寝相から読み取る犬の心理とは?
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言葉を話すことができない犬たちは、さまざまなボディーランゲージで飼い主さんに気持ちを伝えています。何気ない行動をよく観察してみると、愛犬の気持ちを知ったりコミュニケーションを取ったりできるでしょう。
ボディーランゲージのひとつに寝ている格好、つまり「寝相」から読みとることができる愛犬の心理があります。可愛い寝ている姿から愛犬の心理を知っておくと、さらに絆は深まることでしょう。
それでは、寝相から読み取ることができる犬の心理について一緒にみていきましょう。
犬の睡眠時間はどれくらい?
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犬にとって平均的な睡眠時間はどのくらいでしょうか。犬は人間と比較すると寝ている時間が長いような気がしますよね。
人間と同じで犬たちも世代ごとに睡眠時間が変わりますが、いったいどのくらいの時間犬は眠っているのでしょうか。
成犬の睡眠時間
まずは成犬の睡眠時間ですが、12~15時間くらいの睡眠が平均的な数値と言われています。一日の半分くらいは睡眠の時間に充てることになりますが、犬たちの世界ではごくごく普通のことです。
体をしっかり休め、活動のためのエネルギーを蓄えることにつながるのです。身体の大きな成犬ほど長く眠る傾向が見られるようです。
子犬の睡眠時間
次に幼少期と言われる子犬ですが、成長段階ですので長めの睡眠時間が必要になります。「やんちゃ」という言葉がぴったりの子犬たちは、とにかく好奇心旺盛であらゆるものに興味を示して活動的なので、エネルギーの消費量は多めです。
つまりエネルギッシュに活動すると疲れ、その疲れた分を取り戻すために長い睡眠時間が必要ということになります。だいたい18~19時間眠るのが理想的です。
シニア犬の睡眠時間
シニア期に突入した犬たちも子犬と同じくらいで18~19時間ほど眠ります。老犬になると体力が衰えるので、ちょっとした運動でも疲れてしまいます。疲労を溜めたままのストレス状態は不健康のもとです。活動時間が少なくなり、疲れを取るために長めの睡眠になるのです。
また、外部刺激への反応が鈍くなる分、睡眠時間が長くなるという変化もあります。やがては1日のほとんどを横になって過ごすことが多くなるでしょう。老犬になってくると体調が悪くて起きれないということも生じてきますので、体調管理には気を配るようにしましょう。
睡眠時間は長いけど熟睡しない
人間と比較すると2倍以上もの長い時間を眠ってる犬たちですが、実はあまり熟睡できていません。それは、犬のレム睡眠とノンレム睡眠のサイクルパターンや割合が人間とは違うからです。
人間は「ぐっすり眠っている熟睡モードのノンレム睡眠」、「体は眠っているのに実は浅い眠りのレム睡眠」を90分間隔で交互に繰り返しています。しかし犬は、このサイクルパターンがさらに短くなり、浅い眠りのレム睡眠の方が約80%と言われています。
つまり睡眠時間として長く眠っていても、全体の約20%しか熟睡モードになっていないというわけです。そのため、寝ている愛犬に声をかけるとすぐに目を開けたり、大きな音でびくっと目を覚ましたりのは当然のことと言えるでしょう。
犬は狩りをして暮らしていた野生時代は、寝ている間でも外敵から身を守り、いつも臨戦態勢でした、熟睡モードで眠っていてはすぐに敵にやられてしまいますよね。そんな野生時代に培った習性が身に着いているので、なかなか熟睡することができないのでしょう。
敵に襲われる危険を感じることがないように、ハウスやクレートを用意してあげて安心して眠れるようにしてあげることもできるでしょう。睡眠時間をたっぷり取り、少しでも熟睡時間を多くしてあげるようにしましょう。
代表的な寝相から知る犬の心理
愛犬の寝ている姿を見ていると飽きないという飼い主さんも多いのではないでしょうか?「可愛いなぁ」と思えるようなキュートな姿から「そんな寝方で大丈夫?!」とビックリするような恰好をして眠っていることもありますよね。中には面白過ぎてスマホのカメラで撮っておくこともあるかもしれません。
バラエティに富んでいる犬の寝相にはどのような心理が表れているのでしょうか?
愛犬の普段の寝方には飼い主さんへのどのような気持ちが表れているのか見ていくことにしましょう。愛犬の気持ちを知ると、ますます可愛さが深まることでしょう。
1.うつぶせ寝
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うつぶせで眠る犬には普段からよく見る光景で、まさに「犬の寝相の定番」とも言えるスタイルです。伏せの状態に近い「うつぶせ寝」は、すぐに起きあがることができる姿勢です。敵が来たらすぐに動ける用意をしておくという野生時代に培った姿勢なのでしょう。
お腹をピッタリ地面につけているのは、毛の薄いお腹の体温を逃がさないようにしているのもあるそうです。眠るときに体温が下がるの本能的に防いでいるのですね。保温効果があることが分かります。
また、うつぶせ寝相のときに犬たちは顎を地面につけていますが、これにもちょっとした意味があるそうです。実は、地面から顎に伝わる感覚で敵がくるのをキャッチすることができるそうです。寝ているときでも敵から身を守る術が本能的にしみついているのですね。
うつぶせ寝をしているときには、基本的にちょっと警戒心を持っています。そのため、名前が呼ばれたり物音が聞こえたりすると目を開けるなど、結構敏感に反応します。睡眠中でありながらも、すぐに動けるようにスタンバイ中の寝相なのです。
大好きな飼い主さんから呼ばれたら「すぐに行きます」という忠誠心の表れとも言えるかもしれませんね。いつでも飼い主さんの声に反応する気持ちが寝ているときにも表れているなんて可愛いですよね。
2.スーパーマン寝
うつぶせ寝を進化させたように、足をピーンと張った状態で眠ることもあります。上から見ると、空を飛んでいるスーパーマンのように見えるコミカルな寝相です。このときは少しリラックスしている状態のようです。
ただ、リラックスしながらもやはり「起きたらすぐに動きたい」という心理が隠されているようです。スーパーマン寝相の場合は、「エネルギッシュに遊びたい」というヤンチャな心理もあります。
3.あおむけ寝
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犬があおむけで眠るときには、おへそとお腹が丸見えになって犬のぽっこりしたお腹が見えて、なんて無防備なんだろう可愛いなぁと思いますね。飼い主さんにとってなんとも言えない癒しの時間になるのではないでしょうか。
このおへそが丸見えの状態は、おへそが天に向かって見えていることから「へそ天」と言われることがあります。寝相がへそ天状態のときは、犬のリラックス度はMAXに達し、愛する飼い主さん家族のそばで安心しきっていると言えます。
「敵が来るのではないか?」などと怯える気持ちなんてひとつもない状態でしょう。愛犬が幸せを感じているのだと思うと、その姿に見ているこちらまで幸せになりそうな寝相ですね。力が抜けきっている様子は本当に「家族になれているんだなぁ」と感じるのでないでしょうか。
4.足を曲げたり伸ばしたりして寝る
あおむけ寝のなかでも、珍しい寝相を見かけることもあります。前足を曲げているのに、後足を上げている、あるいは前足も後足も全部上げているような、器用な格好でバランスを保って眠っているのです。足を上げて眠るコミカルなポーズに思わず見入ってしまいます。
実はこの寝相のときにはリラックスモードが最高潮で、この上ない幸せ感に浸っているときなんだそうです。ちょっと面白い寝相ですが、愛犬の幸せサインであると知ると嬉しいものですね。まさに写真に残しておきたい面白い寝相ですね。
5.丸まり寝
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「くるりん」という表現がぴったりな丸まった状態の寝相をしていると、まるでアンモナイトのような見えます。「ワンモナイト」なんて呼ばれることもあるそうですよ。この寝相も「うつぶせ寝」と同様に、犬たちのなかではよく見られるスタイルです。
このような寝方をするときの心理は2つと言われています。まず一つ目は「寒い」と感じて丸まって寝ていることが挙げられます。
体を丸めると体の面積が小さくなり空気に触れずにすむため、体の体温が下がりにくくなります。丸まった寝相のときには寒さを感じていて、自分なりに暖まりたいのかもしれません。
また、「緊張感」から丸まっていることもあります。体を丸めることで、犬は自分の弱い部分であるお腹を守っているのです。何かに警戒しているときにはこの寝相をすることもあるようです。