「知識量」と「論理力」を伸ばす独学術
学生時代のテストと違って、社会人になると「正解」が一つではなくなるため、何を勉強して、どんな能力を伸ばせばいいのか分からず、不安になりませんか?
社会人人生は30年以上続くもの。「社会人になってからどのような知識とスキルを身につけるのか」は、仕事人生を大きく左右する重大事です。
ビジネスパーソンが自分の能力を伸ばし、市場経済で勝ち上がっていくために、具体的に何を、どのように勉強すればよいのか。その方法として「大学受験用の教材」をおすすめしているのが、本書『新・独学術――外資系コンサルの世界で磨き抜いた合理的方法』です。
著者は、海外MBAホルダーでマッキンゼー出身、現在京都大学博士課程でファイナンスの理論を研究している侍留啓介さん。ビジネスパーソンとしてパフォーマンスを上げるためには、「知識量」を増やし、「論理力」を磨くことが重要であり、それらを学ぶにあたって、大学受験のやり直し学習ほど効率的で、効果の高い学習法はないと言います。
あの「知の巨人」と呼ばれる佐藤優さんも「ビジネスパーソンにとって本当に役に立つ最良の参考書。一番上のキャリアを目指す人は必読」と絶賛している一冊です。
大学受験の参考書のメリットとは?
ビジネススキルを磨くのに、なぜ受験参考書を使うのか。メリットは大きく3つあります。
① 知識を効率的かつ網羅的に学習できる
大学受験の入試問題には、大学やその後の社会生活において求められる「一般教養レベル」の知識が網羅的に集約されています。
そのため、受験参考書を活用すれば、ビジネスパーソンに必要な知識や論理を極めて効率的に身につけることができるのです。
大学受験とは、大学でのアカデミックな学習とその先にある研究や社会生活において必要なものをひと通り身につけているかをチェックすることを目的としています。(中略)
「最低限これだけのことは知ってから大学に来てほしい」という思いで、一般教養レベルの問題が網羅的に出題されるのが、大学受験の入試問題なのです。つまり、大学入試問題の科目には大学で学ぶような各論ではなく、「(みんなが知っておくべき)共通の知識のベース」が集約されているのです。(P.28)
② 問題を解くことによって、正しい答えを導くスキルを身につけられる
網羅性や効率性以上に重要なのが、「参考書には問題と答えがある」という点です。問題を「解く」ことで、知識が自分のものとして定着しやすくなるのです。
本を読んで自分では理解しているつもりになっても、その内容を相手に説明したり、説得したりできるほど十分な知識として身につけられていないと感じる人は多いのではないでしょうか。
手に入れた情報を正しく咀嚼し、記憶として定着させられなければ、ビジネスパーソンとしての市場価値を高める勉強とは言えません。
その点、参考書には「答え」があるため、フィードバック付きのトレーニングができます。出題されている問題を考え、解答を見て、考えた結果と照らし合わせる、この繰り返しによって、知識が自分のものとなり、記憶として定着していくのです。
③ 質が高いのに、費用が安くすむ
コスパも非常に優れいています。大学受験参考書の多くは、高校生を顧客としているため、情報の質や量の価値に比べて、格安のものが多いんですね。
大学生向けの専門書が1冊数千円するのに対し、受験参考書は高くても2000円程度。中古であれば数百円で手に入れることもできます。
たとえば著者の侍留さんがオススメしている「スタディサプリ」という高校・大学受験向け動画学習アプリでは、TOEIC対策の本で有名な関正生さんの「英文法講座」を聞くことができます。
同じような内容でも、大人向けのTOEIC対策講義を受講するとすれば、桁違いに高いお金を払うことになるでしょう。しかし「受験生向け」というだけで、月額1000円足らずで有名講師の授業を聞くことができるのです。
受験生という、ある意味では最も(講師や本の)費用対効果を重視する顧客を対象としているからこそ、定評のある受験用の教材というのは、それだけ効果や効率性が高く、極めてコスパが良いのだと言います。
社会人が独学で伸ばすべき能力まとめ
本書では、第2章で「知識」を、第3章で「論理」を身につける上で、大学受験参考書をどのよう活用すべきか、具体的に解説されています。
各科目によって伸ばすことができる能力は次の通り。
「知識」(第2章)
「政治・経済」
- 日経新聞を正確に読む基礎知識
- ビジネス雑談力
- 他人の意見に流されないニュース読解力
- 社会問題に実感が持てる文脈的知識
「倫理」
- ビジネス潮流がわかる経済思想
- 人間理解が深まる心理学
- 国際社会の教養としての宗教
- 考えを整理するためのフレームワーク
「論理」(第3章)
現代文
- 人の主張を正確に理解する力
- 人を納得させる説得力
- 問題を深掘りする「Why」思考
- 結論を引き出す「So What」思考
小論文
- 自分の意見を明確に表現する力
- 「そもそも」を考える力
- 豊かな発想力と反論力
- シンプルに伝わる文章を書く力
どれを見ても「社会人基礎力」として必須であることは明らかでしょう。これだけの「知識量」や「論理力」が、大学受験参考書で勉強すれば身につくのです。
本書では科目別に、どのような参考書を使い、どのような勉強をして、どのような知識や論理的思考力を身につけるべきかまで、細かく解説されています。
その中で繰り返し登場するのが、前述の「スタディサプリ」です。リクルート社が提供している受験用の動画学習アプリで、月額980円(税別)で有名講師の授業を聞くことができます。
関正生さんの「英文法講座」をはじめ、村山秀太郎さんの「世界史」や、「政治・経済」などの講義は、「社会人基礎力」を身につけるために役立つとオススメされています。
↓こんな感じで、科目別に講義がまとめられているので、迷うことなく自分が受けたい講義に行きつけます。
英語の講座はこんな感じ。
耳で聞くだけでも十分勉強になるため、通勤時の満員電車も有意義に活用できるようになるでしょう。
ちなみに「あなたの収入を大幅アップする方法!キャリアを掛け算して希少価値を高めよ!」でもご紹介した、藤原和博さんによる「よのなか科」の講義も受けることもできます。
↑これは新入社員や若手社会人にぜひ受けてみていただきたい講義です。
また社会人向けの英会話学習アプリとして「スタディサプリ ENGLISH」もあります。
本書の巻末付録では「ビジネスパーソンに本当に効く本」として、各科目別のおすすめ本のリストもまとめられているので、実際にどの参考書を使って勉強すればよいのか知りたい方は、ぜひチェックしてみて下さい。
「答え」が用意されている問題を解くという学習法は、取り組みやすく成果も見えやすいため、モチベーションを維持しながら勉強できるはずです。
- 公式サイト:「スタディサプリ」
- 公式サイト:「スタディサプリ ENGLISH」