「大変お世話になりました。閉店の際在庫が余ってしまったため、playstation5をRT+いいねした方を対象に抽選で2名様にプレゼントします」
普段ツイッターを利用している方の中には、もしかするとこのような投稿を見たことのある方がいるかもしれません。多くの方は「嘘でしょ?」とスルーするでしょうが、投稿には多くの反応や、抽選に応募する旨の返信も。
プレステ5プレゼントはウソか誠か!?今回この企画にあえて応募してみました!
まず、当該アカウントは「ホビーショップ○○」という、いかにもそれっぽい名前。「いったいどこにあるのだろう?」と気になってGoogleMapで検索してみましたが、そんなお店は見つからず。
「ん?おかしいな?」と思いながらも、フォロワーは1万人以上いるし、「きっと大丈夫!」と期待を胸に、ツイート内容を再度チェック。応募方法は投稿をいいね&RTだけ!……うん、とっても簡単!
すぐに応募完了し、迎えた当選発表の日。ドキドキしながら待っていると、DMに通知が!「やった!」と思い、メールを開くとそこには当該アカウントからの当選通知が届いていました!
多くの方が応募している抽選で、なおかつたったの2名ですから、「そんなラッキーなことある?」という思いしかありません。
メール本文には「はじめまして!突然のDM失礼しま す。企画のご参加、まことにありがとうございま す。playstation5を(ギフトボックスの絵文字)」の文字。「この不自然な改行は何だ?」と心の中でツッコみつつ、読み進めて行きます。
「おめでとうございます。抽選の結果、ご当選されましたのでご案内をさせていただきます。安全にやり取りできるよう、登録用のフォーマットのURLを送付させていただき、つきましては商品発送の手続きのます。アカウント登録は下記URLより」
「※登録が完了したら、ここに戻って『完了』DMを送信し、証明または電子メール登録のスクリーンショット」
続けて見ていくとこのような案内が。たどたどしい日本語に違和感しかありません。恐る恐るリンクをタップすると、開いたページは大きな「当たり」の文字の背後に花火が打ち上がる画像に「この度は当選おめでとうございます!」の赤色太字メッセージが!
しかし、ページの下部には何かの「無料登録ボタン」が……?さらに「贈り物を送る目的で名前登録フォームに記入するだけ!」「すでに会員登録料を支払いまいした!この登録は無料です!覚えて!このイベントは100%無料です」と、先ほどのメールよりも一層変な日本語が書かれています。このページを作った方の身に一体何が起きていたのか……心配になってしまいます。
と、ここで心配していても仕方ありません。いざ登録ボタンの先へ!すると、そこに待ち受けていたのは謎のVPN(インターネット上に仮想の専用線を設定し、特定の人のみが利用できる専用ネットワーク)登録ページ……。メールアドレス入力とパスワードの登録を求められました。
ページには「運動に参加する」「AccurateVPN」「完全匿名でブラウジングをお楽しみください」「無制限のアクセス」の見出し。おまけに「$48.95/か月」の文言……?
「あれれ?プレステ5どこ行った?」と明らかな「誤リンク感」を感じたため、適当なメールアドレスとパスワードを入力して次に進むと……はい、きましたクレジットカード登録。
「なんでプレステ5が欲しいだけなのに、クレカ登録が必要なんだよ!」怒りを覚えた筆者はメール画面に戻り、当該アカウントに質問をすることに。
やり方が分からないと尋ねると、「商品を処理できるように、登録を完了してください」「リンクをクリックしてから、指示に従ってください」との回答。と、ここでクレジットカードの登録について尋ねると、以降返答がなくなってしまいました……。こうして筆者のプレステ5ゲットの夢は絶たれてしまったのです……。あーあー。
■ プレゼント配布系、現金配布系はほとんどがウソ
ここまでの流れで、既にお気づきかと思いますが、こうした「高額商品のプレゼント配布」や「現金配布」を謳うアカウントから発せられる情報はそのほとんどがウソ。国民生活センターなどでは「SNSをきっかけとした消費者トラブルにご注意! 中高『生』だけじゃなく中高『年』も」(2020年4月公表)の中などで、相談事例をあげて注意を呼びかけています。
一応「ほとんど」としたのは、誰もが知っている超有名インフルエンサーが年に1度程度の機会で、専用アプリを通しての現金配布や、ゲーム機、PCやタブレット端末等を本当にプレゼントすることがあるからです。他にも有名企業の公式アカウントが、行う場合もあります。
こうした、発信元が信頼できるアカウント以外からの、高額商品、現金のプレゼントはまずないと断言出来ます。その多くが、今回と同様の手口で、当選偽装メールの送信、クレカ登録を促してきます。こうした案内に絶対従ってはいけません。もちろん、今回の筆者のように、メールに書かれたURLをタップすることは、イタズラ半分でも避けた方が良いです。
■ 手口は年々巧妙化 近付かないことが一番
また、手口は年々巧妙化しており、今回のような「ショップ閉店によるプレゼント」や「羽振りが良いように見せかけて、稼ぐ方法を高額商材にして販売(中身は単なるセルフアフィリエイト登録等)」など、さまざまな手を使って、お金を払わせようとしてきます。
こうした手口にまんまと引っかかってしまっては、まさに相手の思う壺。いくら現物、現金が欲しくても、近付かないことが一番です。
■ 「うまい話には裏がある」を念頭に
しかしながら、前述の通り、この手のアカウントに対して多くのフォロワーが存在していたり、応募者が相次いでいたりしているのが現実。応募方法が「誰でも」「無料で」「気軽に」出来てしまうのもあるのでしょうが、「うまい話には裏がある」「タダほど高い物はない」という考えを常に念頭に置いておく必要があると言えるでしょう。
その情報が信用に足るかどうか。迷ったら検索や過去の投稿などを即チェック。仮に当選報告をしている人がいたとしても、当選報告をした人のアカウントも深く調べる必要があるでしょう。だってサクラかもしれませんからね。
とにかく安易に信じず、ネットリテラシーを高く持って、インターネットを楽しく利用したいもの。とはいえ、自分のネットリテラシーにだけ頼って詐欺を回避するにも限界があります。詐欺犯はあの手この手でしかけてくるからです。
少しでも「変だな」と思うことがあれば、一切近付かない・関わらないことが何よりの自衛。
最後に、今回の架空のホビーショップのアカウント。本稿執筆のために久しぶりに覗いてみると……しっかり凍結されていました。当然の措置ですね。
(山口弘剛)