猫が顔を洗うと雨が降る、と昔から言われていますが、猫は雨をお知らせするために毛づくろいをしているのでしょうか?
もちろん、そんなわけがありません。
では、猫はなんのために毎日頻繁に毛づくろいをするのでしょうか?
猫が毛づくろいする理由を調べてみました。
1. 猫が毛づくろいをする理由
•健康維持・身だしなみ
猫が毛づくろいをする最大の理由は健康維持のためではないでしょうか。
猫になめられたことがあるとご存じかと思いますが、猫の舌はざらざらとした『糸状乳頭』という突起、が付いています。
猫はそのざらざらとした糸状乳頭で、自分についたほこりや汚れなどをきれいになめとり、皮膚炎などの皮膚病予防をしていると考えられています。
また、猫の唾液には殺菌成分も含まれており、自分の唾液で体を清潔に保っているそうです。
嫌な臭いなども取れるので、まるでお風呂にはいったような効果が毛づくろいにはあるのかもしれません。
『猫はお風呂に入らなくてもキレイ』とよく耳にしますが、案外嘘ではないようです。
•リラックス効果
飼い主さんに怒られたり、何か失敗をしてしまったっり …。
猫にとって嫌なことが起こった後に猫が毛づくろいをする姿を見かけることってありませんか?
実は、嫌なことやショックなことがあったタイミングでする毛づくろいは、猫が気持ちをリラックスさせるためにしている毛づくろいなのです。
転位行動と呼ばれる行動で、毛づくろいをすることで猫は気持ちの切り替えをおこなっています.
•体温調節
猫の毛づくろいは、体温調節の意味合いもあります。
夏にはグルーミングで体についた唾液が蒸発することで体を冷やし、冬には毛づくろいをする際に毛の間に空気を含ませ体を保温しているそうです。
汗をほとんどかかない猫にとって、毛づくろいは体温を自分で調整する数少ない方法なのかもしれません。
•ビタミンDの補給
猫は肉食動物です。
最近では、お野菜を食べる猫もいますが基本的に体の構造は肉食なので、食物から取り入れるビタミンはかなり少ないと言われています。
そのためなのか、猫は太陽光を浴びると体の表面にはビタミンDが作られます。
ビタミンDは骨や歯の発育には必要不可欠なもの。
毛づくろいをすることで、猫は体の表面に作られたビタミンDを摂取しているようです。
•猫同士のコミュニケーション
猫が一人で毛づくろいをしているわけではなく、猫同士で毛づくろいをしている時は、コミュニケーションをするために毛づくろいをしていると言われています。
仲の良い猫同士にしかみられない行為なので、猫同士が毛づくろいをしているときは暖かく見守ってあげましょう。
2. 猫の毛づくろいの種類
•セルフグルーミング
セルフグルーミングとは、自分で自分の毛づくろいをすることを言います。
単独で行う毛づくろいはすべてセルフグルーミングに該当します。
•アルグルーミング
アローグルーミングとは、猫が他者と毛づくろいをすことを指します。
上記もしましたが、コミュニケーションの一種と考えられており、親しい猫同士でしか見られない行動です。
兄弟猫や親子猫、幼いころから長く一緒に暮らしている猫同士でアローグルーミングはよく見られると言われています。
基本的には仲が良くてもオス同士でのアローグルーミングはあまり見られず、メス同士もしくはオスとメスで行われることが多いそうです。
また、アローグルーミングが行われるのは、猫同士だけではありません。
猫によっては、飼い主さんをグルーミングすることもあるそうです。
アローグルーミングでは、セルフグルーミングでは舐められない部分を舐めていることが多いと言われています。
もし、猫が飼い主さんに対してグルーミングをするように舐めてきたら、猫のケアできない頭や頭の後ろなどを撫でてあげるとよいかもしれませんね。
3. 猫が毛づくろいをするタイミング
①食後
1つ目の猫が毛づくろいをするタイミングは食事後です。
猫は元々、自分で獲物を捕まえて食べるハンターでした。
そのため、食事をするときは狩りの後なのでそうしても顔の周りや狩りで使う前足などが汚れてしまいました。
顔や前足に獲物の血やにおいが付いたままだと、敵や獲物に自身の位置がわかってしまうため、猫は食後に顔や前足を丁寧に毛づくろいするようになったと言われています。
今室内で飼われている猫が狩りをして顔や手が食事後に血で汚れてしまうということはありませんが、昔の名残として食事後には毛づくろいをしているのでしょう。
②リラックスタイム
2つ目のタイミングはリラックスしているタイミングです。
前述もしましたが、猫は気持ちを落ち着けたいときも毛づくろいをしますが、猫自身が落ち着いている時にものんびりとした気持ちで毛づくろいをします。
寝る前に毛づくろいをする姿を見かけることも多いのではないでしょうか?
寝むる前のリラックスした時間に行う毛づくろいは、猫の気持ちを落ち着けるためだけでなく、眠る前に汚れを落とし、毛並みを整えている毛づくろいです。
眠る、とい一番心が落ち着く時間に向けて、体を自分の匂いがしっかりとするように毛づくろいをしているのかもしれませんね。
4. 過剰に毛づくろいをしている場合
猫の毛づくろいは、猫にとって本能的なものであり、猫に害のあるものではありません。
しかし、過剰に毛づくろいをしすぎてしまうと、猫の毛がハゲてしまったり、出血したり、炎症を起こしてしまうこともあります。
同じ場所ばかり猫が舐めていると、その部分だけ毛がハゲてしまい、それでも舐め続けると出血し、化膿してしまうこともあるようです。
猫の過剰な毛づくろいは、皮膚炎やカビなどが原因で起こることもありますが、ほとんどはストレスが原因だと言われています。
猫は、気持ちを落ち着けるため、ストレスがかかると毛づくろいで気分転換をします。
しかし、毛づくろいをしても気持ちが落ち着かいほどストレスがかかってしまうと、毛づくろいをやめることができなくなってしまいます。
気持ちが落ち着かず、同じところばかりを毛づくろいしてしまうため、やがて毛がハゲ、血が出てしまうのです。
実は我が家の先代猫も過剰な毛づくろいで、ハゲてしまった過去があります。
我が家の場合は、赤ちゃんが家にやってきたときでした。私には2人子供がいますが、2回とも最初の1週間くらいで猫の前足の内側にハゲができてしまいました。
本来、ストレス性の過剰な毛づくろいは猫のストレスとなっている原因を取り除いてあげることで回復に向かうとされています。
とはいえ、我が家のように新し家族がストレスになっている場合、赤ちゃんを猫の前から取り除くことも、猫を赤ちゃんから隔離し続けることもできません。
ストレスの原因が取り除けない場合は、猫に慣れてもらうよりほか方法がありません。
しかし、猫にストレスの原因に慣れてもらうまで過剰な毛づくろいを放置する、というわけではありません。
猫のストレスも遊びやスキンシップで解消してあげながら、過剰な毛づくろいをやめてもらえるように促しましょう。
猫がハゲている場所を毛づくろいし始めたら、さりげなくほかの場所をブラッシングや撫でてあげるのもおすすめです。
猫も飼い主さんに触られているところに気が向き、気持ちも徐々に落ち着いてきます。
5. ブラッシングもしてあげよう
猫は毛づくろいをして自分の体についている汚れや余分な被毛をなめとっています。
だからブラッシングはしなくても大丈夫、と思う方もいるかもしれませんが、ブラッシングと毛づくろいはまた別物です。
特に長毛の猫は、毛づくろいだけでは被毛を落としきれないばかりか、舐めとった毛が腸に溜まってしまい腸閉塞を起こしてしまう可能性もあります。
換毛期には長毛種は毎日、短毛種でも週に2~3回はブラッシングが必要と言われています。
余分な被毛を落とす以外にも、ブラッシングは猫と飼い主さんのコミュニケーションにも繋がります。
頻繁にブラッシングを猫にしてあげることで、猫との信頼関係も生まれるので、猫のブラッシングは適度に行ってあげましょう。