「ポッコリお腹」をもたらすメカニズム
美腹を作る前に、「ポッコリお腹」をもたらすメカニズムについて触れておきましょう。ポッコリお腹が起こる要因として、2つ挙げることができます。一つは骨盤の開きによるもので、もう一つは脂肪によるものです。
座りっぱなしの生活習慣で猫背の姿勢をとり続けていると、肺や心臓を取り囲んでいる「胸郭」という肋骨と胸骨、胸椎から成る組織が下がります。すると内臓も下がり、骨盤が開きっぱなしの状態となって、下っ腹がポコっと出た状態になります。
また、猫背の姿勢は腹筋の力が抜けやすい状態となるので、腹筋力低下を招きます。背中を丸めた姿勢と、背中をまっすぐにした姿勢で、お腹を凹ませてみるとわかりやすいかと思います。腹筋の筋力が低下すると、更に脂肪が蓄積しやすくなります。そのためお腹周りに脂肪が付いてしまうものと考えられます。
これがポッコリお腹をもたらすメカニズムです。
美腹を作る「3つのステップ」とは…
それでは美腹を作る3つのステップをご紹介していきましょう!
その「3つのステップ」とは、
ステップ1
測定と姿勢チェックを行い、現状を把握する。
ステップ2
エクササイズ効果を高めるためにストレッチを行う。
ステップ3
お腹痩せに有効なエクササイズを行う。
というものです。一つずつ詳しくお伝えしていきましょう。
ステップ1:測定と姿勢チェックを行い、現状を把握する
ここで行うことは、「腹囲の測定」と「姿勢チェック」の2つです。この2つを行うことで、現状を把握していきます。
1. 腹囲の測定
一番最初に行っておきたいことは、腹囲の測定です。お腹痩せを実現させるには、いま腹囲が何cmなのかを把握し、それをいつまでに何cmにしたいのかを明確にしておくことが重要です。
ゴールが不明確でぼやけていると、どこへ向かって進めばよいのかがわからず、モチベーションも上がりにくくなるからです。
腹囲は、メジャーでおへそ周りを計測します。良い数値を出そうとお腹を凹ませたりはせず、自然体で測るようにしましょう。
腹囲を測定したら、できるだけ具体的にいつまでに、腹囲を何cm縮めたいかゴール設定を行いましょう。ゴール設定の際のポイントは、ちょっと頑張れば到達できそうなものにすることです。
2. 姿勢チェック
もう一つは姿勢チェックを行います。先ほど「『ポッコリお腹』をもたらすメカニズム」でお伝えしたように、お腹痩せしにくくポッコリお腹になってしまうには、それを引き起こす原因が姿勢に潜んでいると言っても過言ではないからです。
「でも、専門家でもないのに姿勢チェックができるか不安…」と思っている方、ご安心ください!ここでは壁を使って誰でも簡単にできるチェック法をご紹介します。
《壁を使った姿勢チェック》
上の写真のように、壁にかかと、お尻、肩(肩甲骨)、そして頭を付けて立ちます。
「頭が壁に付けにくかった」という方、猫背になっているためお腹痩せしにくくなっていると考えられます。
次に、片手を腰と壁の隙間に入れてみます。左側の写真のように指の第一・ニ関節を曲げた、いわゆる「猫の手」が入る場合は正常ですが、右側の写真のように握りこぶしがスッポリ入ってしまうという場合は、骨盤の前傾が強くなっていて、お腹痩せしにくい状態になっていると言えます。
ステップ2:エクササイズ効果を高めるためにストレッチを行う
「では早速エクササイズを…」と言いたいところですが、このタイミングでエクササイズを行っても効果があまり期待できません。
その理由は、筋肉の緊張が強い状態でエクササイズを行っても、動きが制限されているため、ターゲットとする筋肉への効果が不十分なものとなってしまうからです。そのためエクササイズを行う前に、ストレッチで動きの制限をクリアにしていきます。
1. 猫背リセットストレッチ
- 左右の肩甲骨の間の胸椎と呼ばれる部分に、テニスボールを当てて仰向けになります。両膝は立てておきます。
- 両方の手のひらを天井に向けて、息をゆっくり大きく吸いながら頭上に向かって開いていき(写真上)、息をゆっくり大きく吐きながら、両腕を閉じるように下ろしていきます(写真下)。
これで1回とし、3回行います。
2. 腸腰筋への静的ストレッチ
腸腰筋には「股関節を曲げる」という働きの他に、「骨盤を前傾させる」というそれもあります。そのため「骨盤が強く前傾している」ということは、腸腰筋の緊張が強くなっていることが考えられます。
そこで腸腰筋への静的ストレッチを行っていきます。
- 両脚を前後に大きく開き、前脚の膝を立てて後ろ脚は後方に伸ばします。
- 両手を前脚の膝の上に乗せて、骨盤を後傾させることで後ろ脚の太もも付け根前面にある腸腰筋がストレッチされます。
左右それぞれ、心地よく筋肉が伸ばされていることが感じられる強度で、20~30秒間伸ばし続けます。
目線をお腹に向けて腰を丸めるようにすると、骨盤が後傾しやすくなります。また、骨盤を正面に向けるようにしましょう。
3. 骨盤後傾動作を高める動的ストレッチ
「腸腰筋への静的ストレッチ」で骨盤の強い前傾を弱めることができますが、それだけではまだ骨盤後傾方向への動きが制限されたままとなっています。
腹筋群を使えるようにするには、骨盤の後傾方向への動きを高める必要があります。そのため「骨盤後傾動作を高める動的ストレッチ」も合わせて行うようにします。
四つん這いになって腰を軽く反らせてから(写真上)、腰を丸める動作(写真下)を10回繰り返します。
動作はゆっくりと、少しずつ腰を丸める動きを大きくしていくようにすることが可動域を広げるコツです。
ステップ3:お腹痩せに有効なエクササイズを行う
ストレッチで動きの制限をクリアにして、ターゲットとする筋肉に効かせやすい状態を作ったら、お腹痩せに有効なエクササイズを行っていきます。
1. 猫背解消に効く「肩甲骨内転筋群へのエクササイズ」
- うつ伏せの体勢になって両腕を肩のライン上に伸ばし、親指側を天井に向けるようにします。
- 胸を床から離した体勢のまま、息を吸いながら肩甲骨を内側に寄せることで両腕を上に上げて1~3秒間静止し(写真上)、息を吐きながら両腕を床スレスレまで下ろす動作(写真下)を繰り返すことで、肩甲骨内転筋群に効かせることができます。
15~20回を、1分程度の休憩を入れながら3セット行います。
肩甲骨内転筋群を強化することで猫背解消効果が期待でき、お腹痩せ効果につなげることができます!
2. お腹痩せに必要な3つの筋肉に効かせることができる「スタンディング・ドローイン」
- 左右のかかとをつけて、つま先を外側に向けて立ちます。一方の手をおへそに当てがいます。
- 内ももをしっかり閉じて、肩甲骨を内側に寄せて胸を張り、おへそに当てた手から遠ざけるようにお腹を凹ましていき、その体勢を20~30秒キープします。
20~30秒を、1分程度の休憩を入れながら3セット行ってみましょう。
お腹を凹ますことに意識を向けるのも重要ですが、内ももをしっかり閉じることにも意識を向けるようにします。呼吸が止まらないように注意しましょう。
このエクササイズ1つで、腹横筋、股関節内転筋群、肩甲骨内転筋群というお腹痩せに必要な3つの筋肉を強化することができます!
“美腹”への道は1日にして成らず!?
今回は、お腹を引き締めて周りの人から羨ましがられるような美腹を作るための方法をご紹介しました。このステップ通りに行えば、「なりたいお腹」にすることができます!
但し、ストレッチとエクササイズは、毎日行っておきたいところです。続けることで確実に効果が現れるからです。
中には楽してお腹痩せできる方法なども多々ありますが、そういったものは元の状態に戻るのも早いと言えます。逆に続けることで得たカラダは、そう簡単には元に戻りません!「ローマの道は1日にして成らず」という言葉がありますが、これはボディメイクにも当てはまることなのです!
毎日続けて、お腹周りの変化を楽しみながら、美腹をGETしてくださいね!