はじめに
犬を飼いたくても鳴き声が心配だという人は少なくないはずです。鳴き声が大きくてうるさいと近所迷惑になってしまいますし、飼い主や家族のイライラのもとになってしまう可能性もあります。
では鳴き声が小さい犬はいないのでしょうか?そこで今回は、鳴き声が小さい犬について紹介したいと思います。
鳴き声が小さい犬
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鳴き声が小さい犬、または無駄に鳴くことが少ないとされる犬を紹介します。犬が欲しいけど、鳴き声がうるさいのは嫌だという人は参考にしてください。
ブルドッグ
「ブル(Bull)」とは英語で雄牛のことです。かつて、数頭のブルドッグを放ち、雄牛に噛みついて倒すという見世物がエンターテイメントとして人気を博していました。この見世物に特化した犬種としてブルドッグは作出されました。とにかく強く、獰猛で攻撃的な犬種として改良されたのです。
短頭種、つまり鼻ペチャが特徴のブルドッグは、敵に噛みつきやすく、噛みついたまま呼吸ができるように改良された結果だと言われています。短頭種は鼻の構造から鳴き声が小さいと言われています。鳴くこと自体も少ないですが、鳴いたとしても周りに響き渡るような大声を出すことはありません。
犬を闘わせる見世物が法律で禁止されるようになると、鼻ペチャで困ったような顔つきのユニークな外見はそのままにし、攻撃性や獰猛な性格だけを抜いて温厚な家庭犬となるよう改良されました。現在イギリス原産のこの中型犬は世界中で根強い人気を誇っています。
フレンチブルドッグ
ブルドッグと同じ短頭種として日本で人気があるのが、フレンチブルドッグです。この犬種は、19世紀後半にフランスに渡ったブルドッグが品種改良され、家庭犬として飼育されるようになりました。ブルドッグよりも一回り小さく、温厚で人懐っこい性格ゆえに人気犬種となっています。
ブルドッグがベースになっている通り、フレンチブルドッグも無駄に鳴くことが少なく、鳴いたとしても声が小さい犬です。しかしブルドッグと同じく頑固なところがあり、興奮しやすいので注意が必要です。
また鳴き声は小さいですが、いびきをかく犬として知られているので、それが気になってしまう人もいるかもしれません。
ボストンテリア
フレンチブルドッグと非常に似ており、血統書の発行のためにDNA鑑定をするほどだというのがボストンテリアです。
ボストンテリアはその名の通りアメリカのボストンで作出された小型犬種です。19世紀後半にイングリッシュテリアとブルドッグを交配させて生まれたジャッジと呼ばれる犬がベースとなり、現在ではアメリカをはじめ日本でも人気の高い犬種になっています。
ブルドッグと同じく闘犬として歴史が始まりましたが、闘犬が禁止されるようになると小型に改良され、闘争心が薄れて優しくて人懐っこい家庭犬として愛されるようになりました。
黒と白の毛色はまるでタキシードを着ているように見えます。他の短頭種に比べるとスリムな体つきをしていて、「タキシードを着たアメリカ紳士」と呼ばれることもあります。
ボストン大学のマスコットとしても有名なボストンテリアは、やはり他の短頭種と同じく大きな声で鳴くことが少ない犬種です。家庭犬として飼いやすい犬種で、遊ぶのが大好きですが家の中では行儀がとてもいいと言われています。ただしちゃんとかまってあげないと嫉妬してしまう繊細さがあるので注意が必要です。
パグ
パグも鼻ペチャで大きな瞳が特徴的な人気犬種です。ブルドッグに似ていると言われることがありますが、パグは中国原産の犬種です。
チベタンスパニエルやペキニーズとの交配により小型で鼻ペチャのかわいらしい容姿になったと考えられています。中国の皇室で大切に飼育されてきたパグですが、やがてオランダに渡るようになりました。
ヨーロッパに渡ったパグは王室や貴族の間で爆発的な人気を得るようになり、やがてイギリスやアメリカにも渡るようになりました。しわくちゃで愛嬌のある見た目はブルドッグなどの短頭種に非常に似ています。鳴き声も低くて小さいとされており、鳴き声が小さい犬を探している人にはピッタリの犬種だと言えるでしょう。
鼻がつぶれているため、寝る時にいびきをかくことでも知られています。頑固なところもありますが、明るくて人懐っこい犬種として人気があります。
シーズー
豊富な被毛がまるでライオンのようにエレガントな外見のシーズーは、飼いやすい犬種として人気があります。チベットから中国に贈られたサラアプソとペキニーズを交配させて作出されたのがシーズーです。
ペキニーズのようにライオンのような外見をしているため、中国の皇族や一般家庭で大切に飼育されてきました。
神聖な犬として門外不出とされていましたが、やがて戦争の影響でイギリスに渡るようになります。ラサアプソ、ペキニーズとの見分けがつかずに同犬種として扱われることがありましたが、シーズークラブの発足とともにイギリスで犬種として認められ、その後アメリカや日本にも渡ってくるようになりました。
鼻ペチャのシーズーも鳴くことが少なく、小型でおとなしいため飼いやすい犬種として評判が高い犬種です。とはいえきちんとしつけがされないと吠え癖が付き、プライドが高くて頑固な性格も相まって飼育が難しくなることがあります。シーズーの性格を把握したうえで根気強くしつける必要があります。
マルチーズ
マルタ島原産のマルチーズは理想的な愛玩犬として根強い人気を持つ犬種です。王族や貴族にも愛され、長い歴史の中で人気犬種としての座を守ってきただけあり、優しくておとなしい性格をしているのが特徴です。
「抱き犬」としても知られており、暴れることが少ない落ち着きのある犬種です。基本的におとなしくて鳴くことも少ないため、日本の住宅事情でも飼いやすい犬種です。実際に日本では長いこと人気ランキングで第1位を記録するなど、家庭犬の代表的な犬種として知られています。
気が強い一面もあり、時には大胆な行動を取ることがあります。見知らぬ人への警戒心があることから番犬にも向いていると言われることがあります。
ヨークシャーテリア
ヨーキーという愛称で人気が高いのがヨークシャーテリアです。もともとはネズミハンターとして作出されイギリスの労働者階級の家庭で重宝されていました。やがて、被毛の美しさや小型で明るい性格が注目されるようになり、貴族の間で飼われるようになりました。ドッグショーに登場するようになると、アメリカにも渡るようになります。
ヨークシャーテリアはさらに小型に改良され、被毛も美しくなります。日本に渡ってくるとマルチーズとともに人気犬種として多くの家庭で飼育されるようになりました。テリア気質があるので手強い一面はありますが、無駄吠えは少ない犬種だとされています。
バセンジー
鳴き声が小さい犬と言うよりは「鳴かない犬」として有名なのがバセンジーです。ペットとして理想の犬とさえ呼ばれることがあるコンゴ共和国原産のバセンジーは、日本では登録数がそれほど多くないので珍しい犬種になります。
バセンジーが発見されたのは1860年代のことです。中央アフリカで探検家たちにより発見されるとイギリスに紹介されるようになります。猟犬としてアフリカの民族とともに暮らしてきたバセンジーは、世界に知られることもなくひっそりと存在していたのです。
ヨーロッパやアメリカに渡ってくると、バセンジーの魅力は瞬く間に広がり、ペットとして飼育されるようになります。ペットとしての歴史が浅いですが、日本でも人気が出るかもしれませんね。
バセンジーは鳴かないだけでなく、しっぽを振らない犬としても知られています。眉間にしわを寄せて無表情なようにも見えますが、心を開くと甘えん坊になると言われています。
また、きれい好きで猫のように毛繕いをする子もいます。ちょっと変わった犬ですが、吠えないというのは集合住宅に住んでいる人にとっては非常に魅力的ですね。