里親詐欺とは?
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みなさんは猫の”里親詐欺”を知っていますか?猫の里親詐欺とはその名の通り、”里親になります”と偽り、猫をもらおうとする人のことです。近年里親詐欺が増えているので注意する必要があります。
なぜそこまでして猫を欲しがるのかは、ペットを愛している人からすれば理解することは難しいことです。なぜ猫をわざわざ引き取ろうとするのでしょうか?
それは動物実験のために販売する、三味線の皮として販売する、毛皮として販売する、食肉として販売する、虐待やアニマルホルダーなどの理由が考えられます。
”日本でペットが食肉になるなんで・・!”と信じられない方もいることでしょう。しかし日本のある地域では、特に猫は民間療法の喘息の薬になると古くから信じられています。
実際たくさんの猫がいなくなったことがあり、さまざま人がその地域の愛護センターや保護団体などに通報しました。その結果、猫肉を販売している人たちが見つかりました。室内ではたくさんの猫が逃げないようにブロックで繋がれていたようです。愛護センターや保護団体が彼らを説得し、すべての猫を引き取ったという事件がありました。
また日本の伝統楽器である三味線は猫の皮が必要なため、販売目的で里親詐欺をする人もいます。さらに異常なほど動物をコレクターするアニマルホーダーは、それなりに猫のことが大好きなので大事に可愛がっている人もいますが、通常では考えられない度を超えた頭数を飼育しているため、正しい飼育がされていません。
特に猫を家の中にたくさん飼育しているアニマルホーダーは多く、ワクチンや避妊・去勢手術がされていないため近親交配で障害をもった猫がたくさんいたり、病気が蔓延したりなど不衛生な状態で飼育されているため、ケースによっては動物虐待とも言えます。
この記事では、里親詐欺の傾向や被害を防ぐための対策法などについて解説していきます。
こんな人は里親詐欺に狙われやすい!
インターネットの普及に伴い、今は気軽にSNSなどを通してさまざまな人とコミュニケーションを図ることができます。SNSは里親を探すにはとても便利なツールですが、里親詐欺たちもさまざま人のTwitterやFacebook、Instagramなどをくまなくチェックしています。
たとえば”里親募集”とか”もうこれ以上飼育できない”、”里親が見つかなければ保健所に連れていくかも”などの文面をSNSに記載すると、里親を見つけたがっていることをキャッチし、コンタクトをとってきます。
つまり、里親を焦って探している人は狙われやすいと言えます。また、SNSに”ここには野良猫がたくさんいるよ~”など文面と共に写真を投稿すると場所を特定されてしまい、里親詐欺に情報を提供していることになってしまうので注意が必要です。
さらに里親詐欺の中には、地域で猫活動をしている方のブログなどをしっかり確認して地域を特定し、猫をさらっていく詐欺たちもいます。ですからブログで活動内容や地域を公表している方は、具体的な場所が特定されないよう注意する必要があります。また地域猫が住んでいるエリアに見慣れない捕獲機などがないかどうかを確認してみましょう。
残念なことですが、人懐っこい猫ほど里親詐欺にあいやすく、虐待の被害に遭っています。地域猫は地域の方からお世話を受けているので人懐っこい猫が多いのが特徴的ですが、かえってそれが仇となり、捕獲しやすい詐欺のターゲットとなっているのです。
里親詐欺の特徴とは?
里親詐欺の特徴を掴むことができれば、虐待の被害に遭う猫を助けることができます。しかし里親詐欺とすぐに分かる特徴を見つけるのは簡単なことではありません。
里親詐欺の中には家族連れを装って猫をもらいにくる人もいるほどです。ですから少しでも怪しいと感じるなら、猫をあげないほうがいいでしょう。また次のようなタイプの人は注意が必要です。
・自分ではなく友人や職場の人が飼う場合
家族に内緒のサプライズプレゼントとしてもらう人も中にはいます。本人を含めた家族が飼育するのであれば問題ありませんが、友人や職場の同僚などに内緒でプレゼントすることはまずありえません。
もし連絡してきた本人以外の人が欲しがっていると言う場合は、欲しがっている人と直接話がしたい旨を述べ、第三者に猫を譲ることをしないようにしましょう。
・早く猫をもらおうとする人
あまりにも早く猫をもらいたがる人は怪しいので注意が必要です。猫を譲る前に、面接をして渡しても大丈夫かどうかをしっかり判断しましょう。
猫を譲渡するときに気を付けるべきこと
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では実際に猫を譲渡することになった場合、どんな点に気を付けることができるでしょうか?
多頭飼育していないか
猫を譲渡する前に、すでに猫を飼育しているかどうかを確認することは大切です。すでに多頭飼育をしているならアニマルホーダーの可能性があります。もちろん多頭飼育でも愛情をもって飼育している方もいるので、すべてが里親詐欺疑惑があるというわけではありません。
そこできちんと去勢避妊手術をしているか、ワクチン接種をしているかなどについて質問してみましょう。もしその答えに疑いがあるなら、かかりつけの動物病院などを聞いてみることができるかもしれません。
譲渡する猫をその人の自宅まで届ける
里親詐欺たちの中には、ペット飼育不可のマンションやアパートに住んでいたり、猫を飼育できるような環境ではない場所に住んでいたりする人もいます。
ですから猫を欲しいという人が見つかったら、どんな場所で飼育するのかを確認する意味も込めて、譲渡する自宅まで届けることができるでしょう。猫が欲しくてたまらない正常な人であれば、自宅まで届けるという申し出を断るはずがありません。
書面交換をする
猫は生き物ですので病気をする可能性もあります。ですから猫を飼育する条件には、必要な医療を受けさせることができる経済力も求められています。
たとえ里親詐欺ではなくても、里親詐欺防止のためにも、譲渡する場合は里親契約の文章を作成して交換することは大切です。
里親契約に虐待している事実や販売した事実、知らない人に引き渡したりする事実が発覚した場合は、告訴できる権利がある旨を記載することができるかもしれません。
実際にあった里親詐欺事件
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犬や猫を里親として育てますと言って引き取りながら、譲渡した動物がすぐにいなくなる里親詐欺は近年増加しています。その多くは同時期に複数の里親希望をだし、一気に複数の動物を引き受けているパターンが多いようです。
そして動物がいなくなったことを問い詰めると、逃げた、病気で死んだ、保健所に連れていったなど明確な手掛かりが見つからないケースが多いと言われています。実際にあった里親詐欺事件をご紹介しましょう。
高層階のワンルームマンションに住むひとりの若い女性は2ヶ月半の間に、9人のボランティア団体から17匹の猫を異なる機会に譲渡していました。その多くは行方が分かっておらず、里親詐欺として法廷にかけられました。
法廷では全部で30~40匹の猫を譲り受けたと証言していることから、多くの猫が里親詐欺の被害にあったと考えられます。