猫のトリミングって必要なの?
Olleg/shutterstock.com
よく目にするペットサロンといえば圧倒的に犬のサロンが多く、猫ちゃんのトリミングってあまり聞いたことがないかもしれません。
きれい好きなイメージのある猫ちゃんにも、人間にしてもらうトリミングって必要なのでしょうか?
そもそもトリミングとは、ペットの被毛全体のお手入れやカットのことを指していて、海外ではカット以外のシャンプー、ブラッシング、爪切り、耳掃除、肛門腺絞りなどはグルーミングと呼び分けています。
しかし日本では、トリミングとグルーミングの両方を合わせて「トリミング」と呼ぶことがほとんどなので、ペットの被毛のお手入れと健康に必要なお手入れすべてを総合したものだと思ってくださいね。
猫は自分で体を舐めて毛づくろいをおこないますが、毛が生え変わる時期になるとかなり毛が抜けるので、毛づくろいしながら自分の毛を大量に飲み込んでしまい、特に長毛種は毎日たくさんの抜け毛が出ますし、換毛期に飲み込んでしまう毛の量も普段より増してしまいます。
飼い猫が飲み込んだ毛(毛球)を吐き出しているのを見たことがあるかもしれませんが、それでも飲み込んだ毛の量が多すぎるとうまく吐き出せなくなり、体内に毛球が溜まってしまう毛球症が酷くなってしまうと最悪手術が必要になる場合もあり、猫に大きな負担がかかってしまいます。
それを防ぐためにも猫自身のグルーミングだけでは不十分で、定期的に人間がブラッシングをしたり、抜け毛を取り除くお手入れを手伝ってあげる必要があります。
また避妊手術をしていない猫は、繁殖期になると異性を引きつけるために臭いの強いオシッコをします。
その排泄物が肛門周りの毛などについてしまうと、臭いの原因や皮膚トラブルを起こしたりしますので、衛生面でも健康面でもトリミングが必要になってきます。
特にトリミングが必要なのは?
Lyudvig Aristarhovich/shutterstock.com
猫に必要なトリミングのなかで人間が手伝ってあげたいものは、ブラッシング・爪切り・歯みがき、耳掃除でしょう。
猫自身ではなかなか十分におこなえない分野ですね。
ブラッシングが含まれるのは意外に思われる方もいらっしゃるでしょう。
「猫自身でおこなっている普段の毛づくろいで十分なのではないか?」と思われるかもしれませんが、届きにくい箇所や毛がすでに絡んでしまったりしているとなかなか手入れが行き届きません。
特に換毛期には、プロに念入りにトリミングしてもらうとかなり楽になりますし、毛球症の予防にもなりますよ。
また高齢になった猫やぽっちゃりな猫は億劫がってマメに毛づくろいをしなかったり、自分でできなくなってなってきますので、トリミングを代わりにおこなってあげる必要があるでしょう。
爪とぎも猫自身でおこなってはいますが、古い爪が残ってしまったりしているとカーテンやカーペットなどに引っかかって折れてしまうことがあります。
高齢猫など、なかなか自分で爪とぎをしない猫は古い爪が剥がれ落ちず、爪が太くなって巻き爪になったり、伸びすぎた爪が肉球に刺さってしまうこともあります。
また鋭い爪のままだと、猫が自分や飼い主さんを傷つけてしまい、そこから細菌感染してしまうこともありますので、定期的に爪の状態もチェックする必要があります。
猫の歯みがきですが、野性の猫なら硬い肉などを食べる機会が多いので自然に歯みがきしている状態になっていますが、飼い猫の食べるキャットフードはそれほど硬くないものが多いですし、猫缶しか食べない猫ちゃんもいますので、歯みがきは自然にはできず、歯垢も溜まりやすくなっています。
しかも猫は歯垢が歯石に変わるスピードがとても早いそうで、飼い猫の現代病ともいわれるほど歯周病にかかる猫ちゃんが増えてきているようです。
猫は自分で歯みがきにあたるお手入れをおこなうことができませんから、定期的に歯のお手入れも習慣にしたいですね。
最後に耳掃除ですが、これは猫によって個体差があるので、飼い猫が耳垢が溜まりにくいならばそれほど行う必要はないでしょう。
しかし普段から耳に皮脂などが多く、耳垢がたまりやすいタイプだったり、季節によって溜まりやすくなるなどするならば、こまめに耳の状態をチェックする必要があります。
実は耳垢がたまりやすい猫の耳の形というのがあるので、簡単にご紹介しますね。
それは垂れ耳と反り耳です。
スコティッシュフォールドなどの垂れ耳の猫は、ピンと立っている耳の猫と比べるとどうしても耳の中の通気性が悪くなってしまい、耳垢が溜まりやすくなるとのことです。
反り耳は外側に向けて耳がピンと反り返っていて、 アメリカンカールが代表的な反り耳の猫です。
耳の構造が複雑で耳掃除をしても耳垢が残ってしまいやすいため、特に注意して耳のお手入れをする必要があるでしょう。
どんなときに必要?
抜けきらない古い毛が皮膚に残ったままだと細菌が繁殖しやすく、皮膚病の原因になることもありますので、ブラッシングなどのトリミングは換毛期以外にも必要なお手入れです。
また毛が長い猫は毛が絡まりやすく、抜け毛も多く毛玉にもなりやすいので、定期的なトリミングがどうしても必要になります。
外にお散歩しに行く猫ちゃんも雨に濡れたり地面に寝そべったりするので汚れやすく、ノラ猫などからダニやノミをもらってきてしまうこともあります。
猫が自分で届きにくい背中などは特に汚れやすく、汚れがひどい場合も毛づくろいだけでは汚れをきれいに落とすことはできませんし、泥などの汚れを舐めて体内に菌を取り入れてしまうなど、病気の原因になることもあります。
汚れ具合に応じて、定期的にシャンプーするようにしてあげましょう。
またきれい好きな猫にも定期的なトリミングが必要です。
毛づくろいをして毛並みを整えようと必要以上に舐めてしまい、それが原因で皮膚トラブルを発症してしまう場合もあります。
獣医さんに相談して許可がもらえるなら、シャンプーなどをおこなってすっきりさせてあげるといいかもしれません。
トリミングに連れて行った方が良い猫種
ペルシャr(:ソマリ:)の猫は、1週間に数回ブラッシングをしてあげるだけでかなりの抜け毛が取れますので、プロにトリミングをお願いする回数はそれほど多くなくてもいいかもしれません。
しかし長毛種の猫は毛が細くて長いため絡まりやすく、毎日ブラッシングをしていても毛玉ができやすかったり、抜け毛を取り切ることもなかなか難しいでしょう。
例をあげると、大柄なメインクーンや日本でも人気の高いスコティッシュフォールド、猫らしいふわふわとしたゴージャスな毛並みのペルシャ、毛量のある長毛を持つラグドールなどの長毛種はプロのトリマーさんにお願いしたほうがしっかりトリミングしてもらえるでしょう。
猫の長毛種はまだまだたくさん種類がいますが、美しい被毛と健康を保つために定期的なトリミングは必要です。
またティッキングという特徴的な被毛を持つソマリは、短毛種ですが密集して生える被毛なので、抜け毛が残らないようにしっかりトリミングしてあげる必要があるでしょう。
短毛種でも密集して生える被毛や特徴的な被毛を持っているなら、トリミングが必須になってくるかもしれません。
飼い猫の被毛の特徴に合ったトリミングをしてあげましょう。