夫の攻輝さんのことが大好きで、様々な手で攻めるけれど、的確に反撃されてメロメロになってしまう嫁の朱里さんを中心に描いた矢野トシノリさんの(@hosimaki)の『防御力ゼロの嫁』(REXコミックス)。2019年8月27日には待望の第3巻が刊行となります。
ここでは、3巻に収録されている中でも矢野さん自身が「好きな回のひとつ」として挙げてくれた「結婚記念日編」を紹介します。
防御力ゼロの嫁 結婚記念日編#防御力ゼロの嫁pic.twitter.com/HbCw24QVRp
—矢野トシノリ@ゼロ嫁3巻8/27発売! (@hosimaki) November 22, 2019
結婚記念日に良さげなレストランに来たふたり。「予約していたコースの方をお願いします」「お飲み物はいかがいたしますか」「シャトーベレールのラグラーヴの1985年を」と淀みなくオーダーする朱里さん。それを見た攻輝さんは……。
「朱里さんってさ、基本的にはかっこいいよね」と言われて、「んなっ!?」と真っ赤になる朱里さん。「でも俺といる時はなんか…『ふにゃっ』としてるよね。いやそれが好きなんだけどね」と畳み掛けられて手を取られ、「そ…それはぁ!!」となり……。
「愛する人から毎日愛されてるのわかったら、そりゃふにゃっとなっちゃうよ!!」と両手で攻輝さんの手を握る朱里さん。これには攻撃力に定評のある攻輝さんもドキューンとしてしまい……。
「ありがとう。これからも精一杯愛し続けるよ」と指輪が光る左手にキスをする攻輝さんに、朱里さんは「そういうところ、しょういうところぉお」とメロメロに……。「こ、こうきしゃんまわりが見てりゅ」と恥ずかしがり、「あ、ごめんまたつい…」という攻輝さんから、「また一年、いやずっとこの先もよろしくね、朱里さん」と言われて、「この先もっ…よ…よろしくお願いしますっ!」とグラスを合わせるふたりなのでした。
今回、3巻の刊行を目前に控えた矢野さんに『防御力ゼロの嫁』についてお話もお訊きすることができました。
--pixivで公開されていた『艦隊これくしょん』の二次創作『夕張30歳』が人気でしたが、創作漫画に挑戦してみようと思われた理由について教えてください。
矢野トシノリさん(以下、矢野): 『夕張30歳』シリーズを含めて、『艦これ』での活動期間が長くなって来たこと、同ジャンルで活躍する作家さんがオリジナル進出を果たしていくのを見ていて、「漫画家として先を考えると二次創作だけでは駄目だ」という気持ちがありました。元々成人向けで描いていましたが、一般作品は昔から描いてみたかったので、当時はいろいろな作品を描いてみて挑戦していました。その中で評判のよかった『防御力ゼロの嫁』を続けることにしました。
--『防御力ゼロの嫁』を着想されたきっかけは何だったのでしょうか?
矢野:最初は「自分のことを好きって言ってくれる彼女がほしい」的な己の欲望から生まれました(笑)。その上で「こっちが言ったことに照れてくれたら可愛いなぁ」くらいの感覚でした。実はその後2作目を描いた後に、他の作品にかかりきりになり一時は放置してました。半年くらいたって再掲載したときに改めて自分の作品を見直した時に「これは……この子防御力ないな……『防御力ゼロの嫁』とかどうだろう?」 という感じでタイトルが思いつき、今に至ります!
--ちょうどTwitterでハッシュタグ「#漫画家は自分が体験したことしか描けない」が話題になっていますが、職場恋愛に関してのご自身のご経験は?
矢野:これに関しては自分が漫画家という他人と関わる人数の少ない職業なので、憧れの部分が強いです(笑)。職場恋愛は自身に機会がなかったので「いいなー羨ましいなー」と思って描いています。細かいディテールは社会人の妻に聞いたりしています。
--朱里さんの性格を決めるにあたって、何がポイントになったのか教えてください。
矢野:強気な性格なのに攻められると弱い……というのが他のキャラでも好きな要素で、それを自分の作品でやってみたかったというのがあります。攻めは得意だけど受けは弱い、みたいなのはキャラとしてギャップもありますし、お約束のひとつでもあったので。ここをピックアップしたのが珍しかったのかもですね。
--攻輝さんの「クサい」セリフを言う性格のモデルになった人はいるのでしょうか?
矢野:これはお恥ずかしながら自分自身なのかな……と(笑)。正確には自分が「こういう事言えたらカッコイイなー」と思っていることを素直に出せてるのが攻輝さんというキャラだったりします。現実には恥ずかしくてとてもじゃないけど出来ないのですが……。
--3巻の見どころを教えてください。
矢野:まず、自分でも印象の深い「結婚記念日編」「ナンパ編」が収録されています。前半の方が「海!水着!温泉!一泊!」と夏らしさが盛りだくさんな回になっているので、ぜひ見てほしいです。また、メインキャラ以外の単独のお話がこのあたりからありますので注目して見てほしいですね。加筆してサービス満点になっているのも楽しみにしてほしいな、と思います。描き下ろしは「同棲(お風呂)編」と「女子高生編」なのですが、全体的には少し不足気味だったセクシー要素を「同棲編」でたっぷりと。朱里さんの昔のことが見れる「女子高生編」と描き下ろしも楽しんでほしいです。「女子高生編」はちょっと短めなのでもう少し描いてみたいかもですね!
--Twitterやpixivなどに寄せられる反応について、ご感想をお願いします。
矢野:Twitterに載せているおかげでリプライとかがたくさん頂けるのは、本当にありがたいです。全てに返事ができないのが心苦しいところですが、読者さんの反応があるからこそ続けられている部分もあります。同時にpixiv、ニコニコ静画にも投稿しているんですが、そこでのコメントもいつも楽しみに読んでいます。細かいネタの仕込みに気づいてくれた時は嬉しいですね(笑)。
--今後、『防御力ゼロの嫁』で描いてみたいストーリーは?
矢野:現在、ストーリーが朱里さんの復職に向かっているので、以前ではあまり描けなかった職場の様子や、満員電車の通勤とか仕事終わりの様子とか、家の中だけでない外のイベントを新しい面として見てもらいたいですね。基本的にはラブラブ話を描いていたいので、ライバルとかも出ずに二人の愛は変わらなそうですが……(笑)。小ネタ挟んだりした部分や、もはやノルマと言われてる枠載せとか……。新キャラも増えそうなのでそこも楽しみにしていてほしいです。
--ありがとうございました!
朱里さんと攻輝さんの高坂夫妻のほか、ふたりの先輩の成増夫妻や、攻輝さんの妹の響子、朱里さんの会社員時代の後輩のまどかといったキャラも揃ってきた本作。3巻の書店特典は、アニメイト・ゲーマーズ・とらのあな・メロンブックスなど各店舗ごとに違うので、事前に要確認です。
矢野トシノリさんのTwitter
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