犬の爪の仕組み
Annette Shaff/shutterstock.com
みなさんは犬の「狼爪(ろうそう)」をご存知ですか?狼爪とは犬の足の離れた部分に1本だけある黒い爪のことです。
なぜ離れたところにあるのでしょうか?この記事では犬の狼爪について詳しく解説していきたいと思います。まず犬の爪の仕組みを簡単にご説明しましょう。
犬の爪には白い透明な爪と黒い爪の2種類ありますが、どちらも同じ仕組みです。犬は前足に5本(狼爪を含む)、後ろ足に4本(グレートピレニーズは6本・雑種は個体によって5本)の爪を持っています。
前足は歩いたり走ったりする際に地面を叩く役割があり、後ろ足には地面を蹴る役割があります。そのため、前足よりも後ろ足の爪の方が短いのが特徴です。また個々の犬の爪の状態をみると、散歩でよく引っ張る犬や散歩にほとんど行っていない犬などがよく分かります。
犬の爪切りをする場合、白い爪は血管が透けて見えるため血管の手前で切ることができますが、黒い爪の場合は全く透けていないので爪を切る際には注意が必要です。
犬の狼爪とは?
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犬の足をよく見ると、足の指から離れた部分に黒い何かが生えていることに気づかれることでしょう。これは「狼爪(ろうそう)」と呼ばれる犬の親指のことで、犬の前足や後ろ足の内側についているため、地面に直接接触することはありません。
狼爪は犬がオオカミだった頃の名残と言われているため、ウルフハウンドやシベリアンハスキー、グレートピレニーズなど、比較的オオカミに近い犬種に見られることが多いと言われています。
もちろん一般的に室内で飼育されているチワワなど、他の犬種でも狼爪が生えている犬もいます。一方、ボクサーのように後ろ足が退化した犬は狼爪がないこともあります。
犬の狼爪の役割
犬の狼爪は、犬が先祖から受け継いだ体の特徴のひとつです。犬の狼爪を見て異常や奇形ではないか?と心配される飼い主さんもいますが、先祖からの名残にすぎないので特に心配する必要はありません。
現代では狼爪は特に必要がないと判断されることが多いため、多くのブリーダーさんはケガの予防のために生まれてすぐに狼爪を切除しています。そのためペットショップやブリーダーさんから犬を購入した場合、狼爪を見たことがないという飼い主さんもいるかもしれません。
一方で、犬の前足の狼爪は走る時のクッション機能になっているのではとないかとも考えられています。実際に前足の狼爪がない場合、ケガをするリスクが1.9倍に高まるという研究結果も発表されています。
その理由としては、狼爪を切除することで他の指に負荷がかかり、それによってケガを負いやすくなっているという見解です。
しかし、後ろ足の狼爪は歩行にはほぼ役に立たないのが事実です。そのため後ろ足の狼爪は退化して無くなってしまうことが多く、狼爪があったとしても自然になくなってしまうようです。
犬の狼爪で注意したいこと
愛犬に狼爪があるなら、次の点に注意するようにしましょう。
・狼爪を伸ばしすぎない
犬の爪は散歩中に地面と接し摩擦することで削られるため、愛犬の爪切りを日課としている方は少ないものです。
しかし狼爪は地面に接することがないので削られることはありません。そのため狼爪はお手入れをする必要があります。狼爪をケアせずに伸ばしたままにしておくと、ケガをしたり爪を噛んだりといった原因に繋がる可能性があるからです。
また、狼爪が伸びすぎて巻き爪のようになってしまうことで指の先端に爪が食い込んでしまい、刺さった部分が腫れ出血することもあります。犬が留守番中に家具やカーペットなどに狼爪を引っ掛けてしまうと根元から折れてしまい、出血してしまったりパニック状態になってしまったりすることもあるかもしれません。
このように愛犬が痛い思いをする前に、狼爪のケアをしっかり行って対処するのが理想的です。もし狼爪が折れて出血していることに気付いたら、消毒や止血をしてください。傷口を開いたまま散歩をすると感染症の原因となるリスクがありますので、しっかり傷口をケアしましょう。
爪の中には神経や血管が通っているので、折れてしまうと痛みを強く感じているはずです。その際犬は患部を気にして舐めることでしょう。しかし舐めすぎると雑菌が入ってしまい、感染症の原因にもなりますので、コットンやティッシュで保護して患部を舐めないようにしましょう。
ちなみに、人間用の消毒液や軟膏などはあくまでも人間用なので犬に対応していません。どのように対処したらよいのか分からない場合は自己判断するのではなく、すぐに動物病院に連れていくようにしましょう。
・狼爪を切りすぎない
前足の狼爪は骨や筋肉とつながっており、神経や血管なども通っているデリケートな部位です。そのため深く爪を切りすぎてしまうと血管や神経まで切ってしまうことになり、愛犬に出血や痛みを与えてしまいます。
ですから狼爪を切る際には、神経や血管のある層を傷つけないように切ることがとても大切です。
犬の狼爪は切除した方がいい?
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上記でも触れたように、狼爪は先祖から受け継いだ体の特徴であり、現代家庭で飼育されている犬にとっては特に必要がないので、生まれてすぐに狼爪を切除するブリーダーさんは増えています。
生まれたばかりの犬は骨がやわらかく、比較的簡単に狼爪を切除できるという理由から、生後2~7日頃までに無麻酔で切除手術が行われています。
子犬の狼爪切除は将来のケガ防止という予防医学の観点から行われているのが一般的ですが、中には見た目の整形面から狼爪を切除するケースもあるようです。特にドッグショーに出場する犬の場合、狼瘡があると犬種基準からはずれてしまうことがあります。
また、子犬に狼爪があると奇形と勘違いされてしまい、販売価格が下がってしまうために切除しているとも言われています。どんな理由にせよ現代では多くの犬は狼爪がありませんが、中には狼爪を持つ犬もいます。
では、もし愛犬に狼爪が見つかったら切除したほうがいいのでしょうか?狼爪が伸びた状態になっているとケガの原因になる可能性があるので、もし日常生活に支障が出るようであれば、切除手術を検討することができるかもしれません。
成犬の場合は狼爪の根元から切り落とし、皮膚を1~2針縫うだけの簡単な手術ですが、全身麻酔を伴った切除手術となり、費用相場は5千円~1万円程度と言われています。
手術自体は簡単だとしても犬にとっては強い痛みとストレスを伴うことに加え、全身麻酔は犬の体に負担をなることを念頭に入れておきましょう。
もし愛犬に手術を受けさせるのはかわいそう・・と思われて狼爪を残すことに決めた場合は、定期的に爪切りをしケガをしないようにさせることが大切です。