変化が激しい現代のビジネスにおいて、DX(デジタルトランスフォーメーション/以下:DX)の重要性はより高まっています。
バックオフィスも効率化と生産性の向上が求められており、そのためにDXに着手する企業が増えていますが、バックオフィスのDXにおいては単なる業務改善だけでは不十分です。
「新たな価値創出」というDXの真の目標を見据えたDXを考える上で、重要な役割を果たすのがスタートアップなどが提供する革新的なアイデアとソリューションの存在です。
こうした企業が提供するソリューションは、DXを通じてビジネスのあらゆる側面を根本から改革する可能性を秘めています。
この記事では注目のソリューションを提供する3社をピックアップし、どのようにして中小企業の課題を解決し、ビジネスを新たな段階へと導いてくれるのかを解説します。
デジタルと人の融合でHRをDX|株式会社Coachers
2022年2月に設立した、株式会社Coachers(コーチャーズ)は、HR(Human Resources/人的資源)、クリエイティブ、マーケティングの各領域を組み合わせたバックオフィスのDXを推進している企業です。
ブランディングで人と企業をつなぐ
働き方が多様化する現代において、多くの企業、特に中小企業はHRに関して様々な課題を抱えています。
- 求人を出しているけど応募が来ない
- HR向けの訴求方法が分からない
- 従業員が定着しない
- 認知度を高めたい
これらの課題に対して、株式会社CoachersはHR、マーケティング、クリエイティブの領域を統合させた、「採用活動のブランディング」によって、企業の魅力を効果的に求職者に伝える独自の手法を提供しています。
具体的には、その企業の魅力や求人に合うように、ブランディングを行い、実際の求人広告の作成、出稿までをワンストップで行います。
人手不足で十分な採用活動が行えていなかった中小企業にとっては、これまでリーチできていなかった層にまで情報を届けたり、自社の強みや魅力をわかりやすく伝えることができるため、企業に合った人材からの応募増加が期待できます。
さらに、株式会社Coachersは、SNS投稿やホームページ管理などデジタルを活用したソリューションも提供しているため、十分なノウハウが社内にない企業でも安心して取り組むことができます。
AIを活用した「HIDANE」でインターン採用を支援
株式会社Coachersはベンチャー特化型のインターンマッチング用プラットフォームも提供しています。AIを活用した独自のプラットフォーム「HIDANE(β版)」は、学生と社会人がより本音で交流することで、企業がカジュアルに魅力を伝えることができる場の提供を目的としています。
主な特徴は、AIの分析に基づき「HIDANE(β版)」のプラットフォーム上で毎日数名の学生を企業側にオススメする機能と、相互に興味がある場合にメッセージ交換が可能になる点です。
現代社会は、企業が求職者を選ぶ時代から、求職者が企業を選ぶ時代へと移り変わってきています。
この変化は、単に人手不足の影響で「売り手市場」になっているというだけでなく、求職者側が求める価値が、会社の規模やネームバリューだけでなく、自分との相性ややりがいなどに大きくシフトしてきていることも意味しています。
「HIDANE(β版)」はこのような社会的な背景を踏まえ、企業と学生がより適切にマッチングできるよう支援しています。
インターン生はこれまでの企業にない新鮮な視点を持っており、さらに最新の知識を持っている可能性があります。これらは、企業に新しいアイデアやイノベーションをもたらすことも多いでしょう。
長期のインターンシップを提供することで、企業は優秀な学生を育てると同時に、将来の雇用機会を生み出すことができるのです。
ただし、求職者から選ばれるためには「会社の独自性」を「他社と比較・差別化しやすい要素」として可視化していかなければならず学生に対してそれらを訴求する場を「HIDANE(β版)」は提供しています。
株式会社Coachersは「HIDANE(β版)」を通じて、企業の10年後・20年後を支える優秀な人材の獲得ができるよう、採用のバックオフィスDX推進を後押ししています。
補助金対応DXで中小企業のポテンシャルを開放|株式会社Stayway
2017年7月に設立した、株式会社Stayway(ステイウェイ)は、補助金の活用などをきっかけに、あらゆる中小企業や地域がそのポテンシャルを発揮できるよう支援している企業です。
中小企業や地域の本来の力とチャンスを最大限に発揮
株式会社Staywayは、地方創生事業からスタートした企業であり、現在では補助金クラウド事業を通じて中小企業や地域のポテンシャルを最大限に発揮することを目指しています。
中小企業をはじめ、補助金などの機会を求めながらも、申請手続きの煩雑さや人手不足により十分に活用できないという状況は日本中で見られます。
利用可能なはずの公的なリソースがあるにもかかわらず、バックオフィスの手が回らずに、せっかくの機会を逃してしまうことは珍しくありません。そもそも申請可能な補助金の存在を知らないままになってしまっているケースもあるでしょう。
そのような課題を日本の多くの企業が抱える中、同社はコロナ禍の補助金ニーズの増加を受け、情報収集から資金確保、精算作業、事業支援までの各プロセスをテクノロジーの力で効率化したのです。
具体的には、これまでは当たり前だった、紙での申請や対面による専門家への相談などをはじめとするフィジカルな手続きをクラウドベースにして、オンライン上でほぼ全てを完結できる仕組みを作りました。
これにより、補助金申請の非効率性を解消し、すべての中小企業が最大限のポテンシャルを発揮できる機会を得やすくなりました。
金融庁や日経新聞が選ぶFintechスタートアップにも選ばれた同社は、国や自治体、金融機関との連携を深めており、日本の中小企業や地域社会の活性化に貢献しています。
「補助金クラウド」で補助金業務を効率化
株式会社StaywayはいくつかのDX支援事業を展開しますが、その中でも特に注目されるのが補助金対応DXサービスの「補助金クラウド」です。
「補助金クラウド」は補助金や助成金の申請プロセスをサポートするサービスで、特に中小企業や個人事業主向けに最適化されています。
具体的には補助金申請に関する書類作成の手助け、申請のためのアドバイス、さらには申請後のフォローアップを通じて、補助金の獲得をサポートしています。
「補助金クラウド」は、補助金を申請したい企業や個人事業主だけを対象としたサービスではありません。
補助金を支援する以下のような事業者にも最適なサービスとなっています。
- 士業・認定支援機関
- 企業の法人営業部門
- 金融機関
- ファンド
幅広いニーズに応えるために様々なツールが提供されていますが、例えば企業の法人営業部門であれば、以下のようなツールが役立ちます。
- 顧客が使える補助金の自動判定
- 条件設定による補助金情報を定時に自動リコメンド
- 社内研修向けの解説動画・記事
- 顧客情報や支援情報のシステム一元管理
営業の際に、予算が限られている顧客に対して補助金をフックに、アポイントメント獲得からクロージングまでに役立つツールが揃っているのです。
顧客の補助金獲得を支援することができれば、自社が営業したい商品・サービス購入のハードルを下げられるようになることは間違いありません。
同社は、補助金という分野に特化して、データやテクノロジーを活用したバックオフィスのDXを推進させています。こうした取り組みを通じて、あらゆる中小企業が補助金を活用できる状況を生み出し、公平な成長機会を持てる世界を目指しています。
海外決済取引をDXする|株式会社RemitAid
2022年8月8日に設立した、株式会社RemitAid(レミットエイド)は、最適化された手数料と債権管理・消込業務の省力化を通じて、世界に挑む日本企業を支援している企業です。
海外取引の効率化とリスク軽減
グローバル化と並行して日本国内の労働人口減少が進む中において、持続的な成長をしていくためには、海外企業との取引が重要です。
海外の顧客にサービスや商品を届けやすくなるだけでなく、国内企業との連携だけでは得られない様々なメリットがある場合も少なくありません。
しかし、海外との取引にはリスクが伴います。例えば、以下のリスクが存在することを認識しなければいけません。
- 商品の到着までのコストや時間、輸送中の破損や紛失のリスクの増加
- 文化や習慣・言語が異なることによる予期せぬトラブルの発生
- 法制度や訴訟制度が異なることにより、契約条件の調整にかかる工数の増加やトラブルの発生
- 企業の信用情報や実態を知るのが難しいため、債権の未回収が発生しやすくなる
これら多くのリスクがある中で、特に重要なものの1つがバックオフィス業務に関わる「決済」です。国内であれば簡単に行える取引であっても、外国の企業と行う場合には煩雑な手続きが必要になることは少なくありません。
こうした工数がハードルになり、海外企業との取引に積極的になれないという企業は少なくないでしょう。
こうした海外決済に関わるリスクやキャッシュフローの問題を解決してくれるのが、株式会社RemitAidのサービスです。
同社は、従来のL/C取引(貿易取引の決済に使われる信用状)などの方法に代わる、より簡単で安全な決済手段のサービスを提供しています。
また、決済だけでなく日本企業が海外企業と取引する際のプロセス効率化とリスク軽減のためのサービスを提供しています。
DXによって効率的でスムーズな取引を促進することで、日本企業のグローバル市場での競争力を高める支援をしているのです。
「RemitAid」による決済の可視化とデジタル化を実現
同社が展開しているグローバルマルチ決済プラットフォーム「RemitAid」は、決済情報の可視化とデジタル化を実現し、インボイス情報と連携することで取引の透明性を高めるサービスです。
このプラットフォームを活用することにより、海外に支社や現地の口座がなくても、現地仮想口座を用いた銀行振込みによる取引が実現できます。
また、クレジットカードをはじめとする多様なデジタル決済手段の導入が可能な点も魅力です。複雑な精算や契約の手間を省き、海外企業との取引が簡単かつ迅速になります。
加えて、「RemitAid」は支払い期限や入金状況をオンライン上で一目で確認できる仕組みになっているため、確認にかかる業務コストや海外企業とのコミュニケーションの負担を大幅に軽減できるでしょう。
さらには、海外展示会や見本市での決済場面でも「RemitAid」から発行されるQRコードを用いることで、現地での決済が簡単になります。
煩わしい手続きや現金持ち運びの必要がなくなり、コストやリスクの削減が見込めるため、売上アップはもちろん、海外企業との新たな取り組みなどビジネスチャンスが広がります。
株式会社RemitAidは安心で簡単な決済手段を通じて、決済などバックオフィスのDXから企業の海外展開をサポートし、グローバルビジネスの新たな地平を開くことに貢献しているのです。
まとめ~バックオフィスのDXには革新的なソリューションを活用しよう!
バックオフィスのDXを推進する、3社のソリューションについて解説しました。
- HRのDX|株式会社Coachers
- 補助金対応のDX|株式会社Stayway
- 海外決済取引のDX|株式会社RemitAid
各社のソリューションは、それぞれ独自の領域で革新的な手法を用いて、中小企業の成長と競争力の強化を支援しています。
バックオフィスのDXは単なる業務効率化を超えて、企業のビジネスモデルや成長戦略に深く関わる重要な取り組みです。
新しいテクノロジーや創造的なアプローチによる変革の力を積極的に取り入れることで、企業はさらなる成長を遂げられるでしょう。
本記事で紹介した企業事例からも、バックオフィスのDXには革新的なアイデアやソリューションが不可欠であることはお分かりかと思います。
企業が持続可能な成長を目指すためにも、企業の屋台骨を支えるバックオフィスのDX推進も欠かせないものです。
ぜひリスクを恐れず、変革にチャレンジする若き企業の事例を参考に、持続可能に成長する企業を目指してみてください。
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