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人生後半が健康になる「中年期の食事メニュー」が明らかに


米ハーバード公衆衛生大学院の研究により、中年期の食生活が老後の健康に大きく影響することが示されました。研究は、植物由来の食品を増やし、動物性食品を適度に摂取しながら、超加工食品を減らすことを推奨しています。調査の結果、代替健康食指標(AHEI)に基づく食事を実践した人々は、老後に健康を保つ可能性が高いことが判明しました。特に中年期からこれを継続した場合、認知、身体、精神の各機能が高い状態で維持される傾向が見られました。

毎日何気なく食べているランチや晩ごはん。

それが30年後の健康を左右するかもしれません。

米ハーバード公衆衛生大学院(HSPH)の研究チームはこのほど、中年期の食生活に気を配ることで、慢性疾患がなく、認知機能、身体機能、精神的健康を高く保ったまま、健康的に年を取れる可能性が高くなることを発見しました。

特に大事な食生活のポイントは「植物由来の食品を増やす」「動物性食品を適度に摂る」「超加工食品を減らす」でした。

では具体的に何を食べるようにすればいいのでしょう?

研究の詳細は2025年3月24日付で医学雑誌『Nature Medicine』に掲載されています。

目次

  • 人生後半の健康は「中年期の生活」にかかっている?
  • 健康な後半生につながる食事メニューとは?

人生後半の健康は「中年期の生活」にかかっている?

70代になっても元気に歩き回れたり、趣味や旅行を楽しめたりする人がいる一方で、慢性的な病気に悩まされ、思うように動けない人もいます。

この違いは一体どこから来るのでしょうか。

実は「健康的な老後」を定義する際、近年は単に病気がないというだけでなく、認知機能や身体機能、精神的な健康が保たれているかどうかが重視されるようになっています。

世界保健機関(WHO)も2020年に発表したレポートで、年齢に応じた身体能力や生活の質を保つ「機能的能力(functional ability)」の維持を、健康的加齢(健康的に年を取ること)の中心的な指標としています。

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Credit: canva

しかし、こうした能力は突然70歳を迎えたときに備わっているものではありません。

その土台は、もっと若い頃、つまり中年期(40歳〜60代前半)にどう過ごしたかに大きく依存していると考えられています。

その中でも特に、食生活は非常に重要です。

これまでにも野菜や果物が多い食生活や、いわゆる「地中海食」が心臓病や糖尿病、認知症のリスクを下げることは知られていました。

とはいえ、具体的にどのような食生活が「老後の健康全体」に関係しているのかを、30年という長期スパンで追った研究は極めて限られていました。

そこで研究チームは「中年期の食事パターン」が70代以降の身体・認知・精神・疾患リスクにどう関係しているかを長期にわたって検証しました。

健康な後半生につながる食事メニューとは?

今回の研究では、米国の2つの大規模データを用い、 1986年から2016年まで、計10万5015人(39〜69歳、平均年齢53歳、男性34%・女性66%)の食生活と健康状態を最大30年間追跡しています。

参加者は定期的に食事に関するアンケートに回答し、研究者らはその内容が8つの健康的な食事パターンのどれにどれほど従っていたかをスコア化しました。

8つの食事パターンとは

・代替健康食指標(AHEI)

・代替地中海食指標(aMED)

・高血圧予防食(DASH)

・地中海DASH介入食(MIND)

・健康的植物ベース食(hPDI)

・プラネタリーヘルスダイエット指標(PHDI)

・経験的炎症性食事パターン(EDIP)

・高インスリン血症経験的食事指標(EDIH)

です。

これらの食事パターンは、果物、野菜、全粒穀物、不飽和脂肪、ナッツ、豆類などの「植物性食品」、肉や魚、特定の乳製品などの「動物性食品」、多くの添加物を含む「超加工食品」の摂取量の違いや組み合わせによって区別されています。

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Credit: canva

そして調査の結果、代替健康食指標(AHEI)のスコアが最も高かった人たちは、最も低かった人たちに比べて、70歳時点で健康的に加齢している可能性が86%高く、75歳まで健康を保っている確率は2.2倍にまで跳ね上がっていたことが判明したのです。

AHEIに基づく食事とは、果物、野菜、全粒穀物、ナッツ、豆類などの「植物性食品」を日常的に多く摂取しながら、肉や魚などの「動物性食品」は少量〜中程度に適度に摂取しながら、「超加工食品」の摂取を極力抑えたパターンを指します。

こうした食事パターンを中年期から続けていた人は、高齢になっても認知、身体、精神の各機能において一貫して高いスコアを示していました。

一方で、特に加工肉や糖分を多く含む飲料、あるいはダイエット飲料といった超加工食品の摂取量が多い人ほど、健康的な加齢の可能性は低くなっていました。

超加工食品とは、人工添加物や糖類、ナトリウム、不健康な脂肪を含むことの多い、工業的に製造された食品を指し、以下のようなものが挙げられます。

・アイスクリーム、チョコレート、キャンディー、グミなどの菓子類

・ハム、ソーセージなどの加工肉

・ポテトチップス、ビスケット、クッキーなどのスナック菓子

・大量生産される菓子パン

・朝食用のシリアル、シリアルバー、エネルギーバー

・炭酸飲料、栄養ドリンク、乳飲料

・人工添加物を多量に含んだ惣菜

・インスタントのカップ麺やソース調味料

超加工食品が体に悪いことはよく知られていますが、やはり健康的な老後を過ごしたいなら、若い頃から超加工食品の摂取をなるべく減らした方が良さそうです。

今回の研究は、長寿だけでなく「人生をどう元気に生きるか」という視点から食生活の重要性を改めて示しています。

普段の食事をほんの少し意識するだけで、30年後の自分が笑顔でいられる可能性がぐっと高まるかもしれません。

未来の健康のために、今日のメニューを少しだけ見直してみてはいかがでしょうか。

全ての画像を見る

参考文献

Healthy eating in midlife linked to overall healthy aging
https://medicalxpress.com/news/2025-03-healthy-midlife-linked-aging.html

元論文

Optimal dietary patterns for healthy aging
https://doi.org/10.1038/s41591-025-03570-5

ライター

千野 真吾: 生物学出身のWebライター。普段は読書をするのが趣味で、休みの日には野鳥や動物の写真を撮っています。

編集者

ナゾロジー 編集部

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