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子犬のワクチンプログラムについて|免疫の仕組みからガイドラインまで【獣医が解説】


子犬のワクチンスケジュールを立てる際には、母親からの免疫が重要な要素となります。生後しばらく母親の初乳を通じて得られる免疫は、病気からの保護を提供しますが、ワクチンの効果を発揮しづらくする可能性があるため慎重なスケジューリングが必要です。母親由来の免疫は通常生後8~12週で低下し始めますが、犬によって変動します。この時期には子犬が病気にかかりやすくなるため、ワクチン接種計画には獣医師との相談が重要です。また、血液検査を活用することで、子犬がすでに免疫を保持しているかどうかを確認し、ワクチン接種のタイミングを最適化できます。コアワクチンの接種は犬の健康維持に最も重要であり、16週齢以降が特に重要です。

子犬のワクチンスケジュールを立てる上で考えるべきこと

注射される子犬

母親由来の免疫について

子犬が生まれてからしばらくの間は、母親由来の免疫が初乳を通じて子犬に伝達されています。この免疫は、病気に対する保護になりますが、ワクチン接種に対しては妨げとなることがあります。

母親由来の免疫がまだ子犬に多く残っている状態でワクチンを接種すると、ワクチンが十分な効果を発揮することができません。

通常、母親由来の免疫は生後8~12週齢で低下しますが、この免疫の減少速度は犬によって異なるため、そのタイミングを正確に予測することは難しいです。

この母親由来の免疫が徐々に低下する期間は免疫が不十分なため、ワクチン接種が効果を示さず、病気にかかりやすくなります。

そのため、子犬のワクチンプログラムでは、母親由来の免疫が低下したタイミングを見計らって、複数回のワクチン接種が行われます。これにより、子犬のワクチンに対する免疫反応を確実に引き出せるようになるのです。

ワクチン接種のスケジュールはそのときの体調などによっても調整する必要があるため、獣医師との相談を通じて、最適なタイミングで接種を進めることが推奨されます。

ワクチンに関連する血液検査

採血される犬

ワクチン接種の最適化には、血液検査を用いた免疫確認が有効です。

現在、犬に対しては、犬ジステンパーウイルス(CDV)、犬パルボウイルス(CPV)、犬アデノウイルス(CAV)に対する抗体について、動物病院にて血液検査が実施可能です。これらの検査は短時間で結果が得られ、特にワクチン接種時期の判断に役立ちます。

これらの抗体検査は、犬がすでに免疫を獲得しているかどうかを確認するのに有効です。例えば、CDV、CPV、CAVの抗体が検出される場合、犬はこれらの病気に対する免疫をすでに持っていると考えられます。

また、これらの抗体は数年以上にわたって持続することがあり、再接種の必要性を判断する材料にもなります。

留意すべき点として、血液検査は非常に便利な一方で、検査キットによってその精度にはばらつきがあり、結果が偽陽性や偽陰性であることも少ないですがあります。

このため、ワクチン接種の必要性について血液検査をもとに判断する際は、獣医師が結果を慎重に評価することが重要です。

子犬のワクチンガイドライン

診察台の上の子犬

犬のワクチンには、コアワクチンと非コアワクチンがあります。コアワクチンは、全世界で犬に対して推奨されているワクチンで、犬ジステンパーウイルス(CDV)、犬アデノウイルス(CAV)、犬パルボウイルス(CPV)が含まれます。これらのワクチンは、犬の健康を守るために最も重要です。

また、狂犬病ワクチンも、狂犬病が流行している地域ではコアワクチンとして推奨されています。狂犬病は人間にも感染するため、人間の健康を守るためにも非常に重要です。

子犬のワクチンプログラムは、通常6〜8週齢から開始し、その後2〜4週間ごとに接種が行われます。最も重要なのは、16週齢以降のワクチン接種であり、この時期にはほとんどの子犬で母親由来の免疫が十分に低下しているためワクチンの効果がしっかりと期待できます。

また、16週齢時点でも十分な免疫反応が得られないことも中にはあるため、状況によっては20週齢以降に血液検査を行ったり、26週齢で追加接種を行うこともあります。

まとめ

寄り添う子犬たち

子犬のワクチンプログラムは、適切な時期に正しいワクチンを接種することが重要です。

必要に応じて血液検査もおこないながら、最適なワクチン接種スケジュールを立てることで、犬の健康をしっかりと守ることができます。また、非コアワクチンや地域に応じた追加のワクチン接種も重要ですが、まずはコアワクチンがなにより最優先です。


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