VRの普及が進んできて、VRが商品のプロモーションに使われるというケースも増えてきた。
自社の商品プロモーションにもVRを活用してみたい…と考えている担当者も少なくないのではないだろうか。
そこでこの記事では、商品ごとにどんなVRプロモーションが向いているか、ご紹介したい。
VRコンテンツといっても多種多様!どんな商品にどんなVRプロモーションが最適なのか?
VRコンテンツといっても、パノラマ画像や動画やゲームなど様々なものがあるし、プロモーション手法も加えると、さらにバターンが広がってしまう…。
他社のVRコンテンツのプロモーション事例を見ても、自社の商品に使えるかどうか、わからない…。
このためこの記事では、これまでのVRプロモーション事例をふまえた上で、プロモーションしたい商品特性やプロモーションの目的毎に逆引き形式でまとめることにした。
とにかく商品に話題性を持たせたい!VRを使って話題性を持たせるプロモーション
普及が進んでいるとはいえ、まだまだVRは一般に「新しいもの」として認識されている。
そのため、単純に「商品をVR化した」「商品と同じデザインのVRゴーグルを作った」…というだけでも、今ならまだ話題性を狙える。
代表的な事例は、「きのこの山」と「たけのこの里」で、オリジナルVRゴーグルがプレゼントされるというキャンペーンを実施した。
VRゴーグルのデザインが、「きのこの山」や「たけのこの里」のパッケージデザインになっているというもの。
VRゴーグルだけでなく、オリジナルのVRコンテンツも用意されると発表されたものの、募集が開始された段階でもVRコンテンツの内容は「ただいまコンテンツ考え中…」となっている。
つまりこの事例は、確実に、VRがまだ話題を持っている内に、スピーディーにキャンペーン化したものといえる。
「きのこの山」と「たけのこの里」のように、VRとかけ離れた商品であれば、SNSで「それVRと関係ないじゃん!」というツッコミからバズが生まれることも狙えるので、プロモーションを狙う商品が「パッケージデザインに特徴があり、VRゴーグルのデザインに転用できそう」「VRジャンルとかけ離れた商品で、バズを狙えそう」といった要素を持っているようなら、狙ってみるのも悪くないだろう。
なお、オリジナルデザインのVRゴーグル作成については、株式会社ハコスコがサービスとして提供している。
不動産やホテル・レストラン・旅行など、建物・環境への来訪を促進したい!事前体験型VRプロモーション
提供するものが商品ではなく、環境や建物、あるいは人が提供するサービスそのものといった場合、オリジナルVRゴーグルのようなノベルティでの話題作りは行いづらい。
こうしたビジネスでは、その土地や店舗への来訪意欲を促進するために、VRを使って事前体験をしてもらうことがプロモーションとして考えられる。
たとえば不動産では、VRを使って物件を内覧可能にすることで内覧にかかる手間を減らしたり、ウェブ上から内覧可能にしたり…といった施策を行っている。
また、ブライダル業界においても、ワタベウェディングが「リゾ婚Cafe」というイベントを実施。
リゾートウェディングをVRで体験できるというもので、イベントを通じてリゾートウェディングへの興味喚起を行っている。
観光地においても、観光名所や地域のイベントなどをVRで配信し、興味を持ってくれる人を増やそうと試みている事例は多い。
たとえば「Panon Library」では北海道の観光名所やイベントの360°映像を配信。
「VRで事前に体験できてしまったら、わざわざ行く必要がなくなって『行かなくてもいいや!』と思われないか…」と心配になるかもしれない。
確かにVRですべてが体感できてしまったら、わざわざ行く必要はない。
このため、イベントの現場だからこそ感じられる一体感や熱気、その現地でないと味わえない雰囲気や料理…といった、現地ならではの魅力は必要となるだろう。
一方で、現地ならではの魅力を持ったサービスであれば、VRによる事前体験は強力な武器になるはずだ。
商品の購入意欲を増幅させたい!ストーリーを体験させるVRプロモーション
商品の購入意欲を高めるためには、ストーリーが重要といわれている。
代表的な事例としては、2017年3月に上場した、糸井重里氏が代表を務める「ほぼ日」だ。
「ほぼ日」の収益は、「ほぼ日手帳」をはじめとする商品の物販。
ただ商品を売るのではなく、「今、どんな気持ちで、何が欲しいのか?」という地点から、商品ができるまでをストーリーとして「ほぼ日刊イトイ新聞」というメディア上で見せていく。
このことによって、消費者はストーリーに感情移入し、商品を「自分ごと」のように感じてファンとなり、購入する。
こうした「ストーリーによる購入意欲の醸成」は、今ではコンテンツマーケティングの基本とされているが、より「自分ごと」として感じられるVRであれば、さらに高い効果が狙えるはずだ。
そんな狙いが見える事例が、株式会社ハコスコが提供する「VR for EC」。
今後リリースが予定されている形式として、日本のファッションブランド「Room no.8」を愛用する人達を紹介する記事と連動。
VRでブランドの世界観を描きつつ、その場で商品購入できるという機能へと促す仕組みになっている。
ブランドの世界や、商品開発者のストーリーにVRで感情移入してもらうという手法は、これから増えていきそうだ。
リピーターを増やしたい!消費者との接点を増加させるVRプロモーション
ビジネスにおいては、新規顧客を獲得するよりリピーターを獲得する方が圧倒的に低コストだ。
しかし、新商品の販売サイクルが高速化している今、リピーターになってもらうことも、なかなか難しくなってきている。
そんな中活用できるのが、VRコンテンツをメモリアル的な位置づけで用いること。
代表的な事例は、国立科学博物館の「おウチで科博」だ。
ハコスコのサービスを利用して、オリジナルのVRゴーグル販売と国立科学博物のバーチャルツアーが楽しめるオリジナルVRコンテンツ提供を行っている。
「架空世界を現実のように再現できる」というVRの特徴は、「想い出を鮮やかなまま残しておきたい」という人間の欲求と親和性が高い。
そして、想い出をVRゴーグルやVRコンテンツという形で残してもらえれば、消費者との継続的な接点確保に繋がり、結果としてリピーター増が狙えるはずだ。
商品やサービス自体がリピート購入できるもので、かつ「想い出として残したい」とポジティブに思えるものに限定されるが、条件に当てはまるのであれば効果が期待できる。
何が目的かを考えて有効なVRプロモーションを心がけたい
2017年度前半にVRプロモーションを行うのであれば、「VR」というだけで話題性を狙うことが、“まだ”通用しそう。
しかし、どんなものでも時間が経ったリ普及が進めば新奇性が薄れ、話題性もなくなる。
そうなった場合、明確な目的をもって設計されていないと効果は望めない。
VRをプロモーションに用いる場合も、今この時点から考えるのであれば、何が目的で、どのように目的までの導線を設計するのか、しっかり考えて臨んだ方がよさそうだ。
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