今回はみくささんのブログ『人生万事こじらせるべからず』からご寄稿いただきました。
メンタリストはベッドの上で何をするんだろ(人生万事こじらせるべからず)
セックスハウツー系の本を読んだので感想を。
メンタリストDaigo氏の「ベッドの上の心理学」って本を読みました。
買うのが恥ずかしかったのでkindleです。
私のkindleのライブラリはこのように、セックスとナゾトレだけで構成されてます。
ナゾトレ本を電子書籍で買うメリットは一切無い、というか解けなくなるリスクが高すぎるのですが、意地で電子書籍版買ってます。奇跡。
発売当時は書店の平積み台にも「ベッドの上の心理学」と「東大ナゾトレ」が隣同士に並んでまして、クスッと笑ったものです(あの時はまだDaigo氏と松丸くんが兄弟であることは未発表だったので、全くの偶然のはず)。
で、「ベッドの上の心理学」を読んだ感想なんですが。
なんかこう、「科学的になにか違うんだけど、こっちも確固たるエビデンスで反論するには手持ちの資料が足りねえ…」という気分です。
たとえば、6章の「クンニリングスによる強烈な刺激は、女性ホルモンのエストロゲンを大量に分泌させる効果があります。」という記述。
エストロゲンが性欲を高めたり、膣の潤滑を良くするという話はありますが、性感によってエストロゲンが出るという話は聞いたことが無いのです。
エストロゲンは生理周期を司る重要な性ホルモンですが、クンニのたびに生理止まったり排卵が起きるわけもないので、「大量に」分泌しているわけはないと思うのです。
巻末の参考文献を見るに、和書や翻訳済みの本が多いので、全部読めばどこかに原著論文へのレファレンスもあるんでしょうが、いかんせん本が手に入らねえ。……これは私の怠慢です。
Daigo氏は医学の専門家ではない(私も専門家ではない)ので、新書レベルの参考文献から更に原著に当たるということをさほどやってないんじゃないか、という印象があります。
他の本から色々情報を引っ張ってきて、読みやすくまとめてくれているけれども、元の本の情報の真偽そのものが怪しいように感じます。
というわけで気になった記述バンバンdisっていきまーす
・プロラクチンはセックスでも分泌される。胸を大きくさせるには1秒間に3回程度優しく触るとよい。
プロラクチンは実際オーガズムの際に分泌されます。男女共に分泌され、男性では賢者タイムの因子ではないかと言われています。ここからわかるように、プロラクチンは性欲を減退させる方向に働きますし、胸が大きくなるほどプロラクチンが出ているとそれは高プロラクチン血症という病気です。
プロラクチンは妊婦や授乳婦で高くなるものですが、そうでない人間のプロラクチン値が高くなると妊婦のような症状が出ます。具体的には胸が張り乳汁分泌が始まりますし、排卵が止まります。
胸が大きくなるほどプロラクチンが出るってのはそういうことです。日頃のセックスで出るプロラクチンの分泌量程度ではよほどそんなことは起こりませんし、プロラクチン値が高いと性欲は落ちるので楽しいセックスライフのためにはわざわざ量を増やそうとするものではないと思います。
・リラックス→興奮→リラックスの波が大事。前戯と後戯ではオキシトシンとセロトニンが出るセックスを心掛けろ
これもホルモンの話なんですが、オーガズムでオキシトシンが出ます。オキシトシンが愛情に関わるホルモンだというのも本当です。
ただ、気持ちいいセックスをすればその結果としてオキシトシンが出るのであって、「よーしパパ、オキシトシン出させちゃうぞー」という気持ちでセックスに臨むのはよくわかりません。
どうでもいいことですが、私は昔、東大薬学部の男に「いつもは君のこと全く可愛いと思わないけど、セックスの時だけは可愛く感じる」と言われたことがあります。
彼は日頃から私のことを、連れて歩くには不名誉なブスだと見なしていたため、このような発言が出てきたのですが、こんなクソ発言でも当時の私はちょっとドキドキしたわけです。
で、薬学部の彼はしばらく考えたのち、「ああそうか、オキシトシンのせいか…」と一人で勝手に納得して、そっぽ向いて寝始めました。
確かにそれはオキシトシンのせいです、ええそうですとも。感情がホルモンで説明できるからといって、その感情がニセモノということにはならないのですが、「こんなブスのことを好きになるわけにはいかない」という彼のプライドが勝ちました。クソくらえ。
・美男美女は基本的に左右対称の整った顔
嘘です。左右対称性は美を担保しません。
適当なブサイクの画像を真ん中で切って左右反転すれば、完全に左右対称なブサイクの写真が出来上がりますので、これが反例になるでしょう。
・女性の身体は入ってくるペニスに膣を収縮させることでサイズを合わせ密着感が出るようにできているので、挿入後はしばらく動かないのがよい
挿入後に動かない方がいいのは同意しますが、ペニスに合わせて収縮するという話は聞いたことがないです。求むソース。
個人の経験としては、あれは縮むのではなくて緩むのを待ってる気がします。
・Gスポット刺激だけでイケる女性は 、全体の 3 0 %くらい 。理由はGスポットのすぐそばに尿道が通っており尿意を催すから
Gスポットでイケないのは尿意の問題でなくて、そもそもの快感の強さの問題だと思いまんこ。そもそも、尿道があるからそこがGスポットなのです。
Gスポットは独立した器官が何か存在するわけではありませんが、実際一定数の女性が気持ちいいと感じる場所です。その正体は、陰核海綿体やら尿道海綿体やらの複合体だろうと今のところ言われています。クリの裏側、なんて表現もあながち間違いでないと思います。
Gスポットは指入れてすぐのポコっと膨らんだところ、なんて言いますが、興奮して海綿体が膨張していないと膨らみがわからず、膣側から刺激するの難しくなるんですね。
「Gスポットさえ刺激すればなんとかなる」とは言わないけども、ナカでイける人はたいていGスポット好きな気がするんだけどなーどうかなー
・オリーブオイルや魚介類をふんだんに使った地中海メニューは 、オメガ3を多く含み血管に良いので男性の性機能を高める食事である
重箱の隅つつくようで申し訳ないですが、オリーブオイルのオレイン酸はω-9です
さて、揚げ足取りばかりしてきましたが、「Daigoのキャラって科学的に正しいことを言わないと説得力が落ちるから大変だな…」って思いました。
こないだ「東京いい店やれる店」を読んだばかりでして、こっちは同じ恋愛指南であっても、ギャグ調なので多少テキトーな記述があっても許せるんですね。
「最初のデートは外角低め、気取らないビストロで」とか「聖心や雙葉の速球が得意な女には、個室鰻屋などのカーブ球が効く」など、半分ぐらい合ってればなんか共感できちゃう。
Daigo氏自身が妙齢の男性なのも難しいところ。
「こんなこと言ってるけど、じゃあ彼自身はどんなセックスするんだろう!」って気になりませんか。少なくとも私は気になりました(これはセクハラです)。
一度ぐらい寝てみてーなーという気分になりました(セクハラです。ブスなので間違ってもそのようなことは起こりません。私もトロフィーワイフになりたい人生だった)。
彼自身が有能であるようにアピールしていくのが、本売るのに重要じゃないですか。
そういう意味でも、恋人なり奥さんがキレイでないとハッタリ効かなくなると思うんですよね。個人の嗜好として美女を求めるのも当然ではありますが。
んで、こういう本出して、セックス上手そうな雰囲気出しとくと、女性が期待してプライベートでもモテるじゃないですか。
うーんハッタリの成功スパイラル。
セックス方法の文章読んだ感じ、セックスが上手いのかどうかについては判別付きませんでしたが。
というか、セックスハウツーって難しいんですよ。女の子の大多数が喜ぶ方法って、当たり障りのないものになってしまう。
そのくせ、本当に大事なのは技術ではなくて、どれだけ惚れ込んでるか、若くて顔がいいか、みたいなことになってくる。あるいは、技術に汎用性が無い。幅が広すぎるのでどれを採択していいか迷う。
スポーツが上手な人が上手なスポーツ教本書けるわけでもないですから。
たとえば私は至って普通の性嗜好で、歌の上手い男性とカラオケに行って2時間ほど歌うとぐっしょぐしょに濡らすのですが、この方法を記載してあるセックスハウツーに出会ったことがありません。
あとついでに、ホテル着いてから一曲踊ってくれると最高に興奮するのですが、これを書いてあるセックスハウツーも見たことがありません。なぜだ。
もういっちょついでに、ポールのあるラブホに行って登り棒コアガズムしながら挿入したら気持ちよさそうだな、と思うんですがこれもセックスハウツーに載ってません。いやー普通なんだけどなー。
Daigo氏のセックスハウツーの中で一番普遍性あるのは手マンだと思います。
抜き差しじゃなくてGスポットノックする基本の手マン。あれはどんなセックスハウツーでも書いてあるんですが、それゆえ実用性が高いので覚えるべきです。
というか抜き差し手マンは痛いから本当にやめてほしいんじゃ。
体位に関しては私はしみけん信者だよ…やっぱ挿入の経験が違う…
ロールスロイスって体位は膣内くまなく攻められるのでおススメです。これはしみけんの本買って読んでください。
セックスハウツー本篇自体はよくある優等生セックスだなーという感想。
読者のためを思って噛み砕いたのか、シビれるほどのセックスの才能を文章からは感じない。
でも多分、彼の真骨頂はセックスに持ち込む前の段階なんでしょう。
彼が本には書かなかった手練手管、やっぱりちょっと気になります。
執筆: この記事はみくささんのブログ『人生万事こじらせるべからず』からご寄稿いただきました。
寄稿いただいた記事は2018年08月28日時点のものです。
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