「むくみ」が起こるメカニズム
「むくみ」とは、老廃物や不要な水分が回収されずに、細胞間に溜まった状態のことを言います。それでは、どのようにして「むくみ」が起こるのでしょうか。
むくみの“引き金”になるものとして、「血液とリンパ液の流れの不良」が挙げられます。
血液はカラダの各組織に酸素や栄養素を送り届けると同時に、リンパ液とともに各組織から排出された老廃物と不要な水分を回収するという役割を果たしています。
そのため血液やリンパ液の流れが悪くなってしまうと、老廃物と不要な水分を回収することができず、細胞間に溜まったままになってしまうのです。
脚がむくみやすい2つの理由
全身の中でも、太ももやふくらはぎなどといった「脚」は特にむくみやすい部位と言えます。
その理由として、
- 重力
- 座りっぱなしの生活習慣
の2つが挙げられます。
1:重力
重力によって脚に血液とリンパ液が滞留しやすくなるので、むくみが起こりやすくなると考えられます。
2:座りっぱなしの生活習慣
イスに座ると、股関節と膝関節が曲がった状態になります。
股関節前面と膝関節後面には、脚のリンパ液が流れ込む「リンパ節」というものが存在します。「リンパ節」には、リンパ液をろ過して老廃物を取り除くフィルターのような役割があります。
そのため長時間座りっぱなしになると、リンパ節が圧迫された状態となるため老廃物が回収されにくくなり、その結果「脚のむくみ」へとつながると言えます。
「脚のむくみ」解消に効く5つのストレッチ
それでは、「脚のむくみ」解消にはどのようなストレッチを行えばよいのかについてお伝えしていきましょう。
「脚のむくみ」の解消には、「股関節まわりの筋肉へのストレッチ」が有効と言えます。なぜなら、股関節まわりの筋肉の緊張が強くなると血液やリンパ液の流れが妨げられてしまい、脚に老廃物や水分が溜まりやすくなると考えられるからです。
ここで言う「股関節まわりの筋肉」とは、具体的には「腸腰筋」「大殿筋」「ハムストリングス」「内転筋群」、そして「大腿筋膜張筋」の5つの筋肉です。
これらの5つの筋肉をストレッチして柔軟性を高めることで、血液とリンパ液の流れが改善されて、脚のむくみの解消につながると言えます。
ストレッチを効果的に行うために頭に入れておきたい3つのポイント
では、ストレッチをご紹介しましょう!と言いたいところですが、その前にストレッチを効果的に行うために頭に入れておきたいポイントが3つあります。
- 心地よく筋肉が伸ばされていることが感じられるところで30秒間伸ばし続けるようにすること
- なるべくカラダが温まった後に行うようにすること
- 呼吸は止めずに、できるだけ深い呼吸を心がけるようにすること
この3つを心がけるだけで、柔軟性を高めることができるようになります!
(1)腸腰筋へのストレッチ
- 脚を前後に大きく開き、前脚の膝を立てて後ろ脚は伸ばします。
- 立てた前脚の膝の上に両手を乗せて重心を真下に下ろし、骨盤を後傾させると後ろ脚の太もも付け根前面にある「腸腰筋」がストレッチされます。
ポイント及び注意すべき点
骨盤を後傾させるコツは、目線をお腹に向けることです。そうすると背中が丸まりやすくなるので、骨盤が後傾するようになります。
ストレッチ中は、骨盤を正面に向けるようにします。
(2)大殿筋へのストレッチ
- 仰向けの体勢から脚で「4の字」を作り、下になっている脚の膝を立てます。
- 両手を膝裏に回して脚を胸に引きつけるようにすると、お尻の筋肉である「大殿筋」がストレッチされます。
もし余裕がある場合は、上の写真のように膝裏に回していた両手を膝下に回してみましょう。より大殿筋へのストレッチ感が得られるようになります。
ポイント及び注意すべき点
大殿筋へのストレッチ感をアップさせるには、足首をわきの下に入れるイメージでストレッチを行うようにします。
ストレッチをする際は、頭を持ち上げないようにしましょう。
(3)ハムストリングスへのストレッチ
- 両膝を立てて仰向けになります。
- 片脚を上げて両手でふくらはぎを捉え、股関節を曲げてから膝を伸ばしていきます。
そうすることで、太もも裏側の筋肉である「ハムストリングス」がストレッチされます。
もし余裕があれば、上の写真のように立てていた反対側の膝を床方向に伸ばしてみましょう。
ふくらはぎに手が届かない場合は、両手を太もも裏に回してストレッチを行ってみましょう。
ポイント及び注意すべき点
ハムストリングスを効果的にストレッチするには、初めから膝を完全に伸ばすのではなく、股関節をある程度曲げたところから少しずつ膝を伸ばしていくようにします。
(4)内転筋群へのストレッチ
- 両脚を前に出して座り、両脚をムリのないところまで開いていきます。
- 両手を前について背すじをまっすぐに伸ばし、つま先を天井に向けるようにすると、内ももの筋肉である「股関節内転筋群」がストレッチされるようになります。
ストレッチ強度を上げたい場合は、背すじをまっすぐに伸ばしたまま上体を前に倒すようにします。
ポイント及び注意すべき点
股関節内転筋群をストレッチするには、背すじをまっすぐに伸ばすようにしましょう。
背中が丸まってしまうと、ストレッチされるのは股関節内転筋群ではなく、背中の筋肉になってしまうからです。
(5)大腿筋膜張筋へのストレッチ
- 立位の体勢から、ストレッチする方の脚を後ろにしてクロスさせます。
- 一方の手で骨盤をストレッチする方向に突き出すようにスライドさせると(写真赤矢印参照)、股関節外側にある「大腿筋膜張筋」という筋肉がストレッチされます。
ポイント及び注意すべき点
ストレッチ中は、骨盤が正面を向いているようにしましょう。
「脚のむくみ」を確実に解消させて「すっきりした脚」を手に入れるには…
今回は、「脚のむくみ」解消に効くストレッチを5つご紹介しました。
ストレッチで股関節まわりの筋肉の緊張を緩めることで、血液やリンパ液の流れを改善することができ、むくみの解消につなげることができます。
確実に脚のむくみを解消させて「すっきりした脚」を手に入れたい場合は、合わせて「下半身の大きな筋肉を鍛える筋トレ」を行うことをお勧めします。筋トレで下半身の筋肉の収縮力を高めることで、末梢に溜まった血液やリンパ液を中枢に向かって押し出す作用である「筋ポンプ作用」を高めることができるからです。
では、具体的にどのような筋トレを、どのように行えばよいかは次回お伝えしたいと思いますので、楽しみにしていてくださいね!