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50代のキャリア停滞は「能力不足」ではない!? 動き出せた人が共通して手放す3つのもの


「自分でキャリアを考える必要があることは分かっているが、何から始めればいいのか分からない」そんな戸惑いを抱える50代は少なくありません。長年、組織にキャリアを委ね、期待される役割に応え続けてきた世代にとって、キャリアの主体性を自分に取り戻すことは、想像以上に大きな転換です。前回は、50代が直面するキャリア観の変化と、その背景にある課題を整理しました。今回は、実際に「越境体験」に踏み出した300名のミドルシニアの事例をもとに、次のキャリアへと進む人たちに共通する“変化の鍵”をひもときます。【会社員から社会人へ!50代からのキャリア実践ガイド #8】

組織にキャリアを委ねることが前提の50代

50代のキャリア支援に携わる中で、「自分でキャリアを考える重要性は理解しているが、実際にどう進めればいいのか分からない」という声を、多く耳にします。現役の50代は“就社世代”として、組織にキャリアを委ねることが前提の時代を生きてきました。会社の辞令に従い、経験のない業務にもゼロから取り組み、多様な部署や地域で役割を果たすことが期待されてきました。組織への適応と貢献こそが、キャリア形成の中心だったのです。しかし、人生100年時代、そして変化の激しい事業環境の中で、キャリアの主体性は個人へと回帰しました。この180度の価値観の転換は、理解と実感のあいだにギャップを生みやすく、「次の一歩」を踏み出しにくい状況を生んでいます。

越境経験者300名に共通した“変化の鍵”

私たちはこの5年間、ミドルシニアと地方企業をつなぐ「大人のインターンシップ」の機会を提供してきました。同じ会社で30年以上働いてきた方々が、初めて挑む「越境体験」のプロセスに伴走する中で、次のキャリアへとスムーズに接続していく方には、明確な共通点があることが分かってきました。それが、「手放すこと」です。参加者の方々がよく口にされる「手放す対象」は、主に次の3つです。

・会社の看板
・肩書
・他者からの評価

興味深いのは、これらを「無理に捨てようとした」わけではない点です。越境という、これまでとは異なる価値基準の環境に触れることで、自然とこだわりが緩み、自分自身の「こだわり」が再定義されていくのです。

越境先で「基軸の再構築」を促す

越境先の組織では、予算規模、意思決定のスピード、優先順位、成功基準など、組織が大切にしているルールや考え方が、これまで働いてきた組織と大きく異なります。社内の常識とは異なる視点に触れることで、自分が無意識のうちにはまっていた価値観が、少しずつ相対化されていきます。ある参加者は、プロジェクトに携わる中で、「自分の中にまだ、新しいことに取り組む“わくわく”が残っていたのだと気づいた」と言葉を残していました。

想定外の環境に身を置くことで、自身の可能性を再認識するケースは少なくありません。越境とは、価値基準の異なる環境に身を置くことで、自動的に自己の基準が相対化される「認知転換の機会」とも言えます。

手放すことで見出される、“自分基準の意思決定”

手放すことで実感される変化のひとつが、「意思決定」の速さです。ある参加者は、「仕事で判断するときの迷いが減りました。これまでは、どうしても他者の評価を気にしていましたが、『自分が社会に貢献できると思うかどうか』という軸だけで判断できるようになった。結果として、判断が早くなり、行動も軽くなりました。」と語っています。

判断の基軸が他者や会社から自分自身へと戻ることで、判断のスピード、行動の質、そして学習の速度は大きく変わります。当社プログラムの参加者における行動変容率は9割に達しています。これは「特別な誰か」に起こる変化ではなく、多くの方が越境を通して自然に実感する変化なのです。

手放すとは「捨てる」のではなく、“アップデート”

会社の看板も肩書も、これまでのキャリアを支えてきた大切な資産です。しかし、次のステップに進むために、それらを「唯一のものさし」にし続ける必要はありません。越境を通じて新しい価値観や仕事観に触れることで、自分自身の判断軸がアップデートされ、結果としてキャリアの選択肢は広がっていきます。手放すとは、これまでのキャリアを捨てることではありません。変化の時代に合わせて、自分のキャリアOSを更新し続けるための、欠かせないプロセスなのです。

日本オムニチャネル協会セカンドライフアカデミー:https://omniassociation.com/activity/academy/secondlife

筆者プロフィール

大桃綾子
Dialogue for Everyone株式会社 代表取締役
1981年生まれ、新潟出身。三井化学にて人事・事業企画に約10年従事。トリドールホールディングスを経て、2020年創業、40代50代に特化したキャリア自律・越境学習プログラムを展開。 地方企業と都市部人材の副業マッチングサービスJOINS取締役、新潟県産業ビジョン2030委員、広島県呉市中小企業・小規模企業振興会議ワーキンググループ委員などを務める。プライベートでは2児の母。

日本オムニチャネル協会
https://omniassociation.com/

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