夢も希望も胸もない女子が、親が宮司を務める神社の巫女になってさまざまな事件に巻き込まれていくというストーリーが、従来の巫女像を打ち破る内容になっている映画『巫女っちゃけん。』が2018年2月3日より全国で公開されています。主演のしわす役の広瀬アリスさんは、自身のイメージとは真逆の口が悪く反抗的な巫女像を演じていてファンにとっても新鮮な印象が与えられるのではないでしょうか。
ガジェット通信では、そんな広瀬さんにインタビュー。しわす役を演じるにあたってのポイントや映画の見どころ、撮影現場の雰囲気までお話しして頂きました。
--今回、しわす役を演じられるにあたって、まずは最初に脚本をお読みになられた時にどう感じられたのかということからお聞きしたいと思います。
広瀬アリス(以下、広瀬):巫女さんの話で、自分にとって巫女の世界は知らなかったので、しっとりめのお話かなと思いきや、どんどん事件が起きてそれが大きくなっていく。とてもポップに巫女の世界を描いていて「面白いな」と感じました。
--しわすは、一般的な巫女さん像とは、ちょっと離れていますね。
広瀬:そうですね。かなり巫女さんのイメージとはかけ離れた女の子が主人公だなと。ここまで反抗的な女の子は、これまでの役でも演じたことがなかったので、すごく楽しみでした。
--グ・スーヨン監督から、役づくりや演技に対するアドバイスがあったのでしょうか?
広瀬:私が言われたのは、とにかく台詞のテンポ、人との会話のシーンのテンポを全部ずらしてほしいということです。台詞って、ポンポン続くのが普通だと思っていて。でもそこでワンテンポ、ツーテンポ遅らせて、ちょっと気持ち悪い間をつくると言えばいいのかな。そういったことをしてほしいというリクエストは頂きました。あとは楽しく暴れてほしいとか……。(巫女の)所作の練習はクランクイン前に1週間ぐらいだったのですが、「やってきたことはほとんど忘れてくれ」と言われたこともありました。
--しわすがちょっと間をおいてから、「はぁ?」と言うようなシーンが印象に残ります。
広瀬:そうですね。一回、右から左に流して、もう一回戻すというか。独特な、ちょっと気持ち悪い、「うん?」という間を作りました。
--今回、暑い中での撮影だったとお聞きしています。
広瀬:いやぁ……(苦笑)。もう本当に何気ないシーンでも暑くて。本当は巫女さんにも夏服と冬服があるんですけど、夏服だとちょっと透けてしまうということで冬服になったんです。めっちゃくちゃ暑くて(笑)。撮影中はずっと氷を頭の上に乗せていたりしていましたね。幸いにもメイクをほとんどしていなくて、髪もまとめているので、流れ落ちても大丈夫だったんですけど、酷暑だった時はバケツに水を入れて脚を入れて冷やしたりしてました。暑さとの戦いが一番大変でした。
--特に印象的だったのは、健太の母親の美和役のMEGUMIさんとの取っ組み合いです。
広瀬:あれは女性同士のグダグダ感というか(笑)。たぶん男性ならカッコよくなるのかもしれないですけれど、なんだかグダ~ッとした感じで、みんな本番中にクスクス笑ってました。ある意味シリアスなんですけれど、なんか笑ってしまうというか。それもこの作品らしいところなのかなって。かなり印象的で、面白いシーンだったなと思います。
--しわすがぶたれたり、蹴られたり、ナイフで切られたり、傷つくシーンが多かったような気がします。
広瀬:そうなんです。たぶんしわすって人をイラつかせるプロなんですよね。ストレートに言いすぎてしまって相手をイラつかせてしまう部分がしわすには絶対あると思うんです。よく言えば、すごく純粋で真っ直ぐなところなんですけど。
--健太が最後の最後までしゃべらないですよね。子役の山口太幹君と長い時間、一緒にいらっしゃったと思うんですが、どんな印象でしたか?
広瀬:普段はすごく元気な男の子で、「アリスちゃーん!」とか呼ばれたり、豆柴とずっと遊んでいたり、めちゃくちゃかわいくて。でも、しっかりお芝居はできるんですよ。たぶん太幹のNGは、ほとんどなかったと思うので。こっちが問いかけても無表情なんです。無視するんですけど、それもしっかり演じるんですよ。監督の言うこともパーフェクトにやりますし、「今時の6歳って、こんなにしっかりしてるんだな!?」って思って。子どもっぽい一面も見られましたけど、そういう意味では、太幹にはけっこう助けられた部分はいっぱいありましたね。
--自分も「この子、すごいな!」って、見ていて思いました。どんなことをしても、表情が変わらないところをあの年齢で演じることができるのが素晴らしいな、と。
広瀬:そう。目の奥が死んでいる感じというか。あれはすごかったです。本当、吸い込まれそうになりました。
--ストーリーの中でも際立っているのが、しわすがお母さんの真紀役の飯島直子さんのところに行くシーンです。飯島さんは女優として大先輩だと思いますが、共演なさっていかがでしたか?
広瀬:自分の父親がもともと飯島さんのことがすごく好きで、子どもの頃からよく名前をお聞きしていて……。そんな方とご一緒できるとはもちろん思っていなかったですし、いざお会いするととてもきれいでしたし、緊張しましたけど、役が役で、シーンがシーンだったので、唯一現場の中でもピリッとしてましたね。「すごくいい緊張感の中でやらせてもらったな」と感じました。
--しわすとの関係性でいえば、リリー・フランキーさんが演じられたお父さんの大島宮司との距離感を演じるのが難しかったのではと思います。
広瀬:そうなんですよね。親なんだけど、仕事場では上司だし……。しかも、人としてもなんかギクシャクしていて。でも、なんだかんだでしわすも親に甘えたいんだな、っていうのを理解したというか……。若い子ならではのモヤモヤした感情やイラ立ちを、うまく発散できなくて、それをお父さんや巫女の仲間たちにウワーッて当たるというか。憎みきれないキャラクターなのかなとか思いました。
--ちょっと抜けた感じがありますよね、リリーさんの役柄は。
広瀬:フッと、なんだか力が抜けていて、その分たぶんしわすがパワープレイをしてバッといっても、物怖じしない。あの関係性もすごくいいですよ。
--健太とラストのシーンで黒ごみ袋がつながっているあたりも面白かったです。
広瀬:なんか怖くて、閉鎖的で、自分の心を閉ざすみたいな。でもラストのシーンはしわすとちょっと親子の空気があって、それもすごくステキでした。景色もきれいで「素敵なシーンだな」って、観るたびに思います。
--撮影現場の雰囲気はいかがでしたか。
広瀬:飯島さんのところは、もちろんすごく緊張感があったんですけど、それ以外の時はけっこうワイワイとやっていました。メイクルームも、衣装を着替える場所も全部大きい控室だったんです。そこにスタッフさんも一緒で、キャストもいますし。着替えるところは、また別に小さい部屋があったんですけど、全員が同じ場所にいたので、みんなでごはんを食べたり、家族みたいというか、団結力があった感じでした。
--広瀬さん自身は、神社というものに対してなじみがあるんでしょうか?
広瀬:あります。子どもの頃からよく行ってた神社があって、地元に帰ると初詣にもよく行くところがあります。ここまで大きくて有名な感じじゃなくて、全然小さな神社なんですけど、よく行きます。
--今回、舞台になった宮地獄神社は、わりと大きなところでした。
広瀬:「そこまで見せてくれるんだ!?」というか、普段見ることができない場所で撮影させてもらったりしたので、本当に全面協力していただいています。
--この映画をどんな人に一番見てもらいたいですか?
広瀬:神社の世界とか巫女の世界って、たぶん日本人でも知ってる人はほとんどいないと思うんです。今回は、みんなが実は知らない世界をコミカルに描いていて、しかも本編の中で作法のシーンもあるので、お勉強になると思いますし、日本人以外の海外の方でも、この作品をきっかけに日本に興味を持ってもらえればいいなと思います。
--ありがとうございました!
スタイリスト:三浦真紀子
ヘアメイク:佐々木恵枝
映画『巫女っちゃけん。』予告編 90秒 –YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=PyEI2QIaJng [リンク]
映画『巫女っちゃけん。』公式サイト
http://mikomovie.com/ [リンク]
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