どうも特殊犯罪アナリスト&裏社会ライターの丸野裕行です。
一旦は小康状態に向かったようにみえた新型コロナウイルス感染症も、この秋冬の季節になって再び感染者数を伸ばしはじめ、“第3波”がやってきたなどともいわれています。
このような混乱期に便乗して現れるコロナ禍を悪用した詐欺が、現在非常に増えています。
今回は、こんな時代に横行する「コロナ関連詐欺商品」をまとめてみました。
なんと詐欺の認知件数が前年比の5倍
こういった事態を利用した詐欺の手口を、犯罪者は常に考えています。実際、緊急事態宣言発令の4月度では、詐欺の検知数が、前年比の約5倍以上を記録。
給付金やマスクを話のネタにした国・公的機関を偽った個人情報詐取の手口も多くあったようです。
新型コロナウイルスの不安を煽り、“欲しいけど買うことができない”という消費者心理を突く悪質な販売サイトには気をつけなければいけません。
今の時代、高需要の商品というのは、詐欺師が注目する商品ということ。ですから、除菌スプレーやマスクが主要な詐欺商品になるわけです。
さらに、免疫力を上げる商品や抗ウイルス薬品、偽コロナ特効薬なども注意しなければいけません。
注意しなければならない商品群
ここで、このコロナ禍の時代に注意しなければいけない詐欺まがいの商品の見極め方について、神戸製薬株式会社代表で、医療機器コンサルタント・薬事ジャーナリストという肩書きを持つ吉田ナリアキラ氏に詳しくお聞きしました。
丸野(以下、丸)「具体的にはどのような商品に気をつけなければならないのですか?」
吉田氏「不織布マスクですね。これは目の細かさがあるものであれば、飛沫対策になるのですが、販売されている輸入品では農業用不織布というポリプロピレン繊維の目が粗いものが多いです。オススメは、目が細かいメルトブローンという素材。さらに布製マスクもちゃんと滅菌処理をしているのかどうかが問題です」
丸「皆さん普通に使っていますよね」
吉田氏「消毒液の方ですが、殺菌用の消毒液はエタノール約65%以上、医薬部外品以外は雑品という扱いになります。一時期に消毒用アルコールがなくなったときに、ビールなどの飲用アルコールで消毒することを政府が呼びかけたことがありました。しかし、それでは殺菌という観点から効果があまり期待できません」
丸「ほう、そうなんですか」
吉田氏「牡蠣エキス、核酸など効果を謳っている無承認の免疫力をつける商品を医薬品であると謳っている商品なども最近多いですね。そのこと自体が薬事法違反に当たります。〇〇予防という謳い文句もNG。一時期、その効果を知らずに店頭から消えた次亜塩素酸の商品なども、新型コロナウイルスにはまったく効果がありません。これは、商品の値段を引き上げるために、まことしやかに効果があるとネットで詐欺師たちが流したものだと思われます」
政府の対応
丸「政府はなにもしなかったのですか?」
吉田氏「後手後手に回ってしまった消費者庁も、さすがに新型コロナウイルス感染症で拡がったネット広告での予防効果を標ぼうしている健康食品やマイナスイオン発生器、空間除菌商品などのウイルス予防商品に対して、緊急的に景品表示法と食品の虚偽・誇大に関する表示健康増進法の観点で、SNSで消費者への注意喚起を行いました」
丸「さすがに放ってはおけませんよね」
吉田氏「さらに、今年の7月から9月まで、Web上における健康食品等の虚偽・誇大表示の監視を実施しました。それは評価できるのではないでしょうか」
免疫力はあがらない偽商品も蔓延
丸「そのほか、気をつけた方がいいという商品はありますか?」
吉田氏「高級ハチミツ、“マヌカハニー”というものです。ネットで多く扱われていて、コロナショックの中で高い免疫力をつけると証明されて売れに売れている商品なのですが、丸野さんは今世界中で流通している海外産のマヌカハニーのうち、70~80%は偽物のマヌカハニーだという事実をご存知ですか? ニュージーランド側が輸出したマヌカハニーの量にして8倍にもなるという報道があり、年間1,700トンが輸出されたのに、全世界で販売されている量は、年間10,000トンにも上ります」
丸「それは、世界中で売られている80%弱のマヌカハニーが、偽物や成分調整された製品の可能性アリということになるわけですか?」
吉田氏「マヌカハニー密造の裏側は、単純明快です。安価な百花蜂蜜に高額のマヌカハニーを少量ブレンドすると、UMF5+クラスのマヌカハニーを作ることが可能なんですね。この密造問題は数年前から指摘されています。正真正銘のマヌカハニーは、個人輸入品ではなく、企業単位の正規輸入品です」
丸「そんなに簡単に……」
吉田氏「ですから、海外からの輸入証明書及び通関証明書、各検査機関の証明書などがあり、その品質を保証されています。この証明書は弊社のマヌカハニーになりますが、これがない場合は“偽物”といえるでしょう。さらに、ニュージーランド産のものに、残留農薬が検出されたことがわかっています。ちなみにオススメは、マヌカの木の故郷であるオーストラリア産です」
これからネットで売られる要注意商品
丸「今後、注意しなければいけない商品というのはありますか?」
吉田氏「マスクの次は、手袋だといわれています。今、某国が値段を釣り上げているのは、医療用の“ニトリル手袋”ですね。薬品・油に強く、強度のあるタイプの手袋のことです。手にピッタリとフィットするために素手のような感覚です。最近、天然ゴムと同じアレルギー対策の代替品として、食品衛生の現場や医療現場などでも利用されはじめました」
丸「それが次に品薄になると?」
吉田氏「現時点でも品薄になってきています。日本ではほぼ生産していなかったものなので、価格を釣り上げることが簡単なんです。塩化ビニル製は中国製で、ニトリル製はマレーシアで作られています。国内のメーカーはこれらの国で買い付けをし、販売しています。某国は資金力に物言わせ、根こそぎ買いあげているようです。日本では、個人やスーパーでも使われていて、すでに品薄。介護現場からは、マスクよりも深刻で、手袋がないと切迫状態だといいます」
丸「知りませんでした」
コロナ禍の状態では、欲しくても買うことができないという衛生商品が数多く存在します。しかし、この混乱に乗じて詐欺のような商品を売りつけてくる悪質サイトは急増します。
一番危ないのは“平常心を失い、焦ってしまって行動に走ってしまうこと”です。多くの詐欺被害者は「後から考えればおかしくなっていた」とのちに語っています。
コロナショックの影響で今までの日常は大きく変化していますが、こんなときだからこそ、一旦落ち着き、ちゃんと見極めて、ショッピングサイトなどを利用するようにしましょう。
取材協力:
神戸製薬株式会社本社:兵庫県西宮市天道町6番4号
大阪支社:大阪府大阪市中央区谷町3丁目2-2セブン谷町ビル5F
TEL/FAX:0798(66)0327
URL:https://www.kobe-seiyaku.co.jp/p/search?keyword=
(C)写真AC
(執筆者: 丸野裕行)
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