アパレルショップ店内で選んだ服を着たモデルをAR表示するARKitデモ動画が公開

海外メディアNext Realityは、アパレルショップ店内でモデルをAR表示するARKitデモ動画を紹介した。

リアルな空間で試着したイメージを体験できるARKitデモ

ARKitアプリを使えば、服の試着にも変革が起こりそうだ。そうした服の試着を支援するARKitアプリのデモ動画が公開された。

同デモ動画を公開したのは、すでにVRショッピングアプリを開発しているスタートアップであるObsessVRだ。まずは説明なしに以下の動画を見てもらいたい。

Making the store come alive –our first #ARkit demo! @madewithARKit@ARKitWorld@ARKitweekly#AR#mixedrealitypic.twitter.com/d2jEL7Fz6r

—Obsess (@obsessVR) 2017年8月21日

動画を見れば、もはや説明不要と思われるが、説明すると以下のようになる。

まず同デモアプリをアパレルショップ店内で起動し、スマホカメラで店内を撮影する。そして、ディスプレイに表示された任意の服をタップする。

すると、タップされた服を着用したモデルが店内にAR表示されるのだ。このモデルは静止画像ではなく歩いているので、実際に選んだ服を着て歩いた時のイメージをリアルに思い描くことができるのだ。

似たような機能を実現するアプリをARKitを使わずに開発しようとすると、例えば店内の服のアイテム名を入力したら試着動画を再生する、というものが考えられる。しかし、このアプリでは動画のなかでの試着イメージをもつことができても、現実にユーザーがいるリアルな空間において試着したイメージを思い描くことができない。

同デモアプリには、現実の試着にはないメリットもある。現実の試着では、狭い試着室では動き回ることはできないので、服を着て動いた時のイメージを思い描けない。試着室を出て、店内を歩けば動いた時の感触を体験できるが、動いた時の姿を見るのは難しい。アパレルショップ店内に、動き回っても全身が絶えず映っているような鏡がいつもあるわけではないからだ。こうしたリアルな試着では難しいことを、同デモアプリは実現してしまうのだ。

以上のデモアプリは、アパレルショップでの使用が想定されているが、ほかの業種の店舗でも応用可能であろう。例えば、食料品店ではスマホディスプレイに映った生鮮食品をタップすると、その生鮮食品を使った料理が表示されれば、その食品を買う動機づけになるだろう。ほかの例には、家電量販店でスマホディスプレイに映った家電をタップすると、その家電が実際に使われている動画が表示される、というアプリが考えられるだろう。

商品ディスプレイを進化させるARKitアプリ

本記事で紹介したARKitアプリのほかにも、既存の商品ディスプレイを進化させるようなARKitアプリを本メディアではすでに紹介してきた。

KabaQ

レストランメニューアプリ「KabaQ」は、レストランのテーブルに置かれた皿をiOS端末のカメラを通して見ると、iOS端末の画面にレストランの料理が皿のうえにAR表示されて、実際にメニューを注文してテーブルに運ばれた時のイメージを見せる、というもの。

最近の外食産業では、味や値段ではなくて「見た目」、もっと言えば「インスタ映え」する料理が非常に好まれるというトレンドが認められる。こうしたトレンドをうけて、飲食店も「インスタ映え」する新メニューの開発にちからを入れている。同アプリを使えば、料理を注文する段階でかなり正確に「インスタ映え」をチェックできるのではなかろうか。まさに、昨今の外食産業のトレンドに呼応しているアプリなのだ。

家具配置アプリ

Been playing around with #ARKit lately and I'm really impressed with it! I built a little tool for laying out rooms pic.twitter.com/oughpP2Oxk

—Asher Vollmer (@AsherVo) 2017年7月21日

アプリ開発者のAsher Vollmer氏は、家具を室内の好きな位置にAR表示する家具配置アプリのデモ動画を公開した。

同アプリで表示する家具はIKEAのカタログアプリのように実在する製品を表示するものではないこともあってか、ARされる家具の縦、横、高さを入力することができるようになっている。

この機能は、「もしここに幅2メートルのソファを置いたら、部屋を狭く感じるだろうか？」「幅3メートルでも置けるだろうか？」と調整しながら購入する製品のイメージを固めるために使えるはずだ。

また、動画では複数のARオブジェクトを同時に表示している。最大でいくつのオブジェクトを表示できるかは不明だが、一つの家具だけでなく複数の調和を見ながら部屋の模様替えをしたいときにもこのアプリが役に立つだろう。

以上のように、ARKitを使えば今までにはなかった実用的アプリを開発できるのだ。そして、こうしたARKitアプリがiOS11のリリース後に本当に現れるのであれば、ARKitアプリなしにはクールな生活が考えられない世界が到来するのかも知れない。

ObsessVR公式サイト

http://www.obsessvr.com/

アパレルショップ店内でモデルをAR表示するARKitデモ動画を紹介したNext Realityの記事

https://mobile-ar.reality.news/news/apple-ar-demo-lets-you-view-clothes-you-want-moving-person-0179602/

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