はじめに
猫が自分の爪を噛んでいる様子を見たことがある飼い主さんも少なくないはずです。猫が爪を噛む行為にはどんな意味があるのでしょうか?愛猫が爪を噛み過ぎているならトラブルに繋がることもあるかもしれません。ですから、猫が爪を噛む理由をしっかりと把握しておくことは大切です。
この記事では、猫が爪を噛む理由をご紹介したいと思います。他にも爪を噛み過ぎるとどうなるか、その時の対処法もご紹介します。
猫が爪を噛む理由
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猫と一緒に生活していると、不思議な仕草に目がとまるものです。その中には、「爪を噛む」行為も含まれていることでしょう。
猫は自分の手のひらを自分の方に向けて小さな指を開きます。そして、爪を一本ずつ舐めたりガジガジと噛んだりするのです。あまりにも頻度が高いと爪や指に悪影響を及ぼしてしまうのではないかと心配になってしまうでしょう。
これから猫が爪を噛む理由をご紹介したいと思います。理由が分かると、猫が爪を噛む行為に対してあまり心配しなくなるでしょう。また、爪や指のトラブルがあった場合も発見しやすくなるでしょう。
グルーミング
猫が爪を噛む理由のほとんどは「グルーミング」だと言われています。グルーミング=毛繕いのイメージを持っている人が多いと思います。しかし実はグルーミングは毛繕いだけにとどまりません。
グルーミングは、身体の衛生や機能維持を目的として行われるもので、毛繕いのほかにノミ取り、爪のメンテナンスが含まれます。
猫たちは自分たちの爪をメンテナンスするために、爪を噛んでいるのですね。しかし爪を噛むことがどうしてメンテナンスになるのでしょうか?猫の爪の構造を理解するなら、その理由にも納得できるでしょう。
猫の爪はいくつもの薄い爪の層が重なったものです。新しい爪の層は内側から生えてくるようになっています。新しい爪が生えてくると古い爪はどんどん外側に押し出されていって、一番外側の古い爪は剥がれ落ちるようになっているのです。
古い爪は放っておくことで自然と剥がれ落ちるものですが、猫たちは身体のメンテナンスを怠りません。自分で外側の古い剥がれそうな爪をきれいに取り除いているのです。この行為が、爪を噛む行為に該当するのですね。
では爪のメンテナンスを怠るとどうなるでしょうか?爪が伸びてしまって、どこかにひっかけて根元から折れてしまうこともあります。大事故につながらないためにも、猫にとってグルーミングは大切です。また、猫が爪を噛む仕草が増えているようであれば、爪切りで伸びた爪をカットしてあげるといいでしょう。
ストレス
猫たちはストレスが溜まると、一定の行動を繰り返すことがあります。例えば、何度も鳴き続けたり、自分の身体を噛み続けたりするのです。身体が傷ついて出血があっても、その行為をやめないこともあるでしょう。
猫が爪を噛む行為も、ストレスが原因かもしれません。何度も何度も自分の爪を噛み続けるのであれば注意したほうがいいでしょう。
単なるグルーミングであれば、噛む行為はすぐに終わります。ストレスが原因であれば、十分メンテナンスは終わっているのにも関わらず、いつまでも爪を噛み続けるでしょう。
人間でもストレスが溜まったときの逃避行動のようなものがあります。例えば、指の爪を歯でかじることが癖になっている人がいます。普段は単なる癖程度なので、集中したり考え事をしたりするときに表れる程度ですが、過剰なストレスがかかると病的なほどまでに爪を噛む行為を続けてしまう人もいるようです。
同様に猫も、強いストレスや慢性的なストレスによって精神状態が不安定になると、逃避行動によって爪を噛み続けてしまうのです。
猫がストレスで爪を噛む場合は、他にもストレス行動を引き起こしていないか観察してみてください。例えば、食欲不振になったり下痢や軟便になったりしているかもしれません。過剰な毛繕いをおこなったり、同じ場所をウロウロと落ち着きなく歩き回ったりしているかもしれません。
ストレスによるものであるなら、ストレスの原因を取り除くか、ストレスを発散させるよう意識してあげましょう。
さらに猫は、周囲の環境でストレスを抱えてしまうことがあります。騒音や多頭飼いによる他の猫からの圧力が原因かもしれません。また、飼い主さんが厳しく怒鳴ったり暴力を振るったりすることが原因となっているかもしれません。
ストレスの原因をすぐに取り除くことが難しい場合は、なるべくストレス発散させてあげるべきです。猫は暗くて狭い場所で安心出来ますから、そうした場所を与えることができます。また一緒におもちゃなどで遊んだり、外に連れ出して気分転換させたりする方法も良いでしょう。
かゆみや痛みがある
猫が爪を噛むのは、爪や指にかゆみや痛みを感じていることが理由となっているのかもしれません。
ノミやダニなどが原因で手の周辺にかゆみを感じることもあるでしょう。ノミやダニが原因の場合は爪を噛む頻度も高くありませんから、特に気にする必要がありません。また、爪に汚れが溜まっていて痒く感じることもあるようです。飼い主さんが汚れを取り除いてあげると、すっきりして爪を噛むこともなくなるでしょう。
しかし、痒そうにしていて何度も何度も手を噛むのであれば、爪や指に異変がないか確認してください。赤くなっていたりするなら何かの皮膚病にかかっているのかもしれないからです。
また爪や指に痛みがある場合でも、猫は自分の指を噛むようになります。爪が割れていたり指にけがをしていたりすることが原因かもしれません。病気にかかっていることが原因で痛みや痒みが生じているのかもしれませんね。
爪の痛みは何らかの対処や治療が必要な場合が多いです。放っておくのではなく、薬を塗ってあげたり病院に連れて行ってあげたりしましょう。
猫が爪を噛み過ぎるとどうなる?
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猫が爪を噛む理由をいくつか知ることが出来ましたね。大抵の場合はグルーミングが理由となっているので、そこまで心配する必要はありません。しかし、爪を噛む頻度があまりにも多いようであれば、少し警戒しておくと良いでしょう。
猫が爪を噛み過ぎるなら爪にトラブルが生じてしまうこともあるからです。爪を噛み過ぎるなら、大切な爪が割れてしまったり、指から出血したりすることもあります。
割れる
猫の爪はいろいろな要因で割れてしまうことがあります。
例えば、爪のお手入れを怠っているなら、カーペットなどに爪が引っ掛かってしまい折れたり割れたりしてしまうでしょう。
また、爪切りが上手に行えていないことで、爪が割れたり、折れたりすることがあります。爪切りが難しいなら、ペットサロンなどにお願いしたり、上手な方法を学ぶようにしましょう。猫用の爪切りを活用するなら上手にカット出来ますよ。
さらに猫が自分で爪を割ることもあります。主に噛み過ぎることが原因です。爪の手入れを怠っているわけでも、爪切りを失敗したわけでもないなら、噛み過ぎの可能性が高いでしょう。
先ほども述べたように、猫が不必要に爪を噛んでしまうのは、その行為が癖になっているか、ストレスが溜まっているか、痒みなどがあるかのいずれかです。通常のグルーミングでやりすぎてしまうことはあまりありません。
頻繁に爪を噛んでいるなら、爪が割れてしまう前に原因を無くすようにしましょう。
出血する
猫が爪を噛み過ぎるなら、出血してしまうこともあります。
爪が割れたり根元から折れたりことで出血する場合もありますし、指や手が歯によって傷ついて出血する可能性もあります。どちらにせよ放置するなら傷から菌が入ったりしますし、不衛生な状態が続くことになります。しっかり処置することをおすすめします。