Google最高評価のたこ焼き店か
大阪北区天満に、評価数679にしてGoogle口コミが4.9という異常な評価値をたたき出しているたこ焼き店が存在しています。そのお店は『たこ焼き 魔法蛸』。
たこ焼き“素焼き専門店”とあるこちらのお店は、マジックショップに併設される形も手伝ってなのか、少し変わった雰囲気を放ちながら営業しています。
しかし変わっているのは立地や外観だけではなく、たこ焼きに関するこだわりにありそうです。
店頭に並ぶのは、
「たこ焼き 素焼き専門店」
「当店では作り置きを致しておりません」
「Googleお客様評価4.9/3年間Keep」
といった文言。
その中でも、ひときわ大きく目立つのは
「食感期限7分」
の文字!
やっぱり普通のたこ焼き屋とは違うようです。
「何かうまいものが口に!」
味わってみないことにはわからないので、なにはともあれ注文して食べてみることにします。
人気No.1の「素焼き」とNo.2の「ゴマ油マヨネーズ」を組み合わせて12個(1390円)をお願いしてみました。
注文してから12分くらいすると、船に乗ったたこ焼きが運ばれてきました。
素焼きの表面の見た目はクリスピーなテクスチャー。箸でつまむと、薄そうでいて程よい硬さが伝わってきます。
口に運ぶと、そのパリパリした表面の中に目いっぱいのタコとトロトロの生地、そしてタコ以外の違う食感の具材が押し寄せてきます。「なんだこれ! よくわからないけどうまい」という、“未知の美味”に出会った時の感情に支配されます。なんだかわからないけど完食してしまう。「何かうまいものが口に!」状態。
素焼きだからこそ誤魔化せない生地の旨味。粉っぽさは皆無で、複雑なダシが効いていることはわかります。あと、タコがでかい! そして柔らかい! 噛めば噛むほど旨みが尋常じゃない。タコじゃない具材はコンニャクだと後からわかりました。パキパキの表面食感、ダシの複雑さや柔らかく大きなタコ、コンニャクなどのバランスで脳の処理能力をオーバーフローさせる美味しさとは、かくおそるべしです。
「ソースは使わない」とこだわりまくった「素焼き」の理由
このたこ焼きについて、お店を経営している宝珠さんにお話を伺ってみました。
魔法蛸は2021年から始めた若いお店なのですが、ずっと明石焼きのお店をオープンしたいと思い約18年前から研究は重ねていたそうなのです。
しかしコロナ禍をはじめとしたさまざまな制約のため、明石焼きのお店を出店するのを一度断念。
一方で宝珠さんが携わっている手品を生業とする人たちの集まりであるイリュージョングループも同様にコロナ禍の煽りを受けてしまいます。数百人規模のパーティーなどで手品を披露してきたものの、パーティーもコロナで自粛。マジシャンたちのお仕事も激減してしまいました。
そこで、このマジックショップの前で出来る商売は……?と考えたときに思い浮かんだのが、「明石焼きのダシを使った素焼きたこ焼きの専門店」だったのです。
「最初からソースは置かないと決めてました。ソースはどこにもありますからね。素焼きだと、例えば粉臭かったりとか美味しくない場合、味はすぐわかるので、そこで勝負をしていきたいなと思ったんです」(宝珠さん)
確かに生地の美味しさが突出していました。
「食感期限7分」パリパリの皮にも強いこだわり
ダシのこだわりの一方で「外側の皮はできるだけサクサク感を出したかった」といいます。「カリカリは時間をかけて焼けばできるけれど、サクサク感はどこも出していない」という言葉通り、外側の生地はあくまで薄くサクサク。食感に関して一番近いものを例えるなら「羽根つき餃子の羽根」でしょうか。
「たこ焼きという名の料理を届けたいと思ってます」
料理として細部までこだわったゆえ、作り置きはせず(というかできず)「食感期限7分」に至りました。
時間経過とともに皮のパリパリ感は落ちていくので、また違った食感に変化していくのも特徴の一つ。
まずは卓上に届いたばかりの数十秒のうちに、軽快な食感を先に楽しみたいところです。
ちなみに、この原稿を公開する1週間くらい前、更に生地をバージョンアップさせて、サクサク感のアップと味にコクと深みを加える事に成功したとの報もいただきました。実際に食べたお客さんから更に好評を得ているとのことです。(食べたい!!)
ごま油やマヨネーズとの相性も最高
パリパリしている間に、ごま油をかけたものもいただいてみました。こちらは50円の追加でかけられるトッピング。
かけるごま油は、山田製油製『京都山田のへんこ一番絞りごま油』。色々と試行錯誤した結果、「飲めるごま油」であるこちらに落ち着きました。
たこ焼きにごま油ってどうなんだろう……と思いながら食べてみると、ビックリするくらい油っぽさはありません!ゴマの香りがたこ焼き全体を包み込み、コクを増やしてまろやかにしつつ、ダシの味わいとしっかりかみ合います。高級なごま油ゆえ、有料にせざるを得ないそうですが、これはかなりのおすすめです。
ごまマヨネーズも、ゴマの風味と酸味が素焼きたこ焼きの味わいをまた違った感じに変えてくれます。ごま油とマヨネーズの酸味、卵黄のコクが生地の美味しさを引き立たせたかと思えば、スッとマヨネーズが消えて旨みが残る!うまい。
ダシと具材のこだわりゆえの価格
本来、明石焼きのベースを想定していたダシは節系、昆布、貝類、しいたけやエビなど多岐にわたります。寸胴3つで都度ダシを引き、季節でベストの素材をチョイスしているそう。
コンニャクは、吉野の水で作ったあく抜き不要のコンニャクで、塩味(えんみ)は、タコそのものが持っている塩と天かすの中に含まれている分だけ。よい素材を使い最低限の塩味でダシの美味しさを味わってもらおう、という意図が感じられます。
タコは通常の店だとおよそ3gから大きくて5g程度らしいのですが、取材時は1個当たり12g(!)の真蛸を使っていました。
12gくらいが丸いたこ焼きの中に丸いまま収める限界の大きさなのだとか(14gだともうはみ出てしまう)。タコの種類も、季節や仕入れの状況を水産業者の方と相談しながら、ベストの美味しさのものをチョイスしています。ちなみにタコはアタマや足先は使わず、一番美味しいとされるウデのみを使用しているそうですよ。贅沢……!
それゆえ、「うちって、大阪のたこ焼きの相場からすると高いんですよ」とおっしゃる通り、原価率はどうしても高くならざるを得ないところ。
価格は、
6個800円、9個1100円、12個1390円、15個1780円、18個1980円
と確かに本場大阪のたこ焼きの中では比較的高め。けれどもその味のクオリティゆえと考えるとコスパは決して悪くない、いや、むしろ良いのでは?と感じました。ちなみに多くなるほど割安で、18個であれば1個あたり110円になっています。
現地で出来立てを楽しんでほしい
“素焼きたこ焼き”のただならぬこだわり、いかがでしたでしょうか。
取材時にバッチリな焼きを担当してくださったのは現役の双子マジシャンのYuuさん(左)とNozomiさん(右)。他にChioriさんという焼き師さんもおられます。
彼女たちは『ルミエルデュソレイユ』というイリュージョングループに所属しており、公演の無い日に魔法蛸で焼き師として立っているそう。タイミングが合えば、彼女たちの焼くたこ焼きを味わうことができるようです。
Google評価最高クラスの素焼き、現地で出来立てを楽しんでみてください。
Google Map「魔法蛸」
https://maps.app.goo.gl/bVgjeM7b1AfBXcMH8
ルミエルデュソレイユ公式X(Twitter)
https://x.com/Lumiere_soleil2?s=20 [リンク]