近年、AI技術の進化は目覚ましく、私たちの生活や移動においてもその可能性が広がっています。特に、株式会社デンソーテンが開発した新しいAI技術は、カメラで撮影した顔画像から人の内面を推定できるという画期的なものです。生体情報を活用し、顔の特徴量との関係を学習することで、ヒヤリハットや居眠りの予兆を検出することが可能になります。

この技術は、脳波や心拍といった生体情報を基に、“ヒヤリとする”や“頭がぼんやりする”といった内面の状態をAIモデルとして生成します。具体的には、カメラで取得した顔画像から、眉や目、鼻、口といった顔のパーツの位置や形を示す特徴量を抽出し、AIモデルと照合することで、瞬時に内面の状態を推定します。本技術が実現すれば、運転中の注意力低下を早期に検知し、より安心・安全なモビリティ社会への貢献が期待されます。
これまでの感情推定技術は、接触型センサーを使用することが多く、それに伴う導入のハードルが課題となっていました。デンソーテンはその壁を乗り越えるため、非接触型の顔画像解析に着目し、オープンな社会での実用性を追求しました。この技術は、3月5日から7日にかけて開催される情報処理学会での発表も控えており、注目が集まります。
神戸大学の曽良教授は、今回の技術開発について「人の内面を推定するにあたり、生体情報に基づくアプローチは極めて重要です。この技術により、個々の内面を理解し、もっと快適で充実した生活が送れることを期待します」とコメントしています。
デンソーテンは、「VISION2030」の実現に向け、人と地球に優しい製品の開発や移動に関する課題解決へ取り組んでいます。この新技術も、その一環として人々の生活を豊かにするための重要なステップとなるでしょう。
詳しくは「株式会社デンソーテン」の公式ページまで。
レポート/DXマガジン編集部熊谷