐れ」というものは挑戦を妨げるものだなとお見ます。やって失敗するよりも、不安でやらないことの方がダメなんですよ。ただ、これは矛盾するかもしれませんが、諦めるっていうことが必ずしも間違っていない時もあるんですよ。例えば、向上心がすごく強くてもっと高みを目指すっていう人は恐れずに挑戦することが大切ですけれど、僕・私はシンプルな生活でいいんだという人は、別に無理して高みを目指す必要は無いと思うんですね。僕自身がいつも気をつけているのは、世界を征服することが素晴らしいことでは無くて、自分が居心地の良い、幸せだと思うところにいるのが一番良いのだということです。
おとは:素敵なお言葉を本当にありがとうございます。この映画もたくさんの日本の観客が感動すると思います。
ヤジッド:そうですね。この作品を観てスッキリした気分転換になってくれたら嬉しいですし、忍耐強く頑張るということが大切だなということを感じ取ってくれたら何より嬉しいです。僕から贈りたい言葉は「あなたの夢を信じなさい」です。
おとは:今日は本当に素敵なお話をありがとうございました!
撮影:オサダコウジ
作品情報
『パリ・ブレスト 〜夢をかなえたスイーツ〜』
監督:セバスチャン・テュラール 脚本セドリック・イド
出演:リアド・ベライシュ、ルブナ・アビダル、クリスティーヌ・シティ、パトリック・ダスマサオ、フェニックス・ブロサール、リカ・ミナモ
ト
2023 年/フランス/フランス語/110 分/5.1ch/カラー/配給:ハーク、配給協⼒:FLICKK 後援:在⽇フランス⼤使館/アンスティチュ・フラン
セ、⽇本スイーツ協会 (C)DACP-Kiss Films-Atelier de Production-France 2 Cinéma 公式H P:hark3.com/parisbrest SNS:@parisbrest