海外メディアWccftechは、Nintendo SwitchのOSソースコードを解析したところ、VRモードが存在していたことを報じた。
VR対応の余地を残すソースコードを発見
同メディアよると、セキュリティコンサルタントのCody Brocious氏は、Nintedo SwitchのOSソースコード解析を行った結果、VR対応モードの存在が確認できたことをツイートした。
Just found this while looking at IPC interfaces on the Switch. Iiiiinteresting! #reswitchedpic.twitter.com/J3QoKrJWKN
—Cody Brocious (@daeken) 2017年8月27日
現在のNintendo Switchは「非VR対応モード」?
同氏が指摘するVR対応モードと解釈できるソースコードとは、「IsVrModeEnabled」と「SetVrModeEnabled」の箇所だ。「IsVrModeEnabled」ではbool値(trueかfalseの値をとる)を取得することでVR対応モードか否かを判断し、その結果を「SetVrModeEnabled」に渡してVR対応モードを実行する、ということを意味しているのだろうか。
この発見に関して、同氏は以下のようにコメントしている。
このソースコードが実際に実行されているかどうかは断言することができません。
しかしながら、90%の確信をもって、このソースコードからNintendo Switchには少なくとも部分的にはVR対応モードがある、ということが言えます。
同氏が言うように、VR対応モードと解釈できるソースコードがあるからといって、そのソースコードが現実に実行されているとは限らない。現実には全く実行されず、内部的には無視されているかも知れないのだ。
しかし、仮に現実に実行されているとしたら、「IsVrModeEnabled」の値はfalseとなっているだろう。逆から言えば、このbool値をtrueに書き換えるだけでVR対応モードが実行される余地がある。
Android OSのソースコードが残存している可能性
同氏は、以上のようなソースコードがある理由として、Android OSのソースコードが残存している可能性も否定できないと述べている。
Nintendo Switchがまだコードネーム「Nintendo NX」と呼ばれていた2015年6月1日、日経新聞は同ゲーム機のOSにはAndroid OSを搭載すると報じた。この報道は大きな反響を呼んだのだが、報道直後の2015年6月2日、任天堂はこの報道内容を公式に否定した。
この一連の報道から、現在のNintendo SwitchにはAndroid OSを搭載していないことは断言できる。しかしながら、Android OSを参考にして独自OSを開発・実装した可能性は大いにある。何しろ、Android OSはソースコードを誰でも閲覧できるオープン・ソースなのだから。
今回発見された「VR対応モード」と思しきソースコードは、Android OSを参考にしてOSを開発する過程で混入し残存してしまった、という解釈も成り立つのだ。この解釈に従えば、今回の発見にはあまり意味がないことになる。
任天堂のVRに対する態度
現在のNintendo Switchには、VRモードは存在しない。そうではあるが、任天堂の要人たちはVRに対して一定の距離を置きながら感心を示していることを、本メディアでは報じている。
以下の発言を参照すると、今回の発見は将来Nintendo SwitchがVR対応するための布石なのではないか、と見ることもできるのではなかろうか。
任天堂社長の発言
2017年2月、任天堂社長の君島達巳氏は、海外メディアNikkei Asian Reviewに対して、SwitchのVR対応に関して「VRを長時間利用することの問題が解決されれば」と述べた。
「VRを長時間利用することの問題」が具体的に何を指しているかは不明だが、VR体験の子供に与える影響ではないかと思われる。
宮本茂氏の発言
「スーパーマリオ」「ゼルダの伝説」を手がけた任天堂の宮本茂氏は、海外メディアTimeのインタビューのなかで、VRに関して以下のように発言した。
オンラインでVRをマルチプレイすることに関しては、多くの問題がすでに解決済みか、解決されつつあります。実際、オンラインVRマルチプレイに関しては、わたしたちもずっと研究していました。
しかし、私がVRを遊んでいるヒトを見るとき、頭を悩ませることがあります。例えば、もし親が(VRヘッドセットを装着して)VRで遊んでいる子供を見たら、きっと心配するだろうと思うのです。
もうひとつ、すべてのVRコンテンツ開発者が挑戦すべき他の問題もあります。それはVRでプレイするのにちょうどいい長さの体験を制作することです。
同氏の発言から、任天堂はVRに関して無知であるどころか研究を積んでおり、同社のメインユーザーである子供にどのようにVRゲームを提供するべきか模索している、と解釈できる。
青沼英二氏の発言
現在の「ゼルダの伝説」シリーズ総合プロデューサーである青沼英二氏は、海外ゲームメディアGameReactorのインタビューに対して、「ゼルダの伝説」とVRの関係を以下のように述べた。
私が思うに、リンクは戦っている時も探検している時もプレイヤーにその姿が見いていなければならないのです。リンクの活躍が見えることがゼルダのエッセンス、本質なのです。
そういうわけで、ファンの皆さんは想像できるかも知れませんが、私にはゼルダ VRなんて想像できません。ゼルダのVR化は優先事項ではなく、短期的なプロジェクトとしてもありません。
しかし、ゼルダシリーズのVRコンテンツ化は、未来においてはドアを閉ざすつもりはありません。
今回の発見が単なる「ゴミ」なのか、それともNitendo Switchが将来VRに対応する確かな証拠なのかを判定する決め手は存在しない。今回の発見の解釈は、本記事の読者諸氏に委ねたい。
Nintendo SwitchのOSソースコード解析によりVRモードの存在を報じたWccftechの記事
http://wccftech.com/nintendo-switch-code-switch-vr/
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