ペットを安易な理由で捨てる人は少なくない
Annette Shaff/shutterstock.com
犬でも猫でも、何かの動物を飼うということは簡単なことではありません。最初のうちは、どんなイタズラをされても可愛いと許せるかもしれませんが、次第にペットを飼っていることを、負担に感じる人も少なくありません。
残念なことに、「イメージと違った」などという安易な理由で、ペットの飼育を放棄してしまう飼い主もいます。今回の記事では、そうした不幸を生じさせないために、多くの飼い主が感じている「猫を飼っていて後悔したこと」についてご紹介します。
猫を飼っていると、どんなデメリットがあるのでしょうか。どんな点が負担になるのでしょうか。猫を飼って後悔しがちなポイントについて解説します。
また、飼い始めてから後悔しないために、猫を家に迎え入れる前に考えておくべきポイントについてもご紹介します。
猫を飼うと後悔すること
Africa Studio/shutterstock.com
では、実際に猫を飼っている人は、どんな点を負担に感じているのでしょうか。多くの飼い主が実感している、猫を飼うデメリットについてご紹介します。
出費が多い
猫を飼い始めると、意外とお金がかかります。最初に必要になるのが、猫を購入するための費用です。希少性の高い一部の高額な猫を除いても、数万円から数十万円のお金が必要です。
例えば、人気の高い「アメリカンショートヘア」は、10万から25万くらいの値段で取引されています。また、「マンチカン」は、5万から25万程度で販売されています。
猫を飼育するには、猫を購入する費用だけでなく、様々な備品をそろえたり、家に迎え入れる前に「ワクチン」を摂取させるために、多くのお金が必要になります。
猫を飼育するために必要な備品としては、「トイレ」や「ゲージ」、「爪とぎ」が「爪切り」、「フードボウル」や「水用のボール」などです。すべての備品をそろえるために、数万円の費用が掛かります。
また、通称「コアワクチン」と呼ばれる「3種混合ワクチン」は、猫を飼育するうえで絶対に必要なワクチンです。「猫ウイルス性鼻器官支炎」と「猫汎白血球減少症」、「猫カリシウイルス感染症」の3つの病気に対応するためのワクチンが含まれています。
さらに、「猫白血病ウイルス感染症」や「猫クラミジア感染症」に対するワクチンを追加した、「4種混合ワクチン」や「5種混合ワクチン」などがあります。
一般的なワクチン接種費用は、「3種混合ワクチン」が5000円前後です。「4種混合ワクチン」や「5種混合ワクチン」など、ワクチンを追加していくごとに値段は上がっていきます。
さらに、「キャットフード」やトイレ用の「猫砂」などは、消耗品なので定期的に購入する必要があります。どれくらいの品質の商品を購入するかによって異なりますが、毎月数千円の出費が生じます。
加えて、万が一の病気や怪我に備えて、月額制のペット保険などに加入する人も少なくありません。500円から600円程度で加入できる安いペット保険から、1000円以上するペット保険もあります。
あまりに安いペット保険を選択すると、「通院のみ」や「手術のみ」など、保証範囲が限られているケースが多いようです。月々の保険料を数百円節約しようとしたために、入院治療が必要になった猫ちゃんのために、多くの治療費がかかるという場合もあります。
このように、猫ちゃんを飼うには意外とお金がかかります。最初は、猫ちゃんを飼うために多少の出費を覚悟していても、収入の減少などにより経済状態などが変化して、後悔している飼い主もいます。
旅行に行けない
猫を飼っている人の共通した悩みとして、気軽に旅行に行けなくなることがあります。日帰りの旅行であったり、一泊程度の短期間の旅行であれば、エサや水などをきちんと準備しておけば、猫を家に置いて出かけることができないわけではありません。
しかし、猫を飼うと二泊以上の長期間の旅行は難しくなります。キャットフードや水は、数日分用意して置くことができますが、トイレのお世話は家に帰らないとできません。
外泊する時のために、複数のトイレ用ゲージを用意する人もいます。しかし、室内の喚起を十分に行えなかったり、臭いがこもってしまったりと、衛生的に問題が生じることも多いようです。
近くに預かってもらえる親族や友人がいれば、留守にしている間のお世話をお願いできるかもしれません。しかし、頼める人が近くにいない場合には、動物病院やペットホテルなどに預ける必要があります。
猫ちゃんの宿泊料金は、お部屋の大きさや設備などによって大きく異なります。安いペットホテルだと、1泊2日で2000円程度から宿泊させることが可能です。設備が充実していたり、大きいお部屋の場合には、1泊2日で5000円くらいする場合もあります。
注意が必要な点として、慣れない環境に置かれると、猫ちゃんは不安を感じてしまいます。中には、強いストレスゆえに体調を崩してしまう場合もあります。また、飼い主に対する怒りから、物を落としたり、噛みちぎったりするなどの破壊行動をする猫ちゃんもいます。
どうしても長期間家を留守にする必要があり、誰かに猫ちゃんをお世話してもらう場合には、お願いする人に家に遊びに来てもらい、事前に猫ちゃんとの相性を確かめておく方が無難かもしれません。
お世話が大変
自由気ままに生活しているイメージの猫ちゃんは、そんなにお世話が必要ではないと考えている人が多くいます。確かに、毎日散歩させる必要のあるワンちゃんと比べれば、毎日の負担は少ないかもしれません。
しかし、お世話が不要なわけではありません。当然ですが、エサをあげたり、飲み水を入れ替えたりと、猫ちゃんのために毎日食事を準備してあげる必要があります。赤ちゃんと同じように、真夜中や早朝など、飼い主の都合はお構いなく、ご飯を要求してきます。
また、猫は自分で舐めて毛づくろいをするので、基本的にはお風呂に入れたり、「トリミング」する必要性が、犬に比べると少ないと言えます。
しかし、猫が自分で行う毛づくろいには限界があります。場合によっては、猫が自分の被毛を舐めすぎてしまい、皮膚病などの病気を発症するケースもあります。
飼育する猫の種類によって、被毛の長さや質は異なります。しかし、どのタイプの猫を飼育するとしても、定期的に「トリミング」を行って、被毛の健康状態をチェックする必要があります。
さらに、多くの飼い主を悩ませているのが、猫の臭いです。猫のうんちやおしっこは、想像以上に臭いです。小まめに排泄物を片づけてあげないと、部屋に臭いが染みついてしまいます。
特に発情期を迎えると、猫ちゃんにはマーキングする習性があるので、普段よりも臭いが強烈なおしっこをするようになります。お尻の近くの被毛におしっこが付着して、臭いを発することもあります。
加えて、猫ちゃんは清潔な環境を好む動物なので、トイレの中が汚れた状態で放置されていると、ストレスを感じてしまうようです。毎日、猫ちゃんの臭いうんちを片づけなければいけないという状況は、忙しく生活している人にとって大きな負担になります。
このように、猫ちゃんを飼い始めると、生活の中心に猫ちゃんのお世話が入り込んでくるので、自分の時間を作ることが難しくなります。猫ちゃんのお世話に疲れてしまい、ストレスを感じたり、後悔する飼い主もいるようです。
部屋が汚くなる
猫ちゃんを飼う上で覚悟しなければならないことの一つは、部屋が荒れる可能性があるということです。猫はいたるところで「爪とぎ」をします。爪を研ぐことは、猫ちゃんの習性なので、しつけなどでやめさせることは難しいようです。
障子や襖(ふすま)などが、猫ちゃんに引っかかれてしまい、破られてボロボロになってしまうのは、猫を飼ったことのある人であれば、恐らく誰もが経験することでしょう。
大切な家具などを壊されてしまったり、電源コードなどのケーブル類が噛まれて断線してしまうことも良くあります。
また、飼い主の注意を引こうとして「イタズラ」することもありません。テーブルの上においてあるものを落とすなど、質の悪い「イタズラ」をする場合もあります。大切にしていた食器などを壊されてしまうと、ついカッとなってしまう飼い主も少なくありません。
勝手にゴミ箱をあさって部屋を散らかしたり、ティッシュペーパーやトイレットペーパーなどの紙類を噛みちぎって遊んだりすることもあります。
猫ちゃんを飼うと、こうしたイタズラ行為によって部屋が汚れていき、とっても「生活感」のある空間になってしまいます。「いつも美しい状態に部屋を保ちたい」という奇麗好きの人は、部屋が汚くなることによって、猫を飼ったことを後悔する場合があります。
ペットロスになる
猫を飼っていて一番辛いと感じるのは、最愛のペットが亡くなるを見届けなければならないことです。平成27年に行われた調査によると、飼い猫の平均寿命は「15.8歳」です。
動物医療の発展や生活環境の改善、キャットフードの品質向上などによって、平均寿命は年々増加傾向にあります。しかし、人間と比べると依然として圧倒的に短いので、愛猫が加齢に伴って衰弱していくのを、飼い主は目の当たりすることになります。
最近まで元気に遊んでいた猫ちゃんが、だんだん元気がなくなり、自分で歩けなくなってしまう姿を見るのは、飼い主にとってとても悲しい経験です。自分でエサを食べれなくなったり、トイレの失敗が増えたりなど、猫ちゃんの老後のお世話はとても大変です。
そして、猫ちゃんが亡くなった後は、通称「ペットロス症候群」と呼ばれる症状に陥る飼い主も多くいます。猫ちゃんを失った悲しみから、感情的に不安定になってしまうのです。
加齢によって亡くなる場合よりも、事故や病気などによって、突然猫ちゃんを失く方が、「ペットロス」になりやすいと言われています。
「ペットロス症候群」になってしまうと、深い悲しみや苦しみに襲われます。結果として、猫ちゃんを飼ったことを後悔したり、もう二度と猫は飼わないという気持ちになる人がいます。