米国メリーランド州のジョンズ・ホプキンス大学はVR/ARに関する専門学部を新たに新設した。同学部ではおもにVRを用いたストーリーやアート表現などを中心に研究を行うほか、医療研究機関などとの協働によって幅広い分野でのVR/AR開発を行うとのことだ。
概要
VR/ARに特化したカリキュラムを新設
ジョンズ・ホプキンス大学が新設したのはImmersive Storytelling &Emerging Technologies(ISET)という学部だ。
同学部でのカリキュラムや授業内容は、VR/ARフィルムメイカーのGabo Arora氏によって企画、開発が行われ、先端技術を用いたストーリーテリングをテーマにした教育が行われる。
扱うのはVR/ARといったバーチャル技術からAIまでと幅広く、VR/ARが持つポテンシャルをより学術的に掘り下げていく予定だ。
豊富な教育環境を提供
ISETでの授業では様々なデバイスや機材を使用する予定で、一般の消費者では購入ができないような高価な機器も揃えるという。
授業はVR/ARの専門家たちによって行われ、最新設備を取り揃えた教育環境でプロフェッショナルたちによるハイクオリティな教育を受けることが可能だ。
また、学費面でも考慮がされており、同学部への入学費用は、同様なプログラムを行なっているニューヨーク大学や、南カリフォルニア大学の学費に比べて約1/3とのことだ。
VR/ARが持つポテンシャル
ISETではVR/ARを用いたストーリーテリングを中心に、それ以外にVR/ARが持つ様々な可能性を追求する。ISET立ち上げの主導者であるArora氏は以下のように語っている。
また、映画監督であり、同大学のSaul Zaentz Innovation Fund in Film &Mediaのディレクターを務めるRoberto Busó-García氏は以下のように述べている。
他の学部とも協働
同学部がテーマにするのはストーリーテリングやメディアアートのみならず、他の様々な分野とも協働する方針だ。
たとえば同大学のSchool of Medicineや、メリーランド州の研究機関であるLieber Institute for Brain Developmentと協働して、自閉症や精神疾患の診断ツールを開発する予定だ。
この他にも様々なプロジェクトが計画されており、今後の発展に注目できる。
一般参加が可能なイベントを開催
同大学は10月7日に一般参加が可能なイベントを開催しており、ハンズオンの体験を通して同学部がこれから行う予定の様々なプロジェクトを垣間見ることができるものだ。
イベントではハンズオンの体験を通して、ISETで行われるプログラムやプロジェクトについて具体的な情報を得られるほか、業界の第一人者を招いた複数のカンファレンスに出席することもできる。
出席者はOculus Story Studioのクリエイティブプロデューサー、教育担当を勤めたYelena Rachitsky、またVR開発企業Variable LabsのCEO兼国連でNew Mediaスペシャリストを務めるBarry Pousman、そしてVRフィルムメイカーJessica Brillhartをはじめ、様々なスピーカーが登場する。
国内で行われているVR/AR専門教育の事例
「VRプロフェッショナルアカデミー」
株式会社VRデザイン研究所は、学校法人桜丘学園と共同で、日本初のVR専門教育機関「VRプロフェッショナルアカデミー」を2017年4月1日に開校している。
本機関は職業訓練を行うスクールで、VR/AR/MRを扱う。ソフトウェア開発の研究を通して、日本におけるVR関連の様々な分野への普及と、世界に通じるグローバルなクリエイティブ人材の育成に寄与するとのこと。
昨年から1ヶ月間第一次募集を行い約350名の応募があり、20代の若いエンジニアを中心に、大学生から40代の元VR研究者に到るまで、幅広い優秀な人材が集まったと発表している。
参考:キーワードは没入しろ、日本初!VR専門の学校「VRプロフェッショナルアカデミー」2017開校
「ARプロフェッショナルアカデミー」
また、株式会社VRデザイン研究所はAR専門の教育機関「ARプロフェッショナルアカデミー」も立ち上げている。
AR技術を活用した様々なサービスやアプリ開発の需要が伸びることを予測して、エンジニア育成のためのエコシステムを構築すべく、新しい教育機関を目指すとのことだ。
「ARプロフェッショナルアカデミー」は2018年4月の開校を予定している。
参考:日本初のAR専門の学校「ARプロフェッショナルアカデミー」が2018年4月開校へ
高校生によるVR開発体験
株式会社ダズルは、長野県上田市のコードアカデミー高等学校と産学連携の一環として、同高校にてイベントを開催することを発表した。在校生を対象にVR開発を体験するというイベントだ。
実際にVR開発に触れることによって、VR開発に興味を持ってもらい、VR市場の未来を担う存在になることを考え、今回の産学連携イベントの開催を決定したとこのと。
コードアカデミー高等学校ではプログラミング教育を必修とし、全在校生が日頃からプログラミングに触れているとのことだ。
参考:高校生がVR開発体験!「コードアカデミー高等学校」とダズルが産学連携イベントを開催
参照元:VRScout John Hopkins Adds VR &AR To University Curriculum
Copyright ©2017 VR Inside All Rights Reserved.