はじめに
やんちゃな猫ちゃんたちのしつけに困っている飼い主さんは多いでしょう。猫にはなるべく負担をかけないで、効果的にしつけができるといいですよね。そんな飼い主さんには「霧吹き」によるしつけをおすすめします。そこで今回は、霧吹きを使ったしつけの方法やメリットなどをご紹介したいと思います。
猫のしつけと方法
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猫をしっかりとしつけることを難しく感じている人は多いはずです。実際「犬はしつけることが出来るが、猫は難しい」と考えている人が多いことからも、猫のしつけはペットの中でも難しいものだという事が分かります。
ではきちんと猫をしつけることは出来るのでしょうか?また猫をしつける方法にはどんなものがあるのでしょうか?
猫をしつけることってできるの?
猫をしつける事はできるのでしょうか?難しさはありますが、飼い主さんが正しい方法を学べばしっかりとしつけてあげることが出来ます。しかし、犬と同じような方法で猫をしつけてもうまくいかない事が多いようです。
犬は群れで生活する動物です。群れの中にはリーダーがいて上下関係がしっかりと作られます。飼い犬であっても本能的に群れを作ろうとしますし、上下関係のルールに従って生きようとします。ですから、「誰かに服従する」という考えが染みついていますし、飼い主さんに対しても服従することが出来るのです。
しかし、猫はそのような服従心を持っていません。なぜなら、猫は群れで生活しないからです。野生で生活している猫の中には群れをつくる子たちもいます。メス猫は比較的群れになる傾向が強いようです。しかし、すべてのメス猫が群れをつくるわけではありませんし、オス猫は基本的に単独行動します。
そのため、猫は犬とは違い「他者に服従する」という考えを持ち合わせていません。飼い主さんに対しても、服従するのではなく、同じ立場を保っていると考えていたり、利害関係としてとらえていたりするのです。
猫のしつける方法とは?
では、服従心を持っていない猫をしつけるにはどうすればいいのでしょうか?大切なのは、猫のしつけに飼い主への服従心を利用しないことです。
「飼い主が命令しているから」という考えは猫には通用しません。むしろ、猫の損得勘定に訴える方が効果的です。猫に「これをすれば良いことがある」「これをしてしまうと嫌なことが起こる」と考えさえるのです。
「飼い主が怒ってしつけする」という方法は、猫に警戒心を与えてしまうので逆効果です。
ですから、「ある家具を噛んだら変な味がした」とか「カーテンを引っ張ったら身体に嫌な刺激が走る」といった嫌な経験をすると、同じ事を猫はしなくなるでしょう。
効果的な方法とされているなかに、「霧吹き」を使ったしつけがあります。これから霧吹きで猫をどのようにしつけることが出来るのかを紹介したいと思います。
猫のしつけには霧吹きを使ってみよう!
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猫をしつける方法には、霧吹きを用いるものがあります。霧吹きを用いるなら猫に過剰な負担をかけずに、しつけてあげることができるので効果的です。
ここでは霧吹きでのしつけの方法を順番にご説明します。また、霧吹きを用いたしつけで大切なポイントも見ていきましょう。
霧吹きを使ったしつけの方法
1.霧吹きを準備しておきましょう。どんなタイプの霧吹きでも構いません。霧吹きの中には猫に害を与えない水をいれておくだけで大丈夫です。このしつけ方法はタイミングが重要になってきますので、霧吹きはすぐに取り出せる場所に保管しておくようにしましょう。
2.猫が家具をボロボロに噛んだり引っかいたりするでしょう。カーテンなどでも遊ぶかもしれません。猫がイタズラしている場面を見かけたなら、できるだけ猫に気付かれないように静かに近づきます。
3.イタズラに夢中になっている猫に対して後ろから霧吹きを吹きかけます。猫は水に濡れるのが嫌いなので、霧吹きで水をスプレーされるだけでもびっくりして、いたずらを一時中断します。
4.猫がイタズラをするたびに、同じように後ろから霧吹きを吹きかけるようにしましょう。猫はイタズラをすると、身体が水でぬれてしまうことを学習して、徐々にイタズラをしなくなるでしょう。
大切なポイント
霧吹きによるしつけ方法を行なう際の大切なポイントをご紹介します。
一つは、「猫がイタズラをしなくなるまで出来るだけ続ける」ということです。これは物事に一貫性を持たせることが関係しています。
猫には「カーテンで遊んだら身体が水で濡れる」「家具を噛んだら身体が水で濡れる」ということを学習してもらわなければいけません。
スプレーされたりされなかったりすると、猫も「たまたま身体が濡れた」と考えてしまい、自分のイタズラとは結び付けにくいかもしれません。ですから、猫がしっかりと因果関係を理解できるまで続けてあげることが大切になります。
もう一つは、「なるべく飼い主さんがスプレーしたと思わせないようにする」ことです。
猫は耳や鼻が良いので、飼い主さんが近づいてきたことにすぐに気付きます。それでも、「飼い主さんが直接自分に攻撃した」と思わせないことが大切です。
もし、飼い主さんが攻撃しているとはっきりと分かるなら、「カーテンや家具にイタズラすることへの警戒」ではなく、「飼い主さんを警戒」してしまうようになります。
そうすると、飼い主さんがいないところでは、イタズラを続けてしまいますし、飼い主さんには近づかなくなってしまうでしょう。せっかく猫に愛情をもってお世話してあげているのに、猫に嫌われてしまったら本末転倒ですよね。
霧吹きでしつけを行なう際には、これらの大切なポイントをいつも覚えておくようにしましょう。そうするなら、猫をしっかりとしつけることができるかもしれませんよ。
猫のしつけに霧吹きが効果的な理由
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猫をしつける方法は他にもたくさんあります。その中でも霧吹きが効果的だと言える理由はどこにあるのでしょうか?いくつかのメリットをご紹介しますね。きっと、皆さんも霧吹きしつけにチャレンジしたくなるに違いありません。
1.猫に身体的な害を与えない
霧吹きの中に入れるものはただの水です。猫への身体的な影響がほとんどありません。身体が多少濡れるだけなので、霧吹きが原因で体調を崩すことも無いはずです。
猫をしつけようとする人の中には、猫を叩いたりつねったりする人がいます。これだと猫の身体にはダメージが蓄積されてしまいます。人間の力は猫にとっては強すぎる場合もあります。咄嗟に力が入ってしまって、猫が怪我してしまう可能性もあるのです。
また、精神的なストレスも、他の方法に比べると抑えることができます。もちろん、霧吹きは猫にとって不快ですから、精神的なストレスを与えないわけではありません。それが嫌になってイタズラをやめさせる目的がありますから、ある程度はしつけに必要なことと捉えることが出来るでしょう。
反対に「怒鳴る」などの方法は、時にやりすぎてしまう場合があります。必要以上に大声を出してしまったり、鋭い声で怒鳴ってしまったりすることがあるでしょう。気の弱い猫はそれだけでトラウマになってしまうこともあります。
霧吹きは適度に不快感を与えることができますし、やりすぎることもありません。この点で、他のしつけ方法に比べて大きなメリットがあると言えるでしょう。
2.周囲に被害が無い
霧吹きには水を使用しますから、周囲への被害が少ないのも大きなメリットと言えます。
水以外のものでスプレーすると、その成分によって家具やカーテン、洋服にシミが出来てしまうことがあります。水の霧吹きであれば、付着する水分量は少ないですし、シミになることも無くすぐに乾きます。
しつけにはタイミングが大切ですから、どんな場所でイタズラをしていたとしても咄嗟にスプレーできて大変おすすめです。
3.飼い主が行ったと悟られにくい
飼い主さんが直接叩いたり、怒鳴ったりする方法だと、猫への負担が大きいうえに飼い主さんが行ったことが明らかです。しつけがされるたびに、猫は飼い主さんへの警戒心を深めてしまうでしょう。
その点、霧吹きであれば、飼い主さんが行ったと悟られにくいというメリットがあります。猫がいたずらに夢中になっている背後からスプレーすれば、なかなか気づかれにくいでしょう。
もちろん、猫はビックリして飼い主さんの方を見るかもしれませんが、直接行動を起こしている場面を目撃していないので、悟られにくいのです。また、水に濡れて不快に感じるだけなので、飼い主さんの行動とは結び付けづらいでしょう。
霧吹き番外編:しつけ用スプレー
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これまで霧吹きによるしつけ方法をご紹介してきましたが、番外編として、市販されているしつけ用スプレーについてもご紹介したいと思います。
しつけ用スプレーは霧吹きとはしつけ方法が異なりますので、どちらの方法も知っておくとしつけ方法の幅が広がって融通が利きますよ。
しつけ用スプレーとは?
市販されているしつけ用スプレーとはどんなものでしょうか?
しつけ用スプレーの多くは、そのスプレーの中に柑橘系の成分が含まれています。使用方法も異なっており、猫に直接スプレーするのではなく、猫がイタズラする対象物にスプレーをすることで、イタズラを抑制することが出来るものです。
どんな効果があるの?
猫は柑橘系の香りを嫌う傾向があります。それで、猫がイタズラしてしまう家具などにスプレーすることで、嫌いなニオイがするものから離れさせる効果があります。
特に噛み癖を治すために活用されることが多いでしょう。あらかじめスプレーしておけば、猫がいつものように噛んだときに、口中に柑橘類の味と香りが広がります。猫がそれを嫌がるので、次回から噛まなくなるのです。
また、スプレーした場所からは、柑橘類の香りが漂うようになりますので、ニオイを嫌う猫はその周辺で過ごしたり遊んだりすることも無くなるかもしれません。
しかし、しつけ用スプレーの効果は猫によっても大きく異なるようです。猫は基本的に柑橘類の香りを好みませんが、中には気にしない猫もいるからです。とはいえ、ほとんどの猫に効果的ですので、噛み癖で困っている飼い主さんは一度チャレンジしてみるといいでしょう。