皮膚の役割から見るスキンケア
スキンケアは毎日の習慣ですが、みなさんは、皮膚の役割をきちんと理解していますか?なんとなくスキンケアをして、化粧品で肌にうるおいや美容成分を与えていれば美しい肌になれる…というわけではありませんよね。
人間の皮膚は、頭のてっぺんからつま先までひとつなぎで、だいたい畳1枚分程度の面積です。人体最大の器官であり、大きく6つの役割を持っています。
- バリア機能:紫外線、外気の乾燥、刺激物質、微生物や細菌などから体を守る。さらに、体内の水分が失われるのを防ぐ
- 皮脂の分泌:皮膚の乾燥を防いだり、細菌増殖をおさえる
- 体温調節:暑いときは汗を分泌し、汗が蒸発するときに体温の熱を冷ます。寒いときは立毛筋を収縮させて、体温が失われるのを防ぐ
- 脂肪を貯蓄:皮下に蓄えられた脂肪は、外的刺激や衝撃から体内を守る。また、体を保温する役割もある
- 排泄:老廃物を汗と一緒に体外へ出す
- 感覚センサー:触覚、温覚、冷覚、痛覚など感覚をキャッチする
次に、スキンケアという点から、皮膚の働きをチェックしていきましょう。皮膚は表皮・真皮・皮下組織の3層構造です。それぞれ、詳しく見ていきましょう。
表皮
目で見て、手で触れられる皮膚の表面のことで、厚さは0.03~0.05mm程度です。上から順に角層・顆粒層・有棘層(ゆうきょくそう)・基底層の4層からなっています。
基底層で生まれた新しい細胞が、少しずつ姿を変えながら角層へ移動。角層細胞になり、最後は古い角質(垢)として肌の外に排出されます。このプロセスが、スキンケアでおなじみのターンオーバーです。
角層内では細胞が規則正しく並び、その隙間を細胞間脂質が埋めています。この構造が肌内部の水分蒸散を防ぎ、同時に、紫外線や外気の乾燥、ちりやほこり、雑菌などの刺激から肌を守るバリア機能として働きます。
角層のうるおいが守られると、ターンオーバーが整い、バリア機能が高まります。すると、きめ細かでふっくら、ツヤと弾力がある肌に。だからこそ、毎日のスキンケアで保湿ケアが大切になるのです。
真皮
表皮の下にある真皮は、肌のハリと弾力を保つのにかかせません。エラスチンによって結合しているコラーゲン線維が網目状に張り巡らされ、その隙間をヒアルロン酸などのゼリー物質が埋めています。
なお、化粧品が浸透するのは角層までです。したがって、化粧品で真皮の成分を補うことはできません。しかし、近年、真皮にアプローチしてシワを改善する薬用美容液(医薬部外品)が登場しました。ただし、高価なうえ、シワ改善には長い期間が必要です。
皮下組織
脂肪細胞で成り立つ皮下組織は、表皮と真皮を支えています。また、外部からの衝撃から内部を守るクッションの役割があります。
ホリスティックビューティーとは
皮膚の役割が理解できると、毎日のスキンケアがいかに大切かわかりますよね。スキンケアを続ければ、年齢に応じた肌の美しさをキープするのも難しくありません。ですが、少し考えたいのが「すこやかさとはなにか」「本当の美しさとはなにか」ということ。
美容雑誌やメディアでスキンケアやダイエット方法をチェックするのもよいですが、たまにはすこやかさや美しさについて考えてみませんか?
すこやかさとは
日本WHO協会によると「健康とは、病気でないとか、弱っていないということではなく、肉体的にも、精神的にも、そして社会的にも、すべてが満たされた状態」と定義されています。つまり、「病気が何もなければすこやか」ということではありません。
美しさとは
芸能人や美容インフルエンサーなど、肌がきれい・顔のパーツが整っている・スタイル抜群な人に憧れる方も多いはず。SNSで発信されるキラキラした表情はとても魅力的ですよね。
ですが、内面はどうでしょう。自分の心を整えて、人にやさしく自愛に満ちているかもしれませんし、もしかしたら、他人のあら捜しをして、自分のほうが美しいと満足している人かもしれません。
後者の場合、内面からあふれる美しさはありませんよね。本当の美しさとは、外側と内側が整った状態なのではないでしょうか。
目指すべきはホリスティックビューティー
見た目と内面を美しく整え、すこやかな毎日を過ごしたい…そんなときに役立つのが「ホリスティックビューティー」の考え方です。「外見の美しさ」×「肉体のすこやかさ」×「心のすこやかさ、美しさ」がすべてそろって、はじめて「きれいになれる」というもの。
本当の美しさを叶えたいと願うなら、外見・肉体・心の3つと向き合うケアをしていきましょう。
美しくすこやかな肌は自分自身との対話から
スキンケアというと、化粧品を肌表面に塗るだけと考える方も多いはず。ですが、ホリスティックな観点から考えるなら、スキンケアを通して自分自身と対話するのが大切です。
自分の体や心を一番よくわかっているのは、あなた自身。だからこそ、スキンケアで肌に触れるときに、状態はどうか(弾力がない、ごわつく、痛みがあるなど)、心はどうか(肌荒れがつらい、ストレスが溜まってスキンケアが面倒など)を感じるようにしていきましょう。
特に肌あれや体の痛みがあるときは、心もどんよりしがち。スキンケアを通して、肌や体の状態を整えて、心も上向きにしたいですね。
こんなときは
自分自身と向き合うケアのヒントを紹介します。
疲労や肩こりがある
ボディケアを通して、体のかたさやコリ具合をチェック。心地よいと感じられる強さでセルフマッサージを。湯船に10分間・肩まで浸かるのもよいでしょう。
入浴後はヒーリングミュージックで心をリラックスさせながら、ストレッチするのもおすすめです。
寝不足、ストレス
目元のくま、肌荒れ、弾力低下、くすみなど、寝不足やストレスによる体と心の疲れは肌にダイレクトに反映されているはず。仕事も家事もすべて忘れて、はやめに布団に入る、ヒーリングミュージックや芳香浴を楽しむ、のんびり半身浴をするなどして、心身を整えましょう。
食事が不規則
すこやかな体や肌をつくるためにも、食事からの栄養摂取が欠かせません。毎食、栄養バランスを考えるのは大変なので、和定食風のメニューを意識すると良いでしょう。不足しがちな栄養素はサプリメントに頼るのも手です。
食べるときは、スマホをいじったりTVをみたりせず、食事に集中しましょう。「おいしい」と心で感じるのが大切です。
体の冷え
スキンケアやボディケアで肌に触れたとき、ひんやりするなら、体全体が冷えている証拠。体の冷えは、美容や健康、ダイエットになんのメリットもありません。シャワーではなく湯船に浸かる、適度な運動、セルフマッサージで体のめぐりを促しましょう。
「今年こそ体のひんやりにさよなら!4つの「温活」で体をポカポカモードにシフト」では、毎日続けたい温活を紹介しています。参考にしてくださいね。
自分自身と向き合うのが大切
本当の美しさやすこやかさを叶えるには、表面的な美しさだけにとらわれず、自分の体や心と向き合うのが大切です。ぜひ、ホリスティックなケアで、みなが憧れる「キレイな人」を目指しましょう。